クレアリーナの勇者たち7
「ち、くしょう……が……。」
どうせ10分は動けねぇ。
とはいえこの状況どうすんだよ。
この優男野郎は恐らくだが殺しはしねぇ。
そこに付け入る隙はありそうだな。
「さてと、じゃあ君たちの目的でも聞こうかな。どうしてバリーさんを殺したんだ?」
バリーさんというのは金髪の兵士か。
「探してる奴が居んだよ。それを隠蔽しやがった。それだけだ。」
別に隠す意味もない。
俺は素直に答えた。
「なるほどね、ちょっと過激な反応のように思えるけど、それが殺す理由になるの?」
ユウジは怒りを露わにするでもなく、淡々と問いかけてくる。
「俺にとっちゃそれで十分なんだよ。悪いとは思っちゃねぇよ。ここじゃ力さえあれば成り上がれる。弱え奴は喰われる。そんだけだろ?」
相手の感情的じゃない態度のせいか、俺もスルスルと本音が出てきていた。
いや、こりゃスキルだな。
普段の俺ならここまで素直に吐かねえ。
「まあ確かに完全な間違いとも言えないんだけどね。ただそれが許されるのは圧倒的な力を持つものだけの特権だよ。その点で言えば君は井の中の蛙。紛い物さ。」
「うるせぇ……。」
「君はこの世界で見ても上位の方だとは思うよ。恐らく天職のポテンシャルだけみたら僕でも敵わないんだろうね。そのくらいは見て取れるよ。」
スキルの行使の仕方とかどうか言ってやがったからな。
要するに俺の知らない何か別の力の使い方があるんだろう。
あの王国だと教えてもらえなかった。
知らないのかわざとなのかは判断つかねぇがな。
「かはっ……うぜぇ……」
力のない自分自身があまりにも無力な自分がうぜえ。
自惚れていたのは認めてやるが……こんな終わり方で良いのかよ……。
「君の今の実力はAランクってとこかな。僕はSランクだけど、スキルの行使を使えるか使えないかで変わると思うよ。」
舐めプなのかなんなのかはわかんねぇが、何故か語り始めるユウジ。
「どれだけ最強の天職を持っていようともスキルの行使が出来ない人はSランク足りえない。それほどSランクとAランクには大きな差があるし、スキルの行使が出来る出来ないで実力に大きな差が出来るってことなんだ。」
「……。」
なるほどな、ということは端から俺に勝ちの目なんてなかったっつーことだ。
ムカつかせやがる。
「さて、とりあえず君は生かす価値ってのが無さそうかな。」
ユウジはため息を吐きながら、剣を振り上げる。
「少なくとも君は何の罪もないバリーさんを手にかけてる。その他にも被害者が居そうだし、これからも君の本質が変わる事もなさそうだ。」
「くそったれが……!」
恨み言を吐きながら俺は奴の手が動くと同時に意識を刈り取られた。
そこに残ったのはユウジと気絶した眞姫那、そして大吉だ。
マインはバリーを街へと運び入れていたのでもういない。
「君はこれからどうするのかな?」
ユウジは残った大吉に話しかける。
これまで何も決めてこなかった男がこの場面で何かを決められるはずもねぇ。
「……。」
黙ることしかできなかった。
「答えられないかな?」
「う……。」
ユウジの圧が大吉に降りかかる。
「そっか、じゃあ君も終わろうか?」
次の瞬間には大吉の首は胴体から離れ、地面に落ちる。
時間差で身体は前のめりに倒れ込み、血溜まりを作った。
「残念だけど僕は聖人君子じゃないんだ。この状況を作った時点で君たちを許す気なんてないよ。」
「全く……どこまでも使えませんのね。」
「……誰だい?」
美しい髪をたなびかせながらそこへ現れたのは……。
「メイビス・クレアリーナ。メイビスで良いですわよ?」
世界最高戦力と呼ばれる王女だった。




