第5話 外遊
聖王大聖女に就任して一週間。
ソフィアは初めての外遊へ出ていた。
教会を代表し、各地の教会や孤児院、医療院を視察することも、聖王大聖女の大切な務めである。
豪華な馬車が街へ入ると、沿道には大勢の人々が集まっていた。
「聖王大聖女様ー!」
「聖王様ー!」
「こっちを見てください!」
「おめでとうございます!」
子どもたちは目を輝かせ。
大人たちは笑顔で拍手を送る。
ソフィアは少し照れながら、窓を開けた。
「ありがとうございます」
精一杯の笑顔で、小さく手を振る。
その姿を見て、人々の歓声はさらに大きくなった。
「聖王様だー!」
「手を振ってくださった!」
「素敵ー!」
馬車の中。
笑顔のまま手を振り続けるソフィアだったが、その心の中は大混乱だった。
(やめてください……)
(私はそんな立派な人じゃありません……)
現代最高峰の光魔法使い。
史上初の聖王大聖女。
そんなふうに呼ばれるたび、胸が苦しくなる。
(皆さん、期待しすぎです……)
(私なんかより、もっと立派な方がたくさんいるのに……)
それでも笑顔は絶やさない。
応援してくれる人たちを悲しませたくはなかった。
だから今日も、精一杯手を振る。
ただ一つだけ。
ソフィアの心の中には、同じ言葉が何度も浮かんでいた。
(この肩書き……)
(重すぎます……)




