絶望……そして希望19
沼地。
特にモンスターは出現しないが、空気が悪く、地面もぬかるんでおり、誰も近寄らない。
特に噂では一度沈みだすと1人では抜けられないとかなんとか。
かなり前の処刑方法に沼地に沈めるようなモノがあったらしいが、その残虐性から表向きには利用されていないみたいだ。
拷問に利用することもあるらしいが、全部訓練中での知識なので、実態は分からない。
「ねーねー紗斗ー。ここで何すんのー?」
「あん時聞いただろ?沼地ってとこに来てみたかったんだよ。」
「もしかして実験って奴か?」
「分かってんなら聞くんじゃねぇよ。何のためにこのクズを連れてきたと思ってんだ。」
「あ、あぁ…悪いな……。」
私はこれから何をされるんだろう?
と、ボーッとした頭で思いつつ3人の顔をチラチラ見ていた。
「おいカス。沼地の奥の方まで自分で歩け。」
見下して楽しんでいるような瞳で私を見据えれば、紗斗は私の背中をバン!と叩いた。
「きゃっ!」
私はその勢いのまま数歩ほどよろけて進んで、そのまま倒れ込んでしまった。
ベチャッ!
身体中が一瞬で泥だらけになってしまう。
起き上がろうと腕に力を入れて地面に手をつき、立ち上がろうとするが……
「えっ……」
地面についた手がそのまま沈んでいく。
気がついたら全身がゆっくりと沼地に沈んでいっているではないか。
「うそ…ゃ…だ……!」
私は僅かに残された生存本能から必死に涙目になりながらもがく。
しかし、力を入れれば入れるほど沈んでいく速度はどんどん上がっていく。
「おいおいやーっぱあの話は本当だったってか!無様だなぁクズ!」
「うっわきっも。必死に暴れちゃってゴキブリみたい。」
「あーあこれどうするんだ?」
3人は私のこの状態を見ても焦ることなくただ侮蔑の視線を送るだけだった。
「たす…け……。」
私はかすれた声でなんとか3人に命乞いをする。
しかし……
「しらね。自分で何とかしろやカス。」
無慈悲に残酷な視線で言葉で切り捨てられた。
「……っ!」
「おいおいいーじゃねぇか!その目最高だぜ!勘違いしてるかもしんねぇけどなぁ……俺はてめぇのことこれまで一度たりとも同じ人間だなんて思ったことねぇよ!」
「あはははは!紗斗言い過ぎー!」
「事実だろ。」
「そん……な……。」
私がいったいあなたたちに何をしたと言うの?
わからない……どうして……?
絶望の中、沈んでいく己が身体を見ながら私は抵抗をやめた。
「んな"気持ち悪りぃオーラ"出してる奴が同じ人間なわけねぇだろーがドブネズミが。」
その言葉を最後に耳にして、私は意識を手放した。




