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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第118話 フレッドさん

「最近顔見ないじゃないか。」


「あぁ、さっき大将にも話したばっかりなんだけど、今はゲートの街に居るんだ。」


「ゲートの街か。いいねぇ。あそこは『ブルー・リザード』って箱があるんだ。客は多くないけど、音がいい。歌ってて気持ちいい店なんだよ。」


「へぇ、そうなんだ。今度ウメさんが歌うとき、行ってみたいな、そこ。」


「おう、行くときには連絡するよ。」


「ところでウメさん、最近、例の『今夜の星は綺麗か?』、まだ続いてるかい?」


「続いてるなんてもんじゃないよ、前より声掛けられることが多くなってるよ。」


「そりゃ、人気者は辛いな。」


「ほんともう勘弁してほしいよ。」


「夜眼水晶の取引が活発になってるってことよね? アタシは、やっぱり夜の盗賊と関係あるような気がするんだけどな。」


「なんだい? その、夜の盗賊ってのは?」


ウメさんがネコ娘の方を向いた。


「最近ね、街の外で商人が盗賊に襲われる事件が多いんだって。それで、その盗賊ってのが、夜に活動するらしいの。それで、アタシは最近の夜眼水晶が取引されてる件と関係あるんじゃないかなーって思ってるの。」


「へぇ、お嬢さんもすっかり探偵さんみたいだねぇ。」


「えへへ。」


「なにが、えへへだか。」


「おっと、相変わらず、お二人さんは仲が良いんだな。アハハハ。」


「そんなことないよー。」

「それはないぞ、ウメさん。」


「ほら、やっぱり。 アハハハ。」


ウメさんが大将と雑談していると、ネコ娘がオレの脇を突いてきた。


「うん?」


「ねぇ、前にピアノバーに行ったの覚えてる?」


「あぁ、キミが一人でワインを2本空けたところだよな?」


「・・ねぇ、そんなことは覚えてなくても良いでしょ? まぁ、いいわ。で、その後にバーに寄ったでしょ? あそこに行ってみたいの。」


「あぁ、行ったな、バー。別に構わんがどうしたんだ?」


「フレッドさんに会いたいなって思ってる。」


「フレッドさん? あぁ、元騎士団の人か。」


「そう、やっぱりどうしても気になるんで話聞いて欲しいと思ってるの、夜眼水晶の件とか。」


「そんなに気になるなら、宮殿のガラハッド騎士団長に会いに行けばいいじゃないか。」


「ううん、確証があるわけじゃないから、まだ騎士団長に話す段階じゃないと思うわ。」


「キミにもそんな気遣いをすることがあるんだな。 まぁ、オレはバーボンロックが飲めればどこでも良いから、別に構わんぞ。」


「その『そんな気遣いが』ってところは余計だけど、そう、じゃ行きましょ。」


「わかった。大将、おあいそしてくれるか。 ウメさん、お先に。」


「おう、お休み。」


 屋台を出て、また大通りに戻って、少し進んだ先の裏通りに入った。


煤けたドアが見えてくる。


キィ・・。


相変わらずの軋み音がするドアだ。


「いらっしゃい。 今日もカウンター席で良いかい?」


ドアを開けると、白い口髭のマスターが手招きしてくれた。


「探偵さんはバーボン・ロックだったね? お嬢さんはビール、ジョッキで良いかな?」


「あぁ、バーボン・ロックだ。」

「うん、ビールにするわ。」


ゴトッ


粗削りな氷が1つだけ入った重そうなロックグラスが置かれる。


トトト・・


ロックグラスに半分位バーボンが注がれた。


ドンッ


大きなビールジョッキも置かれる。


「それじゃ、乾杯。」


ネコ娘が大きなジョッキのビールを持ち上げた。


ガチン


重いグラス同士がぶつかった。


「マスター、今日はフレッドさん来ないかしら?」


「今日ねぇ。うーん、昨日は来なかったから、来るかもしれないね。 何かあるのかい?」


「ちょっとね、相談したいことがあるの。」


「へぇ、可愛いお嬢さんの相談事なら、フレッドさんも喜んで聞いてくれるだろうよ。早く来れば良いのにな ハハハ。」


コトン。


マスターがカウンターにロースとミックスナッツの皿を置いた。


「あ、これ、マスターの自家製のヤツよね。そうだ、自家製のドライフルーツもあったわよね? アタシ、あれ好きなの。」


「お嬢さん、嬉しい事言ってくれるね。 よし、それじゃ、これはサービスだ。」


マスターがドライフルーツの皿を出してくれた。


「あー、そう、これこれ。ありがとう。これが美味しいのよね。」


ネコ娘がドライフルーツの香りを嗅ぎながら食べ始めた。


キィ・・。


ドアが軋む音がした。


「おや、遂に待ち人来るだな。」


マスターが軽く手を挙げた。


「こんばんは。待ち人? なんだい、それは俺のことかい?」


「あーっ、フレッドさんだ! こんばんは。」


「おや、お嬢さん。それに探偵さんも。こんばんは。」


「あぁ、今晩は。」


「こちらのお嬢さんがフレッドさんが来るのを今か今かと首を長くして待ってたんですよ。」


「えぇ? そうなのかい? こんな可愛らしいお嬢さんに待たれてたなんて、男冥利に尽きるってもんだね。 あ、俺はいつものね。」


コトッ


フレッドさんの前に、ウイスキーの水割りが置かれた。


「なんで待っててくれたのかわからないけど、まずは乾杯だね。 乾杯。」


「かんぱい。」

「乾杯。」


3人が軽くグラスを持ち上げた。



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