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第30話 悪くない休日
深夜。
ソフィアは自室で淹れた温かい紅茶を片手に、窓辺へ立っていた。
窓の外には、満月が静かに浮かんでいる。
柔らかな月明かりが王都を優しく照らし、昼間の賑わいが嘘のように静かな夜だった。
一口、紅茶を口へ運ぶ。
ふわりと広がる優しい香りに、自然と肩の力が抜けていく。
「今日は……」
静かに一日を振り返る。
少しだけ掃除をして。
本を読んで。
料理に挑戦した。
掃除は途中で終わってしまった。
料理も少し焦げてしまった。
決して完璧な休日ではない。
それでも。
「充実した一日でしたね」
自然と笑みがこぼれる。
これまで休日といえば、仕事のことばかり考えていた。
けれど今日は違う。
物語に笑い。
涙を流し。
自分で料理を作った。
そんな何気ない時間が、とても新鮮だった。
月明かりに照らされた王都を見つめながら、小さく呟く。
「こんな休日も……」
「悪くありませんね」
穏やかな笑みを浮かべる。
休暇は、まだ残っている。
明日は何をしましょうか。
そんなことを考えながら、ソフィアは静かに紅茶を飲み干すのだった。




