第33話 光魔法研究
図書館で魔術書を読み終えたソフィアは、そのまま研究室へ足を運んだ。
机の上へノートを広げ、羽ペンを手に取る。
「光魔法は……」
「まだまだ分かっていないことが多いんですよね」
光魔法。
それは、ごく限られた者だけが扱える奇跡の力。
長い歴史を持つとはいえ、その使い手はあまりにも少ない。
そのため、通常魔法と比べて研究は大きく遅れていた。
通常魔法は、世界へ満ちる魔素から必要な魔粒子を抽出し、それらを組み合わせることで発動する。
火。
水。
風。
土。
四つの魔粒子を操るのが、一般的な魔法だ。
しかし、光魔法だけは違う。
魔素そのものを四つの魔粒子へ完全に分解し、その瞬間に生まれる莫大なエネルギーを利用して魔法を発動する。
根本原理そのものが異なるため、未解明な部分が数多く残されていた。
「もし、この魔力循環を少し改良できれば……」
ソフィアは羽ペンを走らせる。
新しい光魔法式。
治癒効率の向上。
魔力消費の軽減。
結界維持時間の延長。
次々と仮説を書き込み、検証を重ねていく。
「なるほど……」
「この理論なら、もう少し効率を上げられそうですね」
さらに新しい式を書き足す。
資料を読み返し。
魔法式を書き直し。
計算を繰り返す。
気付けば机の上は、研究資料と論文の下書きで埋め尽くされていた。
ソフィアは夢中だった。
休日であることも忘れ、光魔法の研究へ没頭していく。
――完全に、仕事である。




