クレアリーナ王国5
それからわしはメイビスに色んなことを教えた。
人間はこんな時にこんな事を考えていることが多いとか、このような表情をする時はこんな事をウチに秘めている可能性があるとか……。
特に対人スキルに関してを入念に教え込んだ。
メイビスは優秀じゃった。
わしが言ったことは必ず一度で覚えるし、わしが作った表情もすぐに真似をする事も出来たのじゃ。
そういうメイビスを見ているとわしも教えるのが楽しくなってきて、ただひたすらに教え込んだ。
そしてたったの2日で……
「アン!今日は何を教えてくれるのかしら!」
こんなにも無邪気と言えるような笑顔を作り出せるようになっておった。
ずっと一緒におるわしでさえその笑顔は無垢に見えたし、魅力的に見えた。
実際は作ってあるだけなのじゃが……。
「残念じゃがネタ切れじゃ。というより、もうメイビスに教える事はもうないのじゃ。」
「その顔は……嘘はついてないですわね。」
「いやむしろ対人スキルに関しては既にわし以上じゃな。」
吸収が早いだけじゃなく、応用力もある。
なんじゃこの天才少女は……。
「つまらないですわ。」
「今……なんと言ったのじゃ……?」
「つまらないと言いましてよ?」
わしは内心かなり驚愕した。
出会ってから今までこの少女には感情という物がなかった。
その少女が"つまらない"と感情を示した。
この変化は一体……。
いや、今までももしかしたら同じような感情を持ち合わせていたのかもしれないのじゃが……。
「……わしとの2日間どうじゃった?」
わしは聞いてみた。
メイビスがどのような返答をするのか気になったのじゃ。
わしの知るメイビスであれば「人間の知識が増えましたわね。」など言うじゃろうが……。
「とても楽しかったですわ!」
今目の前にいる少女は笑顔でそう答えたのじゃった。
「……。」
わしはその姿に驚き、見惚れて、固まってしもうた。
「どうしましたの?」
心配するような表情でわしの顔を覗き込んでくるメイビス。
2日前とはまるで別人の生き生きとした表情に同性ながらドキッとしてしもうた。
「な、何でもないのじゃ!そ、そうか……楽しかったんじゃな!なら良かったわい!」
わしは少し顔を赤らめながら、恥ずかしさを紛らわすように笑顔を作り、大きめの声を出した。
「……私を魅力的に見てしまい、少し恥ずかしく思いながらも誤魔化しに来たって感じですわね?」
「んなっ!?」
「そして図星を言われて驚きと焦りを感じている表情ですわね?」
「!?!?」
わしはバッと顔を咄嗟に覆った。
何なのじゃ!?
さとり妖怪か!?
自分が育てた少女がこんなことになるとは思っとらんかった!




