後日譚:ここから
「あ、そだそだ。ちょい集合~」
「ん……?」「なんでしょう?」
成子の掛け声に応じて、恭介の周りに小栗、藍音も集まる。
これからチームとして活動するメンバーだ。わざわざそのために集めたようなものなので、基本的には固定のメンバーとなる。
「なんか、せっかくチーム組むんだしさ、名前欲しくない?」
「あー……【黒天鳴音】さんみたいに……?」
「そうそう、別に凝ったやつじゃなくてもいいけどさ。団結力UP? も兼ねて」
「わぁ、それいいですね!」
成子の提案に目を輝かせる面々。
言い出しっぺの成子は、言うだけ言って自分で考える気はないのか、恭介を見つめてにやにやしている。何か試されているのだろうか。
「そうだな、主に【A級案件】を担う固定班は○○組と言われることが多い」
「ほうほう」
それはまさに能研におけるエース集団。
能力の組み合わせだったり、同期だったり。組む理由は様々だが、いずれの場合も、明確に能研に組むメリットがないと許可されない。つまり、数少ない高ランク能力者を各班に割り振るよりかは、戦果が期待できると判断されたチーム。そこにかかる期待は非常に大きい。
「1区に限らず言うと、有名どころで『月組』『鉄組』『剣組』。同期だと『花組』『的組』あたりか」
「へぇ~、けっこうあるんだねぇ」
「ソロでやるにも限界があるからな。相性を補える組み合わせは必要になってくる」
「なるほど……」
「勉強になります!」
恭介の言葉に皆、興味津々だ。
固定班はだいたい3~5名で組まれる小隊であり、班名には各能力の特性が色濃く出るものだ。主にエース級の能力者の特徴を反映させたものが多いが、これは希望を出してもいいし、上に投げておけば勝手に呼称が付けられる。各自に振られる暗号名のチーム版のようなものだ。
恭介達に至っては、全員がAランク。
他所と比べても贅沢すぎるほどの編成だが、全て恭介が身体を張って集めたメンバーだ。どうこう言われる筋合いはないし、おそらく彼らのチーム構成は、能研データベース上には反映されないだろう。あくまで、試験運用的な側面が強いからだ。当然取り扱う任務が【S級案件】だから、というのが一番の理由ではあるのだが。
「しかし、そうなると難しいな……皆個性はあるし……」
「くりちゃんなら……花、は被るか。薔薇組?」
「ふふ、おしゃれさんだね……」
「成子ちゃんは髑髏、もしくは骸……強そうですね!」
「うぇ~……全然可愛くない。あいちゃんなら女神? 癒し? 難しいね」
うんうんと唸りだした面々。
あくまで作戦上の管理に必要なだけなのだが、こういうことにはついムキになったりするものだ。一つのテーマで集まったわけではない、このメンバーを端的に表す表現はいったい何になるのか。
「ま、最初からいいのは決まってるんだけどね」
「そうだね……」
「私達がこうして会えたのも全て、そこからですしね」
あーでもないこーでもないと話していた3人だが、最後は笑い声が漏れていた。どうやら、元からある程度考えはまとまっていたようだ。
「ん? 何かいいのでも決まったのか?」
早々に自分で考えることを諦めていた恭介。そんな彼をニヤニヤ見つめる成子達。
「そりゃね、これしかないでしょ」
「ね……」「はい!」
「「「影組で!」」」
それは恭介を意味する班名。全てはここから。
一時は敵対もしたが、今は納得してこの場にいる。それは彼が居てくれたから。
不意に恭介のポケットに収めていた携帯が震える。
彼女達に断りを入れて、確認をする恭介。どうやら電話ではなく、メールだったようだ。少し時間をかけて確認し、彼女達にも見せる。
「次の任務が決まった」
「どれどれ……わっ、なんで知ってるの!?」
「今ここに……いたのかな」
「不思議です……」
メール文面を見て、驚きの声を上げる面々。
恭介も驚いたが、今更とばかりに少し息を吐く。
「あの人は、地獄耳でもあるのかもしれないな」
それは1区支部長補佐である、立花からの指令メール。
そこにはこう記されていた。
『影組』の諸君へ
まずは、チーム結成おめでとう。
君達に期待する役割は大きい。早速だが次回の指令だ。
次回は、複数班合同で行う、共同ミッション。
集合は今週末、各自集まり次第6区へ向かってくれ。
詳細は追って連絡する。
以上.




