ギザギザの10円玉なんて物はないのでバイブで代用します‼
――これは、本気でまずいことになった。
冬木・師春は周りの風景を眺める。中世風の街並みに闊歩するのは、私の学校にいたらミヤ先の10分バリカンコースだろうなという事がうかがえる緑だの青色だのの髪の毛を持つ人々。
プラスαポリクティカルコレクトネスを訴える、人たちもびっくりの薄着のリザードマンやらアール指定のかかりそうな格好のバニーガールやらの異種族たち。
「これってもしかして、異世界召喚ってやつ~」
私がそう独り言ちると、その人々がこちらに向かって軽く視線を向ける。私のような経緯で異世界転生をする、ライトノベルでこんな展開を読んだことがあったから一回やってみたかっただけなのだ。そんな共感性の暴力を受けながら私は俯いて街を歩く。
私はポケットの中に手を突っ込む、そこにあったのはお金ではない。私はコンビニエンスストアの事をエロ本立ち読みスポットと呼んでいるくらいに紳士だ。
「こういう時に人生で何を取り組んでたかがわかるよな~」
ポケットから出てきたのは小さな電動マッサージ機。ボタン一つで動くタイプでアレをアレするやつといえば伝わるだろうか、、、
否伝わる必要はないものだ。少し歩いていると小さな屋台があった。どうやら果物を売っているようだ。こういう時に貨幣としてその世界では何が使われているのかを知るというのは定石だ。私は意を決してその店の店主に話かける。
「あのーすみません」
「なんだ?」
その薄着の店主は筋骨隆々で売っている果物など片手で割ってしまいそうなほどの腕の筋肉をしている。だがビビることはない。私には性欲とコミュニケーション能力というスキルがある。否それしかないともいえる
「之とそちらの果物、交換することってできますか?」
そういった私は今後絶対に使うことはないであろう、バイブと果物の物々交換に乗り出す。さすがにスマホは渡せないしお金は持ってないし、かろうじて物々交換に使えそうなものがこのバイブしかないのだ。
「なんだそのピンクの気持ち悪い虫は、なんかぬめぬめしてねえか。冷やかしなら帰れ」
「ぬめぬめはしてねえよ、ちゃんと拭いたつうのちゃんと見てみろ!」
拭けばいいものなのか、どうかはわからない。けれどさすがに自分の使用済みというのは認めたくはなかった。そこが人間とヤリ〇ンの境目な気がしたからだ。
そう言った私はバイブを突き出しスイッチを起動する。
「ウィーンウィーン」
バイブがぴくぴくと動き始める。
「うわあ!なにすんだクソガキ!」
その店主は思いっきり私のマイバイブ通称マイオナ君一号を弾き飛ばす。
「ああ!なんてことすんだよ!私のマイオナ君一号が!マジで許しま千円。賠償金として千円を私は要求する」
「うるせえ!クソガキとっと家に帰れ」
「世知辛いゴリラが、私のマイオナ君に謝れ、馬鹿垂れ、っていうかリンゴよこせ!」
その店主はシッシ、というハンドジェスチャーを黒の手袋をした手で行って、私を追い出した。
私は肩をおろしながら空腹に耐え少しづつ道を進んでいく。おなかすいた。エロ本読んだ後ってなんでこんなにお腹がすくんだろう?やっぱりエロってカロリー消費が激しいのかな?
結局貨幣価値もわからないままだ。何も先に進んでいない。これが私の第二の人生ってやつか、、、
「とほほ」




