師匠と冒険と修行と18
「斬子、ホントにそれで良いのか?」
「うん、なんか気に入ったっていうか。」
私が選んだのは斧だった。
斧と言ってもゲームに出てくる大きいものでなく、全長は私の身体の1/3ほどの大きさだ。
更に、柄の部分よりも刃の部分の方が大きく、斧と呼ぶよりは鉈みたいな感じだった。
防具は軽さを重視したもので、最低限急所などを守れるものを選んだ。
無骨な格好は嫌だったので、女性に人気のある淡い水色ベースの可愛らしい鎧だった。
スカートみたいなタイプで、ヒラヒラとはしているが、かなり上質な金属糸を編み込んでおり、耐久性にもかなり富んでいる。
「まあ良いがのぅ……その武器に関しては正直どう教えたものか……明日までには考えておくが……。」
しかし、選んだ武器はアナスタシアの対象外だったらしく、困った顔をしていた。
そんなことを言われても気に入ったのだから仕方ない。
「期待してるよ。」
「しゃーないのぉ。」
ここからは他愛もない会話を繰り返していたのだが、突然声が耳元で聞こえた。
「……お前がキリコか?」
「ひゃああああ!?」
私は背筋から何かが登ってくるように感じて気持ち悪さに驚き逃げるようにアナスタシアに抱きついた。
「ぬほぉ!!?どうしたんじゃ斬子よ!何のご褒美じゃ!?」
「……アナスタシア。」
「……あー、なんじゃお主か。」
「……情報。」
「うむ、どうじゃった?」
私をおいてけぼりにアナスタシアは謎の女性と話をしていた。
「えと、あの…。」
「斬子よ。すまんの。こいつはさっき言うたわしの信頼できる密偵じゃ。ノーブルと言う。」
「……魔の体質のことで調べた。」
その女性。かなり身長が高かった。
190cmはあろうかという身長に、豊満すぎるお胸様。
全身黒尽くめの布の服装で、忍者を連想させるようだった。
ていうか色々デカすぎ。うん、それくらいしか印象に残らないんだけど。
「うむ、ご苦労。で、どうじゃった?」
「……メイビスご乱心。王国自体は通常通り。召喚者阿鼻叫喚。」
不穏な単語を並べながら、ノーブルは封筒をアナスタシアに渡した。
「ふむ…………少々面倒なことになっておるのぅ。」
アナスタシアはそれを見ながら眉をひそめる。
かなり良くないことが起きていることは雰囲気から分かった。
「えと、あの…。」
私は未だに混乱しており、意味のある言葉を発することは出来なかったが。
「ノーブルよ。次からは普通に出てきてくれんか?斬子がかなり怯えておるでの。」
「……?」
「あー……もう良い……。」
アナスタシアが私のための配慮をしてくれようとしたが、相手に伝わらなかったために断念したようだ。
うん、怯えてるんじゃなくて、ホント驚いただけだからね?
だから、このアナスタシアにしがみついているのも別に特別な意味なんてないんだからね?
「……また呼べ。」
ノーブルは一瞬でこの場から消え去っていった。
「……な、なんだか凄い人…なんだね。」
「この場合その言葉は的を射ておるわい。奴はこの世の理を作った1人じゃからな。」
「えっ……!?」
さらっと話される衝撃の事実。
なんかアナスタシアの過去のお話にもそんなのあったようななかったような……?
てかそんな人物ってまだ現在進行形で生きてるの!?
「まあそこに関しては追々話していこうかの。まずはクレアリーナ王国の諸問題をどうにかせんとな。」
「あ、うん。それも気になってたんだ。」
私たちは、ゆっくりと話しの出来るところに移動することにした。
もう遅い時間帯であることも考慮して宿を適当に見つけて、その中へと入って受付を済ませれば、すぐに部屋へと入って2人ベッドの上に腰掛けた。




