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運があれば異世界最強! 〜前世最悪だった僕、運だけで無双する〜  作者: 咲夜


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運だけで試練に挑んだら、最強戦士になりました

天空都市をあとにした空飛ぶ馬車は、雲海を滑らかに走り抜け、魔法文化が世界で最も発展した大都市——『魔法の国マギステリア』へと到着したのだった。


「うわぁぁ……! 街中に綺麗な魔法の光が溢れてるね、アイリス!」


「はい、ルーク様! こちらは世界中の優秀な魔導士や賢者が集う、魔法の最高峰でございます!」


美しい浮遊灯篭や魔法仕掛けの建物が立ち並ぶ大街道を進み、ルークたちは街の中央に鎮座する巨塔『聖魔導殿』へと向かった。


そこの大司祭に右腕の【勇者の証】を見せると、例によって「おおお……本物の勇者様!」と一発で大歓迎され、奥の聖域に保管されていた6つ目の神具——【勇者の宝珠】が恭しく献上されたのだった。


「よしっ! さっそく【万物鑑定】を使ってみよう!」


ルークは宝珠に左手をかざした。


【名称:勇者の宝珠】 【分類:神具】 【追加効果①:【聖光付与】——あらゆる攻撃や魔法に、邪気を切り裂く最高階級の『聖光属性』を付与する】 【追加効果②:【広域浄化】——周囲の邪気、呪い、瘴気を自動的に浄化・消滅させる】


「うわあぁぁ……! 闇の力を打ち破る光の属性を付与してくれるんだね! すごいなぁ!」


ルークはさっそく、愛用している【ミスリルの剣】の柄頭(つかがしら)にある小さな窪みに【勇者の宝珠】をカチリとはめ込んだ。


すると、ミスリルの剣刃が白銀の聖光を放ち、凄まじい神聖な威圧感を漂わせ始めた。


だが、宝珠を手渡してくれた大司祭は、真剣な面持ちでルークに告げた。


「勇者ルーク様。宝珠の真の力を完全に解放し、最後に残された『7つ目の神具』をその手にするためには……貴方様のご職業を『勇者』へと進化させねばなりません」


「えっ? 職業を『勇者』に……ですか?」


「左様でございます。そのためには、我が国にある『勇者の間』にて、【戦士】【魔法使い】【ドラゴンマスター】【聖職者】という4つの試練をクリアせねばならぬのです」


「へぇ〜! 4つの試練を受ければいいんだね! よーし、やってみよう!」


ルークはやる気満々で、まずは職業の変更を行うため、街の『冒険者ギルド本部』に向かうことにした。


◇


冒険者ギルドの受付にて、ルークは水晶玉に手をかざして自分のステータス画面を表示させた。


【名前:ルーク】 【レベル:999(カンスト)】 【現在の職業:魔法戦士】 【職業ランク:スペシャリスト(最高ランク)】


「うわぁ! 僕の『魔法戦士』のランクって、いつの間にか最高ランクのスペシャリストになってたんだね!」


ルークは目を丸くした。魔法戦士になって以来、一度もこの職業で困ったことがなかったため、ランクが極限まで上がっていたことに今のいままで気づいていなかったのである。


「さてと……まずは『戦士』の試練を受けるから、職業を戦士に変えてみよう!」


ルークが『戦士』のボタンを押すと、ステータス表示がクルリと切り替わった。


【現在の職業:戦士】 【職業ランク:初心者(レベル1)】


「えっ!? 別の職業に変えると、ランクはまた『初心者』からやり直しになっちゃうんだ!?」


「ふふっ、ルーク様。他の職業に転職された直後は、どなた様も『初心者』からのスタートとなりますからね」


アイリスが微笑ましく見守る中、職種を『戦士』に切り替え、ギルドの地下にある『勇者の間・戦士の試練』へと足を踏み入れたのだった。


◇


『勇者の間』の扉が重々しく閉まると、広大な石造りの闘技場の中央に、全高五メートルを超える巨大な黒鉄の魔導人形——『試練のゴーレム』がズシンと立ちふさがった。


『戦士』へ転職したことにより、これまで自由に使えていた魔法が一切発動できなくなっていることにルークは気づいた。純粋な物理職である戦士となったルークは、自分の肉体と剣技のみで戦わねばならないのだ。


「うわっ、本当に魔法が全然使えなくなっちゃった! アイリスって普段こういう感じで戦ってるんだね!」


ルークが感心していると、目の前のゴーレムが不気味な赤光を放ち、猛然と襲いかかってきた!


実はこのゴーレムには、戦士の試練用に『物理攻撃に対する極端な絶対耐性(ダメージ99%カット)』という特殊魔法が掛けられていたのである。


ルークが【ミスリルの剣】を振り抜き、ゴーレムの胸元に一撃を叩き込む!


ズガァァァンッ!!


凄まじい衝撃音が響き渡るが——なんと、ゴーレムの装甲にはかすり傷一つ付かない!


「ええっ!? 全然ダメージが通ってないみたいなんだけど!?」


ルークのレベルはカンストの999であり、【勇者の小手】による爆発的な【剛力】も付与されている。普通なら巨大な岩すら一粉砕する威力が、このゴーレムには全く効いていないように見えた。


ゴーレムの丸太のような巨大な腕が、凄まじい速度でルークへ振り下ろされる!


「うわっとっと!」


ルークは身を翻して回避したが、ゴーレムは単なる物理攻撃だけでなく、口から広範囲の爆炎魔法や、睡眠ガス、攻撃力や防御力を強制低下させる悪質なデバフ魔法を次々と繰り出してきた!


魔法が使えない戦士のルークは、魔法で消去(ディスペル)することもできない。


攻撃を完全にかわすことは難しく、【勇者の盾】で相手の激しい攻撃を受け止めながら、隙を縫ってひたすら剣を打ち込み続けるしかなかった!


「睡眠ガス!? 【勇者の兜】のおかげで平気だけど、攻撃の手を休めちゃダメだ!」


ゴーレムの怒涛の攻撃をかわし、防ぎ、合間を縫って正確に急所へ剣を叩き込む。


——何百回、何千回……!


かつてない高スピード、かつてない高密度の死闘が、この短時間に猛スピードで繰り広げられていく。もう何回剣を叩き込んだか分からなくなった頃——。


(……あ、あれ……!? なんだか……身体がすごく軽く動くようになってきた……!?)


ひたすら剣を振り、相手の動きを見切り、最小限の動作で威力を乗せて叩き込む。


その死闘の中で、ルークの中に眠っていたレベル999の潜在能力が、目まぐるしい速さで**『本物の洗練された剣技スキル』**として一気に開花し始めたのである!


今までルークは、【運∞】のチートによって相手が勝手に自滅したり、自分は後ろから範囲補助魔法(バフ)をかけるスタイルがほとんどであった。自分の身体でこれほどの本気の打ち込みを続けたのは、異世界に来てこれが人生で初めての経験だったのだ。


「これで……決めるんだぁぁぁーーーっ!!!」


無我夢中で振るったルークの渾身の一撃が、聖光を纏ってゴーレムの核(コア)を正確に貫いた!


絶対的な物理耐性を誇っていたゴーレムが、ついにその場に膝をつき停止したのだった!


「ふぅ〜〜〜〜っ!! た、倒せたーーーっ!!」


ルークは額の汗を拭い、息を整えながら自分の手を見つめた。


「すごい……! 今まではアイリスに前衛をお任せして自分は後ろにいることが多かったけど……本気で打ち込み続けたら、自分の剣の技術がすごく上達した気がするよ!」


◇


ギルドに戻り、ステータスを確認すると、なんと一度の死闘で『戦士』のランクが一気に【スペシャリスト】へとカンストしていた!


「よしっ! 戦士の次は『魔法使い』だね!」


さっそくギルドで『魔法使い』へ転職したルークであったが、魔法使いの格好で腰に剣を下げているのはどうにも違和感があった。


「魔法使いなら、やっぱり杖が必要だよね! アイリス、武器屋さんに行ってみよう!」


街の老舗武器屋へ向かうと、店内にはずらりと数百本もの美しい魔法の杖が並んでいた。


店主の老人がニッコリと微笑む。


「いらっしゃい。杖というものはね、持ち主を選ぶものなのじゃよ。じっくり見てみなされ」


ルークが店内を見渡すと——壁の奥にひっそりと飾られていた、青い宝珠が嵌め込まれた一本の透き通る木製の杖が、まるでルークを呼んでいるかのように優しく輝いた。


「あっ……あの杖、すごく気になるかも!」


「おお……! やはりですか! その杖こそ、貴方様を引き寄せた運命の杖でございます!」


店主から手渡された杖をルークが手に握りしめた——次の瞬間!


『フワァァァァァ……ッ!!』


ルークが全身に身につけている【勇者の兜】【勇者の鎧】などの神具が、光とともにその形状を変化させ、軽やかで格調高い『高貴な魔導士の聖衣』へと一瞬で変身してしまったのである!


「うわあぁぁ! 服の形が魔法使いっぽくなったーっ!」


杖を手に入れたルークは、再び『勇者の間』へと向かったのだった。


◇


『勇者の間』の扉が閉じると、今度は青い魔導光を放つゴーレムが現れた。


相手は極端な魔法絶対耐性(魔法ダメージ99%カット)を持っているゴーレムである。


「今度は魔法が効きにくいゴーレムなんだね! よーし、僕が覚えている一番強い攻撃魔法を使ってみよう!」


ルークは手にした杖を掲げ、覚えている中で最高ランクの攻撃魔法を放った!


「くらえ! 『インフェルノ(レベル100)』!!」


ゴーレムを包み込む巨大な地獄の業火が巻き起こる!


——が!


ゴーレムは鬱陶しそうに、巨大な手でその炎をパッと払いのけてしまった。


「ええっ!? 一点も効いてない!? なんでーーーっ!?」


ルークは焦って自分が覚えている魔法を思い返した。


(……あ、あれ……!? 考えてみたら、今までは運で何とかなってたから、攻撃魔法をほとんど使ったことがなくて……僕、強い攻撃魔法を全然覚えてないやーーーっ!?)


そう——ルークが覚えていたのは生活魔法や補助魔法、そして初期の範囲攻撃魔法程度であり、魔法耐性激高の試練ゴーレムを打ち破るほどの『超高火力・極大攻撃魔法』を一切所持していなかったのだ!


「うわあぁぁ! 一旦やり直しだーっ!」


ルークは命からがら試練の間から退出し、頭を抱えて街の『魔導書屋』へと駆け込んだのだった。


◇


「いらっしゃい。ここは魔法の国一番の魔導書屋だよ」


店内には山のような魔導書や、怪しく輝く魔法の宝珠が並んでいた。


ルークが「ゴーレムを一撃で吹き飛ばすような、すごーく強い攻撃魔法が欲しいんです!」と相談すると、店主の老魔導士はフッと不敵な笑みを浮かべた。


「ふむ……店で売っているような市販の宝珠では、試練のゴーレムを破るほどの極大魔法は手に入らんよ。本物の最高峰の攻撃魔法が欲しければ……この街の先にある『モンスターの巣窟』と呼ばれる最深部のダンジョンへ行くことじゃな」


「モンスターの巣窟……ですか?」


「うむ。そこは数万の凶暴なモンスターが群がる恐怖の魔境。だが、その最深部に鎮座するボスを倒せば、古代の極大魔法が封印された『至高の魔法宝珠』が手に入るという噂じゃ」


「よしっ! アイリス、そのダンジョンへ行ってみよう!」


こうしてルークとアイリスは、最高峰の攻撃魔法を手に入れるため、恐ろしいダンジョン『モンスターの巣窟』へと向かったのだった。


◇


『モンスターの巣窟』に一歩足を踏み入れると、襲いかかってきたのは数千匹の凶暴な上級モンスターの群れであった!


魔法使いであるルークは、手に持った杖を掲げ、後方から支援魔法を繰り出した!


「アイリス、任せたよ! 『アタックブースト』! 『ディフェンスブースト』!!」


ルークの杖から放たれたのは、【運∞】の超強力な補正が乗った最高峰の攻撃力・防御力強化バフ魔法であった!


「はいっ、ルーク様!!」


バフを受けたアイリスの身体が眩い黄金のオーラに包まれる!


先ほどの『戦士の試練』を経たことで、敵の動きや戦況の間合いが手に取るように分かるようになったルークは、「今だ、アイリス! 右から来るよ!」「次は後ろ!」と、完璧なタイミングで指示とバフを飛ばしまくった!


ルークの完璧な戦術眼と超強化バフを受けたアイリスは、まるで神速の戦鬼のごとき圧倒的な剣閃を繰り出し、群がる上級モンスターたちを一瞬で一網打尽にしていく!


ルークもまた、後方から『極大炎界呪(インフェルノ)』を放ち、的確なタイミングで敵の攻撃を弾いてアイリスを強力にサポート!


魔法使いとしての立ち回りと、戦士の試練で覚醒した戦術眼が見事に噛み合い、二人は恐ろしいダンジョンを爆速で突き進んでいったのだった!


「素晴らしいです、ルーク様! 先ほどの試練を経て、ルーク様の指示と魔法のタイミングが極限まで研ぎ澄まされております!」


「あはは! 敵の動きがすごくよく見えるから、インフェルノのタイミングもバッチリだよ!」


◇


ダンジョンの最深部に近づくにつれ、出現するモンスターも一層巨大で強力なものになってきた。


さすがに連続戦闘で少し疲れた二人は、広い岩場に出たところで小休止を取ることにした。


ルークは召喚魔法で影から豪華な馬車を呼び出し、周囲の警戒には召喚した頼もしいドラゴンとボルトを配置した。


ふかふかのソファに腰掛け、冷えたジュースを飲みながら、ルークとアイリスはほっと息をついた。


「ふぅ〜! 今回の試練とダンジョンは、すごく良い経験になってる気がするね、アイリス!」


「はい、ルーク様! 運だけに頼るのではなく、お互いの実力を高め合い、連携を深める……。この経験は、将来の邪神との戦いにおいて、必ずや大きな糧となります!」


「うん! 四方八方を強いモンスターに囲まれた時は、僕がバフとフレイムバレットで足止めをして、アイリスが切り開く……みたいな連携もバッチリ練習しておこうね!」


二人が楽しそうに戦闘の連携について話し合っていた。


ふと馬車の外に目をやると、仲間になったドラゴンの姿が目に入った。


「あっ! そういえばアイリス!」


ルークは手をポンと叩いた。


「僕たちの仲間になってくれたドラゴンさんの『名前』、まだ決めてなかったよね!」


馬車の外を見ると、体長二十メートルを超える赤いドラゴンが、窓から大きな金の瞳を覗かせ、「名前……くれないの……?」と言いたげにキュ〜ンと甘えた声をあげていた。


「ふふっ、そうでございましたね! ルーク様、どのようなお名前にいたしましょうか?」


「う〜ん……赤いウロコがすごく綺麗で、火山の炎みたいに格好いいから……『ヴォルカ』なんてどうかな?」


「『ヴォルカ』……! 力強くも温かい、素晴らしいお名前でございます!」


ルークが窓を開け、ドラゴンの大きな鼻先を優しく撫でながら語りかけた。


「君の名前は、今日から『ヴォルカ』だよ! よろしくね、ヴォルカ!」


すると——名前をもらったドラゴン『ヴォルカ』は、飛び上がるほど大喜びし、大空に向かって歓喜の咆哮をあげた!


『ギャオオォォォォォーーーーーッ♪♪』


嬉しそうに馬車の周りをグルグルと旋回するヴォルカの姿を見て、ルークとアイリスは顔を見合わせて笑い合うのだった。


さあ、魔法使いとしての立ち回りを磨いたルークたちは、至高の魔法宝珠が眠るダンジョン最深部へ向けて、さらなる冒険へと歩みを進める!

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