魔のつくもの3
「くっ…精神干渉系の魔のつくものか!!?おい斬子。どうしたんじゃ!!しっかりせい!」
「……た、多分…大丈夫…。うん。」
師匠の貫くような声に少し冷静になれた。
『酷いっすねー。一応自己紹介はしたはずなんすけどねー。』
少なくとも今聞こえるこの声は私にしか聞こえないようだ。
「師匠、何か知らないんだけど私にだけ声が聞こえるみたい。」
「声じゃと?何を言うとるか聞き取れるんかの?」
「うん、私に対して呼びかけてるみたい。」
『やっぱ聞こえてるじゃないっすか!ちょっと!無視は酷いっすよー!』
「ちょっと待っててね師匠。」
「うむ、了解した。」
「無視する形にしてごめんなさい!あなたは誰ですかー!」
こんな超常現象を前にしても少しも動じず、少しも冗談だと馬鹿にしない師匠はホントに凄いと思う。
『そーんな大声出さなくても聞こえてるっすよ。ていうかさっきも言ったっすけど、前回自己紹介したじゃないっすかー!』
前回っていつだろうさっぱり思い出せない。
「ご、ごめんなさい。ちょっと記憶にないっていうか…その…。」
『んー…斬子が沼地に沈められた時のことを思い出して欲しいっす!」
「沼地……!」
結城紗斗に突き落とされて、冷たく、どろどろで、苦しくて、悔しくて…。
『あはっ!良いっすね!その表情!それでこそお母様っす!』
お母様…?
いや私に娘なんて…娘?
「って、あああああ!!!!」
『お、どうやら思い出したようっすねー!』
「あなっ…あなた!確かえっと…シュルーフィドル!」
私が思い出した名前を叫ぶと突如辺りが光に包まれ…
『当たりーーーっす!』
一瞬出てきた幾何学模様の中から女の人が現れたのだった。




