第24話 また来たいですね
夕焼けに染まる王都を歩きながら、ソフィアは今日一日を思い返していた。
人気のスイーツ店。
市場の賑わい。
初めて観た恋愛劇。
雑貨屋で見つけた髪飾りとティーカップ。
公園で遊んだ子どもたち。
どれも初めての経験だった。
「今日は……」
自然と笑みがこぼれる。
「すごく充実した一日でした」
胸の前で、買い物袋をそっと抱きしめる。
髪飾り。
ティーカップ。
ロマンス小説。
今日という思い出が、たくさん詰まっていた。
ふと空を見上げる。
夕日がゆっくりと街を茜色に染めている。
「ですが」
「本当に、あっという間ですね」
朝から出掛けたはずなのに。
気が付けば、もう一日が終わろうとしていた。
「丸一日が……」
「体感では、三時間くらいでした」
思わず苦笑する。
「なんで仕事は、あんなに長く感じるのでしょうね?」
毎日書類と向き合っている時は、一日がとても長く感じる。
けれど。
今日のような楽しい時間は、一瞬で過ぎ去ってしまう。
不思議だった。
ソフィアは少しだけ寂しそうに、それでも満足そうに微笑む。
「また来たいですね」
その言葉は、誰に向けたものでもなかった。
ただ。
今日という休日が、本当に楽しかったから。
史上初の聖王大聖女は、生まれて初めて「また遊びに来たい」と思える場所を見つけたのだった。




