アナスタシアという人8
「うむ、とりあえずはここで軽く修行といくかの!」
私たちはとある滝の前に居た。
「ここって今どこら辺なの?」
「クレアリーナとイワクヤマの丁度境界線のあたりじゃな。ここは割と危険が少ない穴場なんじゃ。」
「ふーん。結構歩いたと思ったけど、まだそんなもんなんだね。」
1週間以上は歩いたと思う。
もう野営のやり方とかはだいぶ慣れてきた。
「まあそう言うでない。一応逃亡者の身なのじゃ、遠くを目的地としておっても良かろう。」
「それもそっか。」
なんだか追われてるって感覚が一切なかった。
師匠が避けてくれてるんだろうけどさ。
「さてと、今日から本格的な戦闘訓練をやっていく。お主の天職は未だはっきりせんからのぉ…とりあえずは最低限動けるようにはなっておく修行じゃの。」
「うん、そういえば師匠の天職ってなんなの?」
「わしか?わしは武闘家の天職を貰っとる。」
「あれ?なんだか意外だね。師匠はもっとなんか凄そうな天職を貰ってるのかと思ってた。」
「あほぅ、お主やメイビスのような天職がゴロゴロおってたまるかい。わしは長い年月をかけて少しずつ強くなった結果の今じゃ。時間など腐るほどあったからのぅ。」
確かに言われてみればそうなのかも。
私自身がオンリーワンで、身近にメイビスも居たからすごく勘違いしてた。
「基本的には素手の闘いの方がわしは得意じゃが、武器全般使える理由もなんとなく分かるじゃろ?」
「そうだね、文字通り時間はたっぷりあったんだし、色々やってても不思議じゃないよね。」
そんな人が私に好意を持ってることの方が信じられないしね。
「うむ、天職というふうにわしらは呼んでおるが、つまりは自分自身のスキルが使用できるかどうか程度の違いしかない。つまりは己が肉体的強さは鍛えなければ意味がないのぉ。」
「えっと、どういうこと?」
ちょっと理解しにくいかも。
「例えば、剣士の天職を持っとる奴はスキルとして棒状の物を所持している場合炎を纏わせる事が出来るのじゃ。だがしかし、剣士の天職を持っとるからと言って熟練の剣捌きが出来るわけではない、ということじゃの。」
「そっか、そういうことか。」
天職というのはとある条件下でスキルが発動するというだけであって、それを使いこなせるかは自分の頑張り次第ってことか、なるほど。
「理解できたか?なら、やることは分かっておるな?」
「うん、鍛えるんだよね。何をしたら良いか教えて?」
師匠は私に基礎訓練を教えてくれた。
体力を上げるための訓練がメインではあったが、やはり最初の方はどうしてもこういうしんどいことばかりなんだなって、感じた。




