クレアリーナ王国3
「うむ、ではお寺に泊まられるのはいかがかな?」
「お寺?寺があるのかの?」
周りをくるっと見てみるがどこにも見当たらない。
「ははは、なぁに少し外れた場所にあるだけじゃよ。行ってみると良い。案内には……彼女を連れて行きなさい。」
そう言って老人は1人の少女を指差した。
年齢は……6.7才くらいじゃろうか?
まあともかく言われた通りにやってみるかの。
「うむ、恩に着るのじゃ。」
わしは老人に挨拶してその場を離れて少女の前へと足を運んだ。
「……。」
「そこの可愛らしいお嬢ちゃん、わしを寺へ案内してはくれんかの?」
静かにベンチに座る少女はまさにお人形みたいな可愛らしさじゃった。
まるで絵本の中から出てきたキャラクターのようじゃ。
「……良いですわよ。」
少女は死んだような瞳をしながらも頷き、とてとてと走り始めた。
わしはそれに従うようについていった。
少し村から外れて、一つの建物が見えた。
周りには木々が生い茂っており、建物の前に賽銭箱が1つ。
それ以外には特筆すべきことはなかった。
「ふむ……まさかこのようなボロ寺で寝泊りするのかの?」
「私のお家ですわ。」
少女は感情がないかのように淡々と告げた。
「……。」
いやいや、女の子が1人でここに住んでおるのか?
だとしてもそんな場所にただの旅人を案内してそこに泊まれっていうあの老人なんなのじゃ!?
「入ってよろしくてよ。」
そう言って少女は靴を脱いで中へと入っていった。
「む、むぅ……お邪魔するのじゃ。」
わしも同じように靴を脱いで寺へと入る。
ギシギシと歩くたびに鳴る不安な音が特徴的じゃった。
「そういえばお嬢ちゃんはここで1人で暮らしておるのか?」
「うん。」
「パパやママはおらんのか?」
「知らない。」
「何処におるかわからんのか?」
「私に両親なんていないのですわ。」
「うむ?」
わけが分からなくなり、わしは少し難しい顔をする。
「気がついたらここにいて、気がついたら村人になっていたのですわ。」
「意味がわからんのぅ……。名前を付けた人がおるじゃろう?それが両親ではないのかの?」
「名前って何ですの?私にそんなものありませんわ。」
「いや、村ではどのように呼ばれておるのじゃ……。」
「あの子…とか、ガキとか?決まった名前はありませんわね。」
「……。」
この子は孤児なんじゃろうか?
それにしては言葉遣いがお嬢様口調じゃし、振る舞いも綺麗じゃな。
記憶喪失。と考えた方が良さそうじゃな。




