クレアリーナ王国15
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「それからはホントに早かったのぅ……。ほぼ1人で悪鬼の如く戦い抜いて、たった2年で今のクレアリーナ王国があるのじゃ。」
私は聞き入っていた。
私にとってのメイビスとはただの悪女だった。
しかし、今聞いた話しだとどうしてもメイビスを憎めなかった。
「わしはな。何とかあの狂人を化け物に変化させずに今を迎えたことをホッとしておる。」
それからも色々と苦悩があったんだろうなと思えば、私は胸が締め付けられるような感覚になった。
「あの、そういえばメイビスって死人を蘇らせる事が出来たと思うんだけど……。」
よくよく考えたらメイビスの天職であれば、クレアとリーナの姉妹を生き返らせることが出来たのでは?
その疑問がふと浮かんで聞いてみる。
「……メイビスのスキルは時間が経った事象には干渉出来ないのじゃ。」
「そう…なの……。」
「あぁ、メイビスの天職が分かったのはテノール王国を潰した後じゃ。テノールとの戦いの時に何度も発動はしとったようじゃがな。」
アナスタシアは目を伏せる。
「因果律を操るスキル。その天職におけるスキルを知った時、メイビスの目は輝いておった。真実を知るまでは……。」
「……何なとなく、わかるかも。」
「彼奴は人を殺す事に躊躇いがなくなっておる。既に正気ではないのじゃ。初めての友達でありながら最後の友達のあの姉妹。あの子たちがメイビスの原動力じゃった。」
アナスタシアは哀しそうな表情になりながらも話しを続けた。
「確かに今までは希望さえなかったクレアとリーナの復活。でも少しでも期待してしまうと、結論出来なかったにせよ傷付くものじゃ。その時からじゃな。メイビスは形だけ立派な王女でありながらも陰で人を嬲り始めたのは……。」
「……。」
私はメイビスにとっての何人目か分からないおもちゃだったってことか……。
「そして丁度その頃じゃな、各地で魔の付くものの報告が入り始めたのも。わしはもともと冒険者ということもあってか各地を旅して原因を調べとった。今もそうなのじゃがな。」
「原因は分からなかったんだよね……?」
「そうじゃな。調べとる間にメイビスは国として討伐隊を組んだりしておったようじゃが、まるで歯が立たんかったそうじゃ。」
「えっと、それで召喚を……?」
「うむ、わしが実際にあった異世界の者は嬢ちゃんだけじゃがな。幾度となく繰り返して全滅させとるとわしの耳には入ってきとる。」
「じゃあ、私たちも……。」
「今までの噂通りならば、殺されるじゃろうな。わしが思うにメイビスは面白半分で今は召喚しとると思うのじゃ。」
「……。」
私たちに対するメイビスの態度。
確かに思い返してみればまるでゲームをしているかのような。
そんな感じがした。
「彼奴の中の幸せはクレアとリーナじゃ。それ以外のことに関しては水の上を飛び回るボウフラ程度にしか感じておらんじゃろうな。」




