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史上初の聖王大聖女ですが、休暇の過ごし方が分かりません!!  作者: Atelier Lotus


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第2話 二人の元大聖女

 ソフィアに光魔法が発現したのは、まだ幼い頃だった。


 その知らせは瞬く間に教会へ届き、彼女は聖女候補として迎えられることになる。


 約百五十年前。


 一人の大聖女が、千年にも及んだ魔王時代へ終止符を打った。


 その偉業は世界中へ知れ渡り、人々は改めて聖女という存在を信仰するようになった。


 以来、教会はかつてないほど聖女信仰が盛んな時代を迎えていた。


 光魔法の発現者は極めて稀。


 だからこそ、人々は光魔法を授かった少女へ大きな期待を寄せた。


「光魔法だ!」


「将来は立派な聖女様になるぞ!」


「現代最高の聖女様になられるに違いない!」


 まだ幼い少女だった。


 治癒魔法も満足に扱えない。


 光の護身剣すら作れない。


 それでも人々は、その小さな背中へ未来を重ねた。


 未来の聖女。


 教会の希望。


 人々を救う光。


 期待は年を追うごとに大きくなり。


 気が付けばソフィアは、『現代最高の聖女』と呼ばれるようになっていた。


「私は、まだ何も成し遂げていません……」


 何度そう口にしても、誰も耳を貸さなかった。


 だからソフィアは努力した。


 少しでも、その期待に応えられるように。


 誰かを救える聖女になれるように。


 来る日も来る日も、光魔法を磨き続けた。


 そして――。


 今から五年前。


 一人の元大聖女が、百年続いた世界の危機を救った。


 本来なら、その人こそ世界中から称えられるべきだった。


 しかし、その人は静かに微笑む。


「この功績は、あなたが受け取ってください」


 ソフィアは何度も首を横へ振った。


「そんなことできません!」


「これは私ではなく、あなたの功績です!」


 それでも、その元大聖女は穏やかに笑うだけだった。


「私はもう十分です」


「だから、お願いします」


 結局。


 ソフィアは最後まで勝てなかった。


 そして今日。


 聖王大聖女就任式。


 もう一人の元大聖女もまた、大きな功績をソフィアへ託した。


 初代大聖女エリアネを偲び、四種族の友好を祝う教会最大の祭典――エリアネ大祭。


 教会にとって最も重要な行事であり、世界中が注目するその祭典で、再び世界へ融和をもたらした偉業。


 本来なら、その人こそ称賛を受けるべきだった。


 だが、その人もまた穏やかに微笑み、こう言った。


「その功績は、あなたのものです」


「えっ……?」


「私は、普通の女の子として暮らしたいだけですから」


 その笑顔は、とても穏やかだった。


 どうして。


 どうして皆、自分へ未来を託そうとするのだろう。


 ソフィアには分からない。


 分かることは、一つだけだった。


「どうして皆さん、私へ譲るんですか……」


 その小さな呟きは、誰にも届くことなく、静かに消えていった。

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