第22話 雑貨屋
本屋を出たソフィアは、そのまま街を歩いていた。
夕方の通りは、多くの人で賑わっている。
ふと、一軒の雑貨屋が目に入った。
「可愛らしいお店ですね」
店内へ入ると、色とりどりの商品が並んでいた。
髪飾り。
ネックレス。
イヤリング。
化粧品。
リップ。
どれも女性客で賑わっている。
「流行のお店なんですね」
周りを見渡せば、同じくらいの歳の女性たちが楽しそうに買い物をしていた。
鏡の前で髪飾りを合わせたり。
友人同士で笑い合ったり。
その光景を見て、ソフィアは小さく頷く。
「身だしなみを整えることは、女性として当然です!」
何だか少し使命感のようなものが芽生える。
「私も選びましょう」
可愛らしい花の髪飾り。
小さなネックレス。
揺れるイヤリング。
店員に勧められたリップ。
「これも……」
「こちらも素敵ですね」
気付けば、買い物かごはいっぱいになっていた。
「……ちょっと買い過ぎましたかね?」
少しだけ反省する。
その時だった。
「あっ」
棚の隅に、一つのティーカップが飾られていた。
白磁に小さな花模様が描かれた、上品なティーカップ。
「このティーカップ……」
「かわいいです!」
思わず目を輝かせる。
そっと両手で持ち上げる。
「お茶の時間が楽しみになりますね」
嬉しそうに微笑むソフィア。
そんな姿は。
史上初の聖王大聖女ではなく。
休日を満喫する、ごく普通の二十三歳の女の子そのものだった。
けれど。
当の本人だけは、そのことにまったく気付いていなかった。




