第103話 ロティス
「今日から予約してるアサクラだが、先に荷物を預かってもらえるか?。」
「はい、アサクラ様、もちろんでございます。」
フロントスタッフがベルをチンっと鳴らすと、ボーイがやってきた。
「お客様のお荷物をお願いします。」
「はい、かしこまりました。 こちらでお預かりして、後ほどお部屋にお持ち致します。」
ホテルを出て、市場の方へむかった。
「さ、ちょっと遅くなっちゃったけど、ランチにしましょ。」
「そうだな、今日は何にするかな?」
「昨日は根魚煮だったよね。」
「そうだな。せっかくゲートに移ってきたんだから、珍しいものが喰いたいな。」
「あら、これはなんだろう? 大きな肉の塊が焼かれてるよ? 香りもなんだか食欲をそそる感じよね?」
ネコ娘が指さした先には、店先に大きな肉がゆっくりと回ってた。
「これはケバブだな。スパイシーな香りも似てるな。」
「ケバブ? 食べてみる?」
「あぁ、面白そうだ。」
「すみません、これは何ですか?」
「はい、いらっしゃい。ロティスだよ。ウチはビーフロティスだ。黒胡椒ガーリックソースか赤ワイン塩ダレで食べると最高だよ。」
「へぇ、ビーフロティスだって。どうする?」
「ロティスって言うのか。ってことは、隣も同じロティスってことか?」
「そうね、でも、肉が違う感じがするな。聞いてみようか。」
「すみません、これ、ロティスですか?」
「あぁ、うちは羊肉の専門店なんだ。だから、新鮮なマトンロティスだよ。ヨーグルトミントソースかハーブ塩レモンで食べてみてくれ。」
「なるほど、牛肉と羊肉か。」
「なんだかどっちも美味しそうだよね。」
「両方食べるか。」
「あー、それいいね。賛成。 それなら、ソースも両方もらっちゃおうか。」
「お客さん、この先にテーブル席があるから、いろんな屋台で買って、そこで食べられるよ。」
マトンロティスの店のオヤジさんが声をかけてくれた。
「え? それいいわね、じゃ、まずは、マトンロティス買いましょ。 お願いします。あ、ソースは両方ください。」
「マトンロティス、ヨーグルトミントソースとハーブ塩レモンソース、はい、おまちどうさま。」
「次は、ビーフロティスね。 1つください。ソースも両方お願いします。」
「はいよ、ビーフロティス。黒胡椒ガーリックソースと赤ワイン塩ダレね。はい、どうぞ。」
2種類のロティスを持ってテーブル席へ座る。
「アタシはラムロティスから食べてみよーっと。いただきます。」
ネコ娘がラムロティスを食べ始める。
「それなら、オレはビーフからだな。」
それぞれを半分づつ食べて昼飯とした。
「辛いってわけじゃないけど、かなりスパイスが効いてるね。」
「あぁ、オレの世界のケバブも、こんな感じなんだ。確か中東っていう、香辛料たっぷりの地域の食べ物なんで、スパイスが凄いんだよ。これも同じ感じだったな。こういう特徴的なのって、たまに喰うと美味いんだよな。」
ロティスでの簡単な昼飯を終えても、まだ15時までには時間がある。
「もう少し市場を散策してからホテルに戻るか。」
「そうね。ホテルの部屋に置いておく、飲み物とかスナックとかも買った方が良いしね。」
市場で飲み物と、乾燥させた小魚のスナックを買ってからホテルへ戻った。
フロントでチェックインをする。
「アサクラ様、1週間のロングステイパッケージで承っております。お部屋は3階の302号室で、こちらは1回分の朝食券になります。パンフレットでは最終日のご利用でご案内しておりますが、もちろん、滞在期間中いつでもご利用頂けます。朝食会場はこちらの奥のレストランになります。」
支払いを済ませると、スタッフがベルをチンっと鳴らした。
すぐにボーイが、さっき預けた荷物を台車に乗せてやってきた。
女性スタッフがボーイにカギを渡す。
「こちらです。どうぞ。」
ボーイに続いて階段を上がる。
まぁ、昨日下見してるから、部屋の場所も部屋の中も知ってるんだけどね。
ボーイが部屋の鍵を開けて、荷物を中へ入れた。
「窓、開けておきますね。」
ボーイが大きな窓を開けると、気持ちいい風が入ってきた。
「それではごゆっくり。何かございましたら、1階のフロントまでお申し付けください。」
ボーイが部屋を出て行った。
「うーん、やっぱりホテルってなんか良い感じだよね。」
「まぁ、小さな宿とはサービスが違うからな。」
「荷物出したら、ホテルの中見てみようよ。」
「はぁ? これから1週間居るんだから、いつだって見られるだろ。」
「えー、アタシ、ホテル泊まるの初めてだもん。プールとかもあるんでしょ? あと、ジムとかも。 見てみようよ、何があるか。」
「あぁ、わかったよ。じゃ、荷物片づけたらな。」
「そうだ、最初にベッド決めなきゃだね。アタシこっちが良いな。」
ネコ娘が窓に近い方のベッドを指さす。
「オレは別にどっちでもいいぞ。」
「じゃぁ、決まりね。アタシこっちー。」
「キミ、窓の近くが好きなんだな。」
「なんかね、外が見えるって落ち着くのよ。」
「習性だな・・。」
「なんか言った?」




