師匠と冒険と修行と19
「ふむ、どこから話したものか……。」
アナスタシアは手を組んで鼻に当てながら思考しているようだった。
「うーん……まずは私たちに影響ありそうなことからで良いんじゃない?」
それが一番重要だと思うし。
「そうじゃの。まずお主に伝えておくが、斬子よ。結論から言うがお主は今クレアリーナ王国から追われておる。」
「えっ…。」
追われてる?なんで?
「もっとも大きく影響が出たのはこれじゃな。今まではたかだか召喚者1人が消えた程度ではここまではしておらん。ましてやお主の話しを聞くに無能とまで呼ばれとった者の事など気にも止めんじゃろう。」
「なら、どうして……。」
「それが魔の体質持ちの特徴じゃからな。どんな方向に影響されるかは分からん。」
なるほど、何が起きても不思議ではないと…そういうことか。
「うむ、特にクレアリーナ王国ではお主を反逆者として指名手配までしておる。悠長にことを構えてはおれんの。」
「そこまでしてるんだ……。」
実際に何があった訳ではないので実感がわかない。
でもアナスタシアの様子からかなりまずい状況だというのは見て取れた。
「幸い、まだお主のことは脅威と認識されてはおらん。じゃから動いておるのは王国騎士団と召喚者達だけのようじゃの。」
「いやいやそれって結構な戦力なんじゃ……。」
「メイビス自身が動いとらん。」
「……。」
確かに……彼女の恐ろしさは身を持って体験してるが故にそこはかなり重要な点かも。
「今やメイビスは王女という肩書があるでの。そう簡単には自分から動きはせん。しかし、彼奴は正直どう動くかわしにも予想が出来ん。」
「そうだね。感覚、というか直感で動いてるような気がする。」
「うむ、間違いない。そして、一度彼奴が動き出したが最後、わしでもまず対処しきれん。」
「やっぱりそんな強いんだ……。」
アナスタシアと行動していて何となくだが分かってた。
「世界最高戦力は伊達ではない。たとえ7人のSランク冒険者全員が力を合わせても勝つことは出来んじゃろうな。」
「嘘でしょ?」
「事実じゃ。特に厄介なのは因果律を操るあのスキルじゃな。近くで長年見てきたが、対処法が未だに分からん。どんな傷をつけようがたちどころになかったことになってしまうでの。」
「う……なるほど……。」
そんなの対処法ってあるのかな?
メイビス自身都合の良いスキルではないと明言していたが、全然そんなことないと思う。
それとも話してないだけでまだ穴がある、のか?
「更に純粋な戦闘力も普通ではないからのぉ……。単純にあのスキルが無かったとしても1対1で彼奴に敵うような奴は見たことがない。どこから出てくるか分からない純粋なパワーに魔法も全属性が使えて、魔力の底が尽きたところも見たことがない。お手上げじゃ。」
「ど、どうしようもないじゃん、そんなの……。」
その上でメイビスは相手の思考を読み取ることもできるはず。
敵になること自体が愚策でしかない。




