第23話 公園
買い物を終えたソフィアは、街案内に載っていた中央公園へやって来た。
緑が広がる園内では、多くの人々が思い思いの時間を過ごしている。
「たくさん人がいらっしゃいますね」
芝生では家族連れが昼食を楽しみ。
木陰では読書をする人。
散歩をする夫婦。
元気いっぱいに走り回る子どもたち。
とても穏やかな景色だった。
「少し休憩しましょう」
ソフィアは木陰のベンチへ腰を下ろす。
柔らかな風が頬を撫でた。
「気持ちいいですね……」
目を閉じる。
木漏れ日が暖かい。
「日向ぼっこも悪くありません」
そう微笑んだ、その時だった。
「ねぇ、お姉ちゃん!」
元気な声が聞こえる。
「遊ぼ!」
振り向くと、小さな男の子と女の子が立っていた。
「私ですか?」
「うん!」
「遊ぼ!」
ソフィアは少しだけ迷ってから、優しく笑った。
「はい」
「少しだけですよ」
鬼ごっこをしたり。
かくれんぼをしたり。
花冠を作ったり。
子どもたちと笑い合う時間は、あっという間に過ぎていった。
「ありがとうございました」
迎えに来た母親が深々と頭を下げる。
「うちの息子と娘の相手をしてくださって、本当にありがとうございます」
「いえ」
「私も、とても楽しかったです」
その時だった。
「えいっ!」
遊んでいた男の子が、ソフィアのフードをぺろんとめくってしまった。
「あっ」
ソフィアは慌てて振り返る。
女の子が目を丸くした。
「わぁ……」
「ソフィア様みたい!」
「綺麗!」
ソフィアの背筋が凍る。
(まずいです……!)
一瞬で冷や汗が流れた。
それでも必死に笑顔を作る。
「よく似てるって言われるんですよ」
あはは、と乾いた笑いを浮かべる。
「そうなんだー!」
子どもたちは素直に納得すると、元気よく手を振った。
「お姉ちゃん、また遊ぼうね!」
「はい」
ソフィアも笑顔で手を振り返す。
子どもたちの姿が見えなくなったところで。
「……ふぅ」
ようやく大きく息を吐いた。
「危なかったです……」
今日も何とか、正体はばれずに済んだ……はずだった。




