師匠と冒険と修行と4
「何を笑っとるんじゃ。行くぞ!」
アナスタシアは入り口に立てば振り返り、少し呆れた感じで言った。
「うん。」
私は頷いて立ち上がれば、後をついていく。
外に出て眩しく照り付ける太陽に軽く目を細めながら、2人で歩き出した。
「あの、何処へ向かうの?」
「ロマシーという山脈にある街じゃな。クレアリーナの領土からはまだ出んぞ?」
訓練中に聞いたことがある場所だった。
「武器や防具が色々と揃ってる街、だっけ?」
「概ね正解じゃな。ただそれだけではない。とだけ伝えておこうかの。」
「そうなんだ。そういえば、気になってたんだけど、さっきまで居た所ってどこなの?」
私は目が覚めたらそこに居たからまるで分からない。
「沼地から少し離れた森の中じゃな。小屋は偶然見つけた。」
あそこに住んでるとかではなかったんだ。
「へー…そういうスキルもいるんだ……。」
「冒険者たるもの、適応力、応用力。むしろ戦闘力よりもこれが重要じゃ。まずはここから教え込んで行くとしようかの。」
確かにいくら戦闘に優れていても環境に適応したり出来なきゃ日帰りするしかないもんね。
「でも私そこまで繊細じゃないし、土の上とかでも寝れるよ?」
「あほぅ。野営をするということは常に危険が隣り合わせということじゃ。どんなことがあろうとも安全の確保。これを最重要とするのじゃ。」
「う、そっか……。」
「わしは別にお主を立派な冒険者にしようとは思っとらん。最低限1人でも食べていけるくらいを目標にしておる。強くなれ、とは言わん。じゃが、誰よりも臆病であれ。これがわしが考える生き残る最低限の術じゃ。」
「臆病であれ……か。」
なんかよく分からないな。
臆病なことはダメなことなんじゃないの?
いざって時に動かなかったら意味ないし……。
「まあ、今は理解出来んでもええ。冒険しておるうちに嫌でもわかることになる。その時に身体に刻み込め。それを覚えておれば何も問題はあるまいて。」
「ん、わかった。」
私は何も知らない若輩者。
否定から入るよりもしっかり肯定して受け止めなきゃね。




