師匠と冒険と修行と2
「まあ分からんでもええ。とにかく、わしがしたいことは冒険じゃ。以上!」
よく分からないけど、私のどうしたい?に対する回答だったのかもしれない。
欲しい回答とはまるで違うものだったけど。
「その、私が聞きたかったのはメイビスさんに対してアナスタシアさんがどうしたいかなんだけど……。」
気になるのでもう一度補足をつけて聞いてみる。
モヤモヤするよりはマシだし。
「ん?……あー……まぁ、の……。」
アナスタシアは困ったような顔をしながら、頬をポリポリとかいて。
「メイビスには昔と同じ、いや……わしに見せた初めての表情と同じように笑って欲しいのじゃ……。」
少しだけ照れ臭そうにそう言った。
「そう、なんだ。」
「わしに出来ることなんぞもう何もない。じゃが、もう一度だけでも良いからあの笑顔が見てみたいものじゃ……。」
そして、少しだけ俯いて哀しげな表情でそう続けた。
「アナスタシアさん……。」
もう何年も一緒にメイビスといたんだ。
私如き小娘が口を挟むべきではない。
分かってはいるけど……でも何とかしてあげたいと思ってしまった。
こんなことを思うのは初めてのことだった。
今までは自分のことと家族のことで精一杯で、苦しくて辛くて、とても他人のことを思いやるなんて出来なかったからだ。
こっちの世界で初めて私を助けて、受け入れてくれた人だから……。
私って単純なのかな……?
「長々と話しすぎたのぅ……まずは飯じゃな!ほれ、作るから少し待っとれ。」
そう言ってアナスタシアは立ち上がって外へと出て行った。
そういえば13年前でも冒険者やってたって……
「アナスタシアさん、何歳なんだろ。」
思わずそう呟いた。




