クレアリーナ王国14
わしは呆然とメイビスを見つめておった。
「ねぇアン……。」
どのくらい時間が経っただろうか、涙は枯れて虚な目をしているメイビスが口を開いた。
「……メイビス。」
「私は悲しいのかしら……?」
「……どうじゃろうな。」
「話したのは昨日が初めてでしたのよ?そんなお相手にこれほどまでに胸が痛くなる私はおかしいのかしら?」
「……おかしくないのじゃ。少なくともわしはそう思う。」
慎重に言葉を選びながらだから回答が遅くなる。
わしからもメイビスに対して聞きたいことが山ほどあるはずなのに、今は聞くべきではないと身体が警鐘を鳴らしておった。
「クレア……リーナ……。」
無惨な死体に目を遣るメイビス。
その悲痛な視線は何かを決意したかのようなそんな感じがした。
「アン。どうしてこの子たちは死ななくてはならなかったのかしら?」
そして、意を決したようにグッと目を閉じてから開けたメイビスはわしに向き直りはっきりと言葉を発した。
わしの目を見るメイビスはどことなく危険な香りがした。
「わしもさっき知った話じゃ。」
わしはメイビスに騎士から聞いた話をそのまま話してやった。
メイビスは聞き終えると
「そう……。」
スッと冷気に満ちた瞳を細めて
ドガァン!!!!!
足を軽く上げて床を踏み抜いたのだった。
床は割れて地面が剥き出しになり、地面にも大きく亀裂が入っており、かなりの力が込められていたのが容易に見て取れた。
わしは身震いした。
そういえばメイビスの身体能力や天職については何も知らなかったのだ。
こんな小さな少女がこんな力を宿しているとは……。
「アン。王国って腐ってますのね。」
「わしもそう思うのじゃ。」
謎の緊張感がある。
わしがこんなにも怖いと思うことがこれまであったじゃろうか?
そう、怖いのじゃ。
目の前の美しくも冷たい少女が……。
「私決めましたわ。今からこの村は私の国にしますわ。」
「な、何を言うておる!?」
「私は本気でしてよ。アン、私はたった今王女になりましたの。」
「メイビス、お主……!」
「クレアとリーナの約束も守らないといけませんわね。…………私はこれより名をメイビス・クレアリーナと致しますわ。そして、クレアリーナ王国の建国を宣言致しますわ!!!」
「無茶じゃ!そんなことをして何になると言うのじゃ!」
「私は絶対に約束を違えることなどありませんわ。クレアとリーナは私の側で私がテノール王国をクレアリーナ王国へと塗り替えるのを見ていただきますのよ!」
メイビスはクレアとリーナの所へ行き、死体からクレアの髪飾りとリーナのネックレスを取った。
そして、自分でその身につければ、愛おしそうに2人を撫でた。
最早わしに出来ることと言ったら……。
「そこまでの覚悟で言うのであれば、わしもお主に協力しよう。2人でこの国をいや……新しい国を作り上げるのじゃ。」
取り返しのつかないことにならぬよう、この子の近くで見守ることだけじゃ。
わしがメイビスの枷となり、間違った方向に行かぬよう責任を取らねばなるまい。




