アナスタシアという人5
「まあ理解し難いのも分かるのじゃ。わし自身どう説明したら良いか困っておるしの。」
師匠は少し難しそうな顔をしていた。
「だ、だけど…ちょっと意味がわからなすぎる、というか。」
「うぅむ…。この世の理を作った者達の話をしたじゃろ?」
「うん。」
「言うてしまえばその者達が子をなしていって、今のこの世界があるのじゃ。ここまではわかるかの?」
「そうだね。偶然私たちの世界と似通った造りになったってだけだよね?」
「うむ。わしの知らないもっと大元を辿ればもしかしたら偶然ではないのかも知れぬが、今はその認識で良いじゃろう。」
まあ追求しだしたらキリがないもんね。
私としても簡単な方が助かるし。
「そして、その者達が残した最初の子孫の内の1人がわしというわけじゃ。」
「うんうん…うん!??」
言葉として認識できた言葉は脳で処理しきれずに固まってしまった。
コンピュータとかがフリーズする時ってこう言う感覚なのかな?
「驚くのも無理はない。なんせわしはすでに何億年この世を生きてしもうておるしのぅ…。」
しみじみと話をしているところ悪いんだけど、凄すぎて何が何だかわからず停止してしまっている私のことを気にかけて欲しい。
「うむ?斬子?おーい?」
ペシっと額を叩かれる。
「はっ…!」
ここでようやく脳が働きを取り戻した。
「なん…どういうことよ!!!?!?」
「ぬわっ!!?どうしたのじゃ!!?」
師匠は…アナスタシアは人間じゃない!!?
いや、人間ってなに?
この人達はつまりアレらの子孫達であって、この世界の人達とするのであればつまりアナスタシアも人間であって…
てか今更だけど言葉が理解出来てる今の状況ってなにー!!?
脳が動き出したら動き出したで忙しなく、私はキャパシティオーバーを起こしそうになっていた。
私が目を回しながら頭を抱えていると…
「大丈夫、大丈夫じゃ…落ち着くのじゃ…。」
ふわっと甘い香りとともに優しい温もりが背中を覆う。
師匠が私を抱きしめながらゆっくりと落ち着かせるようにしていたのだ。
変態チックな時とは違う安心する心地よさ。
それは最初に師匠に抱きしめられたことを彷彿とさせ、私を安心させ落ち着かせるには十分だった。
そうだ、こんないちいち慌てていては話が進まないし、今のこの異世界という状況があり得ないことなんてあり得ないっていうのを証明してるじゃないか。
何が起きてもおかしくはないし、事実を事実として消化できるようにしないといけない。
これからは何があっても出来るだけ動揺しないようにしないといけないな…。
師匠の温もりを感じながら、私はまだまだ夢見心地だった自分を反省していた。




