クレアリーナ王国2
「魔の付くものは正常だった生物が突然変異して起こるとされておる。先ほども言うたように原因はわかっとらん。」
「なるほど、それらを撲滅するためにメイビスさんは私たちを召喚したんだ。」
「名目上そうだと思うんじゃが、どうも彼奴がやることは遊びのような気がしてならん。」
「それはどういう……。」
「今のクレアリーナ王国は王女が作り上げたものじゃ。しかし、その作り上げる過程が恐ろしかったのじゃ。」
「どんなことを、したの?」
彼女の雰囲気が神妙なものに変わる。
私はそんな雰囲気に呑まれるようにゴクリた生唾を飲み込んだ。
「戦争に次ぐ戦争。力が絶対だと言わんばかりじゃった。小さな村が1人の少女に支配されることから始まり、どんどん周りの村から街から戦争をしかけていっては滅ぼしていく。その姿はさながら鬼神のようじゃった。」
「……すごい。」
「元々ここはテノール王国の領土じゃ。今は滅んでおるがな。現状彼奴の周りのクレアリーナ騎士団はテノールの騎士団じゃしな。」
「……どうしてそんなに詳しいの?」
まるで間近で見てきたかのような言い分に私は違和感を覚えた。
「……彼奴の唯一の協力者がわしじゃ。」
「え……?」
「ちょうど13年前じゃったか……わしがある一つの村に訪れたところから始まるのじゃ。」
遠い昔を懐かしむような顔をしながらゆっくりと彼女は語り始めた。
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「ほほぅ……ここがマルチ村じゃな。」
マルチ村。
テノール王国の領土の一つであり、小さな村の一つで特筆すべき物が全くないが争い事も少ない平和な村じゃ。
何故冒険者たるわしがここを訪れたのかというと、旅の疲れを癒すためじゃった。
噂通りの何もない村で、何も気にせずに過ごせそうじゃ。
そんなことを思いながら、わしは村の中心へと歩いていく。
「見ない人だが、、、旅人かね?」
1人の老人がわしに話しかけてきた。
「うむ、まあそんな感じじゃ。」
「ここへは何をしに?」
「何もしないために来たのじゃ。」
「ははは…それはそれは確かにこの村は適任ですな。」
後ろ髪しかないような禿頭の老人はカラカラと笑う。
「というわけで、3泊ほどしたいのじゃが、宿屋はあるかの?」
わしも同じように笑いながら、まずは寝床と思い聞いてみた。




