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僕と叔父さん、ヒロインを想う

「読んだで! 今回は妖怪大進撃やったな!」


 叔父からの電話は、峨眉山(がびさん)の頂上での出来事を投稿した後にきた。どうやら光ちゃんが取り残された時という縛りは存在しなかったらしい。


「大進撃って言うても白骨夫人と手下と、狸くらいやろ?」


「でも武侠物やと思ってたのに妖怪とか術がぎょうさん出てきたから意外でなあ」


「確かに。逆は多いけどな。香港映画観てて、ファンタジーやと思ってたのに結局カンフーかい! みたいな」


「『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』やな! これにも白骨なんとかが出てたけど、中国ってエロい女の幽霊やっぱ好きなん?」


「白骨精または白骨夫人な! セクシーな幽霊妖怪の類は日本でも人気やけど」


「あー八尺様とかな。秒で怖いのから、背の高い痴女になってしもうたな!」


「それは叔父さんの観てるもんが偏ってる! とは言え、白骨夫人も西遊記で人気のエピソードで、今でもよく映像化されるで。画像検索したら叔父さんが好きそうなお姉さんが演じてるわ」


「マジか……ほんまや! しかし、名作は現代にも通じるってことやね。あ、現代って言えば太極拳が出てきたな。あの時代からあったん?」


「いや。諸説あるけど、元の時代に張三丰(ちょうさんぽう)が武当山で開設したってのが有力やから、時代としてはだいぶ早いな。前身の方やろな」


「武当山? あ、簫雨(しょうう)が言ってた武当派の由来ってそれか。そっちも山かいな!」


「そりゃまあ、昔の話でどこかに籠もって修行するなら山やろ。逆に言うと山に住んでいたら、武装してんと身は守れへんで」


「身を守ると言えば、四川へ戻る隊商についた『鏢局(ひょうきょく)』ってやつがあれやんな?」


「そう。民間の警備会社とかPMCみたいな存在やね」


「武侠小説ではあっさりやられて皆殺しになることが多いよな! あいつらも死ぬん?」


「非道いこと言うなや! アメコミにおける警察や軍隊もやけど、引き立て役がいるからヒーローが輝くねん」


「結局、猫太朗もフォローしてへんやん! で、どうなん?」


「とりあえず今回は死なへんみたい」


「良かった! 驃局はええけど、球球(きゅうきゅう)ちゃんに何かあったら悲しいわ」


「驃局はええんかい! ……まあウチの一族の動物好きの血やな」


「ちなみに幻晶侠(げんしょうきょう)が球球ちゃんの一族を助けたっていうエピソードは……」


「前の巻やろな。叔父さん、倉庫で何か見つかった?」


「まだや。壷とか絵とかばっかりやねん。売ったり捨てたりはしてへんと思うけど」


「はよ見つけんと球球ちゃんがどうなっても知らんで?」


「え!? 何かあるん!?」


「いや無いし何かあったら俺も悲しいわ。まあマジレスすると何かあっても、あの狸は鳥にでもなって飛んで逃げれるやろ」


「それもそうか。そう言えば幻晶侠も飛んだな。天灯(てんとう)ってやつで」


「ああ。アイツが言ってた通り、もとは孔明が作った通信手段やねん。観光地でランタン祭りとかいって空に飛ばすのあるやん? あれ」


「それに人、乗れるん!?」


「無理やで。太極拳とかもやけど、割と後の時代の技術とか創作とか混ざってるね」


「そっか。光ちゃんも言ってた通り、中国ってドローン技術が凄いから昔からあったんかと思ったわ」


「アレは彼女の思い違いや。中国のドローン技術は、国策でコンピューターとか機械とか、そういう方面のテクノロジーが発達したからやで。天灯の延長にある訳やない」


「猫太朗、光ちゃんに冷たいな。サッカー小説のヒロイン並に厚遇しいや」


「別に冷たくないし、サッカーの方も誰も厚遇してへんわ! 選手だけでも凄い数おるねんぞ!」


「新しく出た静蛉(じんれい)さんは新ヒロイン候補なん?」


「尼僧で片足の三十代をヒロインにするとしたら、作者さん相当、攻めとるな」


「しかも乗り物の開発者やで! レイレイちゃん萌えるわ~」


「まあ叔父さんよりは年下やもんな」


「名前を呼んで思ったけど、俺らの世代やとキョンシー娘が思い浮かんでまうわ……。猫太朗、今からでも変えられへん? ジンジンとか」


「それができへんねん。武侠小説で一般的にな、同じ一門の同じ世代の人は名前の一部を共通にしてたりするねん。たぶん静蛉さんの世代は頭の『静』が同じ文字やから、仮に『ジンジン』って呼んだら誰の事か分からへんようになってしまう」


「そうか。でも趙思浚(ちょうすしゅん)の『スンスン』の方はええんか?」


「知らん。やばそうやったら変えるわ」


「なんか名前問題とか毎回の挨拶とか大変やな」


「せやな。だって父方の祖父母と母方の祖父母で呼び方が違う国やもんな」


「そんなん変えるん!? よう覚えんわ」


「単位とかみたいに現代風にするか……いっそ消そうか?」


「いや、まだ保留で。何となく味になってきたところがある」


「……そうか。まあ不要になったら言って。削ったり飛ばしたりするし」


「よろしゅう! で、次回は飛ぶん?」


「……言ってしもてもええか。うん、飛ぶみたい。飛んで成慶(せいけい)に帰る」


「いよいよ幻晶侠の故郷が出る訳やね! よし、麻婆豆腐でも喰って楽しみに待つわ!」


「叔父さん、辛いの食い過ぎで医者に叱られてたやろ……あ」


 俺の注意を聞く前に、叔父は電話を切ってしまった。四川と言えば辛いものという短絡さとあのフットワークには正直、感心してしまう。

 しかしまあ、次回から舞台が大きく変わるのも事実だ。僕も麻辣湯でも喰いに言って、イメージを膨らませるとしよう……。



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