世界最高戦力vsSランク冒険者
「へぇ、君が例の王女様なんだね。ここへは何をしにきたのかな?」
ユウジは相手の名前を聞いてかなり関心を惹かれたかのように、表情が生き生きとしている。
「私が召喚した勇者様方の様子を見に来ただけですの。」
メイビスはニコッと笑顔を見せながら答える。
「君が彼らを……?まさか黒幕がメイビス、君だったりするのかな?」
「命令したわけじゃありませんの。勝手に行動したのは彼等ですもの。死んでるとは思っておりませんでしたわ。」
メイビスは外面用の仮面を被って答えている。
「…………君は嘘が上手なんだね。」
ユウジは目を細めて警戒を最大レベルにまで上げる。
「あら、どうしてそう思いますの?」
「僕の天職は聖騎士だからね。僕に嘘は通用しないよ。」
「あぁ、そういえば過去にも居ましたわね。そんなスキルを持ってる方が……。」
メイビスは特に動揺した様子はない。
ユウジの言葉を聞き、納得したように頷いただけだ。
「否定しないってことは君が彼等を動かしたんだね?」
「そうですわね。ですが、こうなるとは思ってなかったのは事実でしてよ?」
「勇者様方と言ったよね?彼等はクレアリーナ王国が認めた勇者ってことかい?」
「別に違いましてよ。そこに転がってる紗斗が勇者の天職をもらってたってだけの話しですの。」
「ははは、面白いね。なんか自信満々だった彼の態度が色々と腑に落ちたよ。」
「理解出来たなら私は失礼致しますわ。死体も含めて回収していきますわ。」
「待ちなよ。」
「まだ何かありますの?」
「君の目的は何だい?それの回答次第では僕は君を倒さなくちゃいけない。」
ユウジは剣を構える。
剣は銀色に輝き始め、臨戦態勢といった感じだ。
「はぁ……このまま立ち去って下されば死なずに済みましたのに……。」
「っ……!?」
ユウジの身体が強張る。
「手を出してはいけない存在が分からない人間ほどめんどくさいことはないんですのよ?」
感じた事もないような緊張がユウジに走っている。
ユウジはアレだけ紗斗を井の中の蛙とまで言い切ったとしても、それは自分にも返ってくる。
ユウジもこれほどの強敵を前にするのは初めてだった。
自分こそ調子に乗っていたのだ。
生まれてこの方これほどの緊張を感じたことさえない。
それは自分の師を初めて前にした時でさえそうだった。
「く……!」
アレだけ饒舌だった口は呻き声を上げるだけ。
初めて後ずさる。
「あなたがどんな実力者かなんて知りもしませんが、もう後戻りは出来ませんことよ?」
「ぐううぅ!!?」
ユウジの顎が跳ね上がる。
ユウジには何も見えなかった。
ただ視界がぐるりと回り、青天したまま後方へと吹き飛ばされる。
地面に背中を打ちつけて、息が一瞬止まる。
「げほっ!っかは……!」
生存本能からか、いつもの鍛錬からかは分からないがユウジはダメージを受けつつも身体は引き起こし、メイビスを見据える。
が……。
その目にメイビスを映すことはなかった。
「え……?」
そこにいたはずなのに、いないメイビスにユウジは言い難い恐怖を感じる。
「ぐいいいぃ!!?」
ユウジの首根っこにあり得ない圧迫感。
痛みから力も入らず、剣を地面に落とした。
「この程度で私を倒すなどよく言えたものですわね。」
メイビスは片手でユウジの首根っこを後ろから掴み上げていたのだ。




