イワクヤマの女王様2
「それで?これから結局どうするんすか?」
無邪気な様子でシュルーが聞いてくる。
私も気持ちを切り替えてみんなに向き直る。
「確かに、どうすんの師匠。」
「ふむ、討伐は完了しておるし、それ自体はもう向こうにも伝わっとるはずじゃ。わしらは先へ進むとしようかの。」
「え?どういうこと?」
「先ほどギルドで作ったカードがあるじゃろ?それを確認してみい。」
「え?わかった。」
私は自分の懐からギルドカードを取り出して確認する。
【登録名:キリコ
天職:召喚士
ランク:E
称号:異世界からの来訪者、魔の体質、英雄の弟子
クエスト:Bランククリア】
「んーーーなんか色々変わってるね。」
なんというか不思議なカードだ。
色も緑から紫になってるし。
「一度このカードに登録するとじゃな、まるで監視されとるかのように自分が成したことを記録していってくれるのじゃ。」
「……プライバシーとかないの?」
私は少ししかめっつらになりながらカードを見る。
「ジュンとジュラが作った最高傑作の一つじゃから細かいことは分からんが弊害はない故安心するが良い。」
「あぁ、例の人たちのね。」
あんまり良い感情は持てないけど、師匠がそう言うのならこれ以上は気にしないでおこう。
「先に進むとは言ってもどこに行くんすか?」
「うむ、イワクヤマに向かうつもりじゃ。」
「それってどういうところなの?」
「これと言って特徴はない国じゃが、あそこの女王が特別での。オクタムの居場所を知っとるかもしれん。」
「なるほどね。分かった行こっか。」
オクタムといえば先の話に出た理を作った人の1人だ。
ちゃんと手掛かりのこと考えてくれてるんだね。感心だ。
私たちはそのまま共に歩き出す。
新たな土地への希望を持って。
道中魔のつくものに軽く襲われながらもそこまで時間もかからず到着する。
「ここがイワクヤマじゃ。」
門のようなものはなく、外からでも中の様子が軽く一望出来る。
そこまで多くの人が行き交うわけでもなく、立派な建物があるわけでもない。
国というよりは村のような雰囲気だ。
「異様な気配がしたから来てはみたが、なんだアナスタシアか。」
奥から姿勢良く女性が私たちに向かって歩いてくる。
「女王自らお出迎えとは、なんじゃ今は暇でもしとるんかの?」
師匠は軽口のような挨拶をしていた。
「お前と一緒にするな。今も絶賛忙しい。そんな忙しい私がわざわざ時間を作って来てやってるんだ。要件は手短に頼むぞ。」
不満げなため息を吐く美人さん。
ていうかこの美人さん姿形は師匠にそっくりだ。
髪の色、長さ、体型とほとんどが似通っている。
一つ違うと言えば、幼い感じの容姿の師匠に対してこの人はキリリとした瞳が特徴的な美人さんといったところか。
「まぁ、そう言うでない。まずはツレを紹介させてくれんかの?」
威圧感もあるような指す視線を師匠に向ける美人さんに珍しくたじたじな様子の師匠。
「アポも取らずに突然来ておいて随分と傲慢だな?いつも言ってるだろ、一報よこせとな。」
「すまぬすまぬ、どうしても急用でのぉ……いけんか?」
「はぁ……」
大きなため息。
「お前には何を言っても無駄な気がするな、アナスタシア。仕方ない、一つ貸しだぞ?」
「むぅ……仕方ないのぉ……。」
バツが悪そうな師匠と口元を引き攣らせながらも承諾する美人さん。
「おい、そこの!」
「ひゃい!」
変な声出た。
いきなり驚かすなんて酷い。
「アナスタシアが連れてきたんだ。色々と事情があるんだろうさ。こんなとこで話すのもしんどいだろう?屋敷に行くから着いてこい。」
大きな声でそう言いながら、長髪を靡かせながら振り返り、スタスタと歩いて戻っていく。
「わ、分かりました。」
その圧力に気圧されたように私は縮こまりながらも足を動かした。
「おっかないのぉ……。」
師匠は小声でボソッと呟きながらも着いていく。




