世界最高戦力vsSランク冒険者2
「ううぅ……。」
言葉を口に出すことさえ出来ない様子のユウジ。
この圧倒的な強さ。
Sランクがまるで赤子のようだ。
【聖騎士 最上位スキル リフレクション】
スキルの行使により、ユウジを中心に外側へと弾き出される力が作用する。
それによりメイビスと離れることが出来た。
しかし、メイビスにはまるでダメージが入っていなかった。
「あなたも使えるんですのね。」
世界最高戦力と呼ばれるほどの人物だ。
ユウジは決して舐めていたわけじゃない。
だがそれでも……。
「な、なんで……。」
ここまでのことは想定していない。
上には上がいる。
そんなことは百も承知だ。
だが、分かってなかった。
ユウジは真の意味で頂点を理解出来ていなかったのだ。
どれだけの高みに居ようが頑張ろうと思えたし、どれほどの力量差があろうが努力で覆してきた。
「なんでと言われましても、こんなの怪我する方が難しいですわ。」
絶望。
その2文字だけが脳裏を埋め尽くす。
「く……うぅ……。」
ユウジがこれまで積み上げてきたもの、その全てが無になる瞬間だった。
本当の頂点というのはこういうことを言うんだと、身体から心から全身から体験した。
「崩れ落ちてるところ申し訳ございませんが、私に喧嘩を売った時点であなたの運命は決まっておりますの。」
何の感情もなく、ただ淡々とユウジにメイビスは告げた。
ユウジは人生の終わりを前にして走馬灯のような何かを思い返していた。
((((((((((((((((((((
「綺麗事だけではこの世界は回っていかないんだよ。」
それは上司からの一言。
ユウジはこの世界に来る前は地球に居た転生者だった。
「納得できません!どうして次長がお咎めなしなんですか!」
転生する前の世界でユウジは警察官としての人生を過ごしていた。
「不祥事とはいえ規模は小さい。この程度で騒ぎ立てていたらキリがないのだ。」
警察組織は腐っている。
ユウジはある種のジレンマを感じながら歯噛みする。
自分が目指した場所はこんなところだったのか?
だが、ユウジに出来ることなど何もない。
「小さい……?被害者の方の視点に立ったことはあるんですか!?」
ユウジの憤りに上司はキッパリと切り捨てるように言う。
「立場の重さが違う。」
「何ですって……?」
「立場上次長を断罪するメリットが薄い。そうは思わないか?」
話しにならない。
当たり前のように被害者軽視をするこのクソ上司には正義感というのはないのだろうか?
「メリットデメリットの話しじゃないでしょうよ!そんなんで被害者含めた市民に顔向け出来るんですか!?」
「胸を張って言ってやろう。何も問題はない。」
「なっ……!」
こうもハッキリと言い捨てる上司に言葉を失った。
ありえない、ユウジはこれほどまでに無力感と苛立ちを覚えたことはなかった。
そうだ。
力がないから俺には何も出来ない。
力だ。
力さえあれば……!
ユウジは何かを決意したかのような瞳をしながら立ち上がり、そのまま外へと飛び出した。




