第27話 気付けば夕方
ロマンス小説を読み終えたソフィアは、そっと本を閉じた。
「とても素敵なお話でした……」
涙を拭いながら微笑む。
その時だった。
「そういえば……」
昨日、市場の本屋で買った本がありましたね。
机の上へ置いた紙袋を開く。
中には、
『大人気ロマンス劇『永遠の約束』小説版』
第一巻から最終巻まで、綺麗に揃っていた。
昨日。
劇場で観た感動が忘れられず、思わず全巻購入してしまったのである。
ソフィアは第一巻を手に取る。
「せっかくですし……」
「こちらも読んでみましょう」
一巻。
二巻。
三巻。
四巻。
そして五巻。
笑って。
涙を流して。
主人公たちを応援しながら、夢中でページをめくっていく。
「うぅ……」
「やっぱり……素敵なお話です……」
ハンカチは今日だけで何度目か分からないほど涙を吸っていた。
五巻を読み終えたところで、本をそっと閉じる。
「続きも気になりますね」
ふと窓の外へ目を向ける。
部屋は夕焼け色に染まっていた。
「……あ」
時計を見る。
「夕方です」
しばらく沈黙。
そして。
「掃除してませんでした……」
ソフィアは思わず苦笑する。
「まあ……」
「明日やりましょう」
そう呟くと、大切そうに小説を机へ置いた。
こうして休日四日目も、穏やかに過ぎていくのだった。




