クレアリーナの勇者たち3
追跡開始からすぐに到着したのはロマシー山脈だった。
「ここに来た形跡があるんだな?」
眞姫那に尋ねる。
「そーだよー。ここからは追跡むずいし、聞き込みとかからやんないといけないかなー。」
眞姫那のスキルは人が多い場所になると少し精度が落ちる。
とはいえ普通であれば問題なく探知出来るはずだ。
それが出来ねぇってことは。
「アレを持ってった奴は中々の手練れっつーことか。」
わざわざ隠蔽スキルか何かを使用しないとこうはならないはずだ。
サクッと終わると思ってたが……。
「かはっ!良いじゃねぇか。ちったぁ楽しませてくれんじゃねぇか。」
俺はいつの間にか笑みが溢れた。
この世界に来てから俺は難易度が高ければ高いほど燃える好戦的な性格になりつつあった。
基本的にはめんどくさがりだが、スイッチが入るかどうかで変わる気がした。
「あの……何か御用でしょうか?」
そんな俺たちに声をかけてくる1人のピンク髪の女性。
「誰だてめぇ。」
「結城くん!ここは先生に任せてください!」
俺はその女性を睨みつけながら詰め寄ろうとしたところで先生からの静止が入る。
住民と喧嘩になることを避けたのだろう。
「すみません、お尋ねしたいことがありまして、よろしいでしょうか?」
先生は俺に意識が向かないように、俺と女性の間に立ち、話し始める。
「は、はい。何でしょう?」
少し狼狽えながらも受け答えをしていた。
「こちらに霧峰斬子さんという方はいらっしゃらなかったでしょうか?」
「え……?あ、あー!確かアナスタシアさんと一緒に来てた人ですね!」
思案を巡らせるような表情をしたあとすぐに閃いたのか、手をポンと叩く。
「アナスタシアさん、ですか?すみません、私事情がありまして、この世界のことあんまり知らないんです。どなたか教えていただいても?」
相変わらずこういうところは上手い人だ。
「そうなんですね。アナスタシアさんは7人しかいないSランク冒険者の1人なんです。」
「Sランク……?その冒険者というのがあるんですか?」
あっちでいうゲームみたいなもんか。
RPGとかでは定番だな。
先生は理解してなさそうだが、まあ一々口出すのも面倒くせぇ。
「あ、はいそうです。その……もしかしてなんですけど、キリコさんと同じ所から来られた方なんですか?」
「そうですね、その認識で間違い無いです。」
あまりにもこの世界の常識を知らなすぎるという共通点からすぐにバレることは分かっていた。
先生も隠す気はないだろうし、まあここら辺口止めもされてねぇしな。
「やはりですか。どうしてキリコさんを探しているのかご事情を伺っても?」
不思議そうな顔をしながら彼女は言った。
もしかして俺らのことを怪しんでるのか?
ま、アレも俺らの事は何も触れてなかったんだろうな。
親しい奴らじゃねぇってのは気づいてそうだな。
「はい、私と一緒に過ごしていたのですが、事故で離れ離れになってしまい……心配で心配で早くお会いしたいんです。」
上手いな。
先生の言ってる感情的なところは本心だろう。
だが、事故で云々は完全にでっち上げだ。
ただ気持ちの部分が乗るから頭が悪けりゃこれで終わりだが……。
「……そうですか。」
この門番と思しき女性、厄介そうだな。
どうしても生まれる違和感に気づいてやがりそうだ。
「はい、なのでぜひ教えていただけるととても嬉しいです。」
にこやかに先生は告げるが、女性の顔はあまり晴れやかではなさそうだ。
まあいざとなりゃ全員でここの奴ら組み伏せりゃいい。
メイビスっつー規格外以外ならどうとでもなんだろ。
「少々お待ちください。」
女性はペコリと頭を下げながらそう言うと奥の方へと走っていった。
「大丈夫でしょうか?」
先生は素直な疑問を口にする。
「大丈夫なんじゃない?しらんけどー」
眞姫那は能天気に答えた。
だが俺は……。
「残念だが情報は穏便にゃ得られねぇなこりゃ。」
門番の反応からなんとなく分かっちまった。
はぐらかされて終わりだな。
さて……どうすっかなぁ……。




