第126話 肉粥
「お待たせしました。」
スタッフが2人がかりで台車を押してきた。
「セットしますね。」
テーブルの横に、小さめの樽と、その上に蛇口の付いた小さな箱を乗せた。
「ごゆっくり。」
スタッフが去っていった。
「なんだこれ?」
「ビールサーバーなんだって。自分の席で自分でビールが注げるんだよ。面白そうでしょ。」
「そんなものがあるのか、凄いな。でも、オレ達2人しか居ないんだぞ?」
「ね、じゃ、頑張って飲まないとね。」
「いや、『ね』じゃないし、頑張る方向もおかしいだろ。」
トトトトトト・・
「全然おかしくないよ、ほら、ね。」
ネコ娘がジョッキにビールを注ぐ。
「はい。」
ビールが入ったジョッキが手渡された。
「お、サンキュ。」
トトトトトト・・
ネコ娘が自分のジョッキにもビールを注いて準備完了。
「はい、乾杯。」
「乾杯。」
「ぷはー。さ、お替わりお替わりっと。」
「おいおい、いきなり一気に飲んじゃったのかよ。」
「だって、頑張らないと、ビールサーバーだから、ね。」
「いや、だから、『ね』じゃないって。」
「アタシはジャンボ腸詰め行ってみようっと。これ、牛と豚の合い挽きなんだって。なんだか馬鹿みたいに大きくて美味しそうでしょ。」
「ふうん、それなら、オレはこの、貝の串焼き食べてみよう。」
ネコ娘は既に3杯目のビールを飲み始めてる。
「オレもちょっとなにか買ってくるよ。」
「はーい、お願い。」
なんだかタイとかマレーシア辺りのナイトマーケットみたいな雰囲気だな。
揚物系が多いな。これはなんだろう?
「これはなんだい?」
「らっしゃい。これは揚げ春巻き。中身は鶏肉、エビ、野菜、熱々が美味いよ。」
「それじゃ、2つもらおう。」
「あいよ。」
隣の屋台では小さなボールみたいなのものを揚げてる。
「これはなに?」
「フィッシュボール。 揚げたてをこのソースで食べるんだよ。」
「ほう。じゃ、ひとつもらおうか。」
こっちでは、小魚が揚げられてる。
これは見たまま、小魚の素揚げってことだよな。
「これ、頼む。」
席に戻ってテーブルの上に3品を並べた。
「見事に揚物オンパレードだね。」
「ビールには揚物、これは絶対だからな。」
「この丸いのは?」
「フィッシュボールだってよ。」
「あら、じゃ、早速もらっちゃおうっと。 ・・うん、美味しいよ、これ。」
「それじゃ、オレは揚げ春巻きだな。 揚げたての春巻きってのはサクサクで良いんだよ。 ・・あれ? 『揚げ』が特別に感じだけど、揚げ春巻きって、別に普通じゃないか? なんか騙された気分だな・・」
しっかりとビールサーバーを空にして屋台村を出た。
「どうする? オレはもう結構いっぱいだけど。」
「うん。流石にビールあれだけ飲むと、もうお腹タプタプだね。」
「じゃ、帰るか?」
「うん。」
ホテルの部屋へ戻った。
「はぁ、沢山食べた後のごろ寝って、最高だわ。」
ネコ娘は早速ベッドへ転がった。
「なんか既視感の塊だな・・。」
「おやすみー。」
「おいおい、食べてすぐ寝ると牛になるって知らないのか?」
「ちゃんとここまで歩いて来たでしょ。もうそれで十分だってアタシのお腹が言ってるわ。」
「はいはい。もう、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う、ネコってのは面倒だな・・。」
「何か言った?」
「いや、何も言ってない。おやすみ。」
オレもベッドに横になった。
カラカラカラカラ・・
今朝も窓が開く音で目が覚めた。
ベランダを見ると、やはりネコ娘が居る。
「おはよう。」
「あ、おはよう。今朝は早いじゃないの。」
「そうか? まぁ、昨日、早く寝たからな。」
「アタシも早く目が覚めちゃったわ。 ところろで今日はどうするの?」
「そうだな、2日続けて王宮城下町行ってたから、今日はこっちを色々見てみようと思ってる。」
「そうね、そうじゃないと、こっち泊ってる意味ないしね。 じゃ、早速、朝食食べに出る?」
「あぁ、そうだな。」
市場の近くへ来ると、やはり『ゲートサンド』の看板が多く目につく。
「ゲートサンドにする?」
「いや、もう2日連続で食べたからな。いくら名物とは言っても、違うものが食べたくならないか?。」
「そうね、じゃ、あれは? 肉粥だって。」
「粥か。良いんじゃないか、粥も朝の定番料理だろ。」
扉も無い、開放的な店に入る。
4人掛けのテーブルが4卓、2人掛けのテーブルが2卓の小さな店だ。
「はい、お待たせ。」
席に座ってしばらくすると、陶器のどんぶりにたっぷり入った肉粥と揚げパンが2片乗った小皿が出てきた。
「まだなにも注文してないよな。」
「ここ、メニューは、この肉粥だけってことなんだね。」
「肉粥一本で勝負か。期待してよさそうだな。」
「頂きます。」
「いただきます。」
「フーフー・・、 熱っ・・。」
「かなり、とろみがあるから、なかなか冷めないぞ。」
「フーフー・・ うん、肉の出汁が効いてて美味しい。 塩味もちょうどいい感じね。 あ、鶏肉だ。 ホロッホロになってる。」
「ふうん、なるほどな。これは悪くないな。」
「はい、出ました、悪くない。 星3つ頂きました。」




