師匠と冒険と修行と3
その後何事もなくご飯を食べて、水浴びをして、寝てから起きて次の日を迎えた。
「起きたか。」
目を開けたらそこには荷造りをしているアナスタシアがいた。
私は状態を起こしながら挨拶をする。
「おはようございます。その、何してるの?」
「うむ、出発の準備じゃな。そろそろ移動しようと思うてな。」
ギュッと大きめのリュックの紐を結んで、一息をつきつつ答えてくれた。
「やっぱり行くんだね……でも、私何の役にも立たないよ?出来ることと言ったら鉄屑を召喚することくらいだし……。」
正直不安でいっぱいだ。
確かにこのまま残るという選択肢もないし、今更戻るのも嫌だし、でも言わずにはいられなかった。
「安心せい。面倒見ると言うたじゃろ?力がないことが冒険をせん理由にはならんのじゃ。」
「でも……。」
「足手まといが嫌じゃと言うのであれば、自分を鍛えるしかないのぅ。」
アナスタシアは楽しそうに笑っている。
何がそんなに楽しいのだろうか。
「笑わないでよ。一応真剣なんだから……。」
「ははは、すまんのぅー。2人旅は初めてでな、少しだけワクワクしておるのじゃ。」
「さいですか……。」
「まあそんな顔をするでない。キチンとわしが鍛えてやる。」
「だ、大丈夫、なんだよね……?」
優秀は優秀なんだろうけど、イマイチ雰囲気から信用できないというか……。
「おいおい、わしから教えを受けたい人なぞ集めたら千じゃきかんぞ?7人しかおらん世界最高峰Sランク冒険者が1人じゃぞ?」
「……。」
「何じゃその目は!嘘はいうとらん!というか過去の話もしたじゃろうが!実績も本物じゃぞ!!?」
「うそうそ、信じてるよ。師匠のことは。」
「うむ?師匠?」
「だってそうでしょ?これから私はアナスタシアから教えてもらうんだから。」
「ふむ……まあ悪い気はせんの。」
アナスタシアはよく表情が変わる人だ。
見ていて面白いしすごい安心する。
私は先ほどあった不安が嘘のようになくなっていることに気がついた。
「ふふっ……。」
その不思議な安心感に笑みが溢れる。
この人と出会えて良かった。
私はこの世界にきて初めてそんなことを思ったのだった。




