クレアリーナ王国13
「ちっ……てこずらせやがって。」
家の中に入って見た光景は、息を切らせている騎士と横たわる3人の少女と1人の大人の女性だった。
もちろん血溜まりの中で。
「メイビス……!」
わしの中の何かが切れたような音がした。
「あ?なんだきさっ!!?」
騎士が何かを言い切るより早くわしは騎士の首を跳ね飛ばした。
この状況を作った奴の声なぞ聞きたくもなかったからじゃ。
わしはメイビスに駆け寄って脈を確認した。
「……何故じゃ、わしの何がいけんかったのじゃ……。」
冷たく横たわるそれはもう死体と判断するに足るものだった。
哀しさと共に怒りと不甲斐なさと後悔。
様々な感情がわしの中を巡った。
「……アン?」
突然メイビスがむくりと起き上がるまでは。
「メイビス!!?お主……は?…え???」
わけが分からなかった。
目の前の少女は確実に死んでおった。
わしが間違えるはずが……。
「ねぇ、なんなのかしらこれ……。」
メイビスは辺りを見回してから静かな声で言った。
表情は以前よく見た無表情だった。
「メイビス、お主生きて……」
「なんなのかしら!!!」
「っ!」
メイビスは叫んだ。
そして、次の瞬間には怒りを露わにしたような表情を見せておった。
「……。」
わしは何も言えなかった。
なんて声をかけてやれば良いのかまるで分からなかったのじゃ。
「何事だ!!!」
その声を聞いて駆けつけた騎士たち。
メイビスとわしの姿を確認すれば、すぐさま始末しようと剣を構えてはわしらに襲い掛かってきた。
わしはすぐに迎撃態勢を整えることが出来なかった。
しかし
ギィン!!!!!
メイビスはわしが倒した兵士の剣を咄嗟に抜けば、上段からの振り下ろしを綺麗に受け流しておった。
「ぬっ!?」
「何が……」
わしと騎士たちが驚きで固まった時、既に事は終わっていた。
メイビスと剣を交えていた騎士の首が身体から離れて、重力に従い地面へと落下していた。
それはわしでさえ視認するのがやっとの早さだった。
「許しませんわ。」
メイビスは怒りの表情ではなく、恐ろしく冷たい目をしておった。
大量の涙を流しながら。
その立ち居振る舞いは美しく、まるで歴戦の騎士を彷彿とさせるようなものだった。
「え?」
そして、有無を言わさない早さで室内の騎士たちの首をはねていった。
「撤退!撤退いいいい!!!」
外からそのような声が響き、バタバタと人の足音と馬の足音が混ざり合って、次第にそれは遠くなり、静寂が訪れた。




