第129話 予約
「なるほど、3路線、というか、3か国に行けるのか。 ちなみに、人気があるのはどこなんだろう?」
「そうですね。ラーデン王国は商業が盛んな国で、大きな市場が有名で、観光のお客様に人気です。あ、ラーデン王国だと、移動時間が2日なのも人気の理由です。 グラニド共和国は自然が豊富で国土のほとんどが山岳地帯なんです。こちらは移動時間が4日かかりますが、登山やキャンプでの人気が高い国です。 セルフィン王国までは、同じく4日かかります。ここは温暖な地域で、果物や香草の産地です。あとは、海に面しているので、ビーチ、マリンスポーツ系で人気がありますね。」
「海? 行ってみたいな。」
「ちなみに、そのセルフィンで、海沿いで宿があるような街はどこかな?」
「セルフィンですね。ちょっとお待ちください。」
コンシェルジュが別の冊子を取り出した。
「そうですね、有名なところだと、ビーチリゾートのミレイア、港町のリュネアがありますね。」
「港町か。 行ってみるか?」
「うん、行きたい!」
「セルフィン行きの馬車のスケジュールを知りたいな。」
「セルフィン行きは毎週月曜、木曜の週2便ですね。」
コンシェルジュが壁に貼られた馬車の運行表を指した。
「木曜って、明後日よね。 あ、ねぇ、ちょうど良いんじゃない? ここのホテルって明後日の朝までだったよね?」
「ロングステイパッケージだから、6泊なんで、あ、そうだな、明後日までだな。」
「ほら、タイミングピッタリでしょ。行こうよ。」
「そうだな、行ってみるか。 その長距離馬車はここで予約が出来るのかな?」
「はい、お取次ぎできます。お二人様でよろしいですか?」
「あぁ、2人だ。」
「明後日のセルフィン便、2名様ですね。 少しお待ち頂けますか? 今確認しますので。」
コンシェルジュが何処かへ電話をかけている。
「お待たせいたしました。明後日のセルフィン便、2名様、予約できました。」
「サンキュー。支払もここで出来るのかな?」
「いえ、こちらでは予約までしか承れないんです。 お手数ですが、長距離馬車乗り場のチケット売り場でお支払いをお願い致します。 チケットもそこで発行されますので。 お支払いの際には、予約番号は『22TRU』をお伝えください。」
「あぁ、分かった。ちなみに、その長距離馬車乗り場はどこにあるんだ?」
「長距離馬車乗り場は、こちらからゲートに向かって右手の奥になります。」
「ふうん、そんなところに長距離馬車乗り場があったのか。知らなかったな。あ、この予約番号、メモに書いてもらえるか?」
「はい、もちろんです。」
コンシェルジュがが小さなメモ用紙に予約番号を書いて渡してくれた。
「チケット受け取りのついでに昼飯にするか。」
「賛成ー。 あ、ちょっと待ってて、これ部屋に置いてくる。」
ネコ娘が手に持った紫バナナと携帯ランタンの入った袋を高く持ち上げた。
「お待たせ―。」
ロビーのソファに座って一息入れる間もなくネコ娘が戻ってきた。
「とりあえず、というか、いつも一緒だけど、市場の方へ向かうか。」
「何食べようかねー。」
市場に近づくと、これもお馴染みの昼の香り、揚げ魚の匂いが漂ってくる。
「やっぱりランチの定番は揚げ魚なんだね。」
「でも、もう2回喰ったから、違うものにしないか?」
「アタシは何でも良いよ。貴方はどんなものが良いの?」
「オレは、麺類が喰いたいな。」
「麺類ね、なにかあるんじゃない? 歩いてみよ。」
「あの看板は麺類じゃないか?」
「たぶん。あ、こっちにもあるよ? 魚介汁麺だって。 あっちはなんだろうね。ちょっと見てくるね。」
ネコ娘が向かいの麺類っぽい看板の方へ小走りに駆けて行った。
「あっちはね、平麺の店だったよ。 おすすめは海老と香草の平麺だって。」
「ふうん、なんとなくパスタっぽいな。 で、こっちの魚介汁麺は魚介ラーメン系なんだろうな。悩むな・・。」
「あ、あれも麺類だね。意外と麺類屋もあるね、ちょっと見てくるね。」
ネコ娘が跳ねるように駆けだした。 とにかく元気なネコだ。
「あっちはね、揚げ麺の店だったよ。 揚げ麺野菜あんかけとか、揚げ麺辛味あんかけとかだったよ。」
「なるほど。皿うどん的な感じかな。 だめだ、更に悩みが増えただけだ。」
「アタシは魚介汁麺が良いな。」
「それ、魚介だからだろ?」
「良いじゃないの、魚介はいつでも間違いなく美味しいのよ。」
「・・・まぁ、間違っては無いな。 よし、魚介汁麺にするか。」
店に入る。
大きな壁一面に魚介汁麺の品書きが並んでいた。
「なんだこれ・・。」
「赤魚、湖パーチ、赤ヒレ、岩カマス、白身魚、川マス、青魚、平貝、みなみエビ・・ あ、合わせ出汁が魚節か海藻から選ぶんだって。」
「魚介汁ってそういうことなのか? え? 店の特製魚介汁があるんじゃないのか? 種類があったって、醤油ベースか味噌ベースか、位じゃないのか?」
「いらっしゃいませ。」
スタッフがやってきた。
「アタシ、初めてなんだけど、これ、おススメとかありますか?」
「はい、お好きな感じを頂ければご提案できますよ?」




