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95話 VSギャッチャー

95話 VSギャッチャー


スガクが離れた場所にいるギャッチャーの視界に入る。


大きく剣を振り構える。


ギャッチャーは首を一瞬傾けスガクに反応する。


ギャッチャー「グイーィ?」


ササッ!ササッ!と走っては止まって、走っては止まってを素早く繰り返してスガクの方に近付いてくる。


スガク「…(やはり普通より速い…かなりの強化状態だ…)」


ササッ!!


まだ離れていたギャッチャーだったが今度はノンストップで走ってきて一瞬でスガクの目の前に。


スガク「なっ!(フェイントということか!!)」


カキン!!ギャッチャーの振りかざした高速の刃をスガクは大剣で抑える…が!


その衝撃は凄まじくスガクは飛ばされていく。


バコン!と残っている村の家に放り投げられる。


ヴァルド「おっさん!!」


ヴァルドの声に反応し今度はヴァルド達の方にササッ!と走ってくる。


セリーヌ「ヴァルド!まずい!」


セリーヌは槍を構える。


ヴァルド「っ!速すぎる!」


ギャッチャーは目の前に来ている。


ギャッチャーは手のカマで攻撃を仕掛けてくる。


ヴァルドは力強く深く地面に大剣を刺して防御する。


カキン!!ヴァルドはスガクのように飛ばずには済んだものの攻撃に遅れる、瞬間、刺さった剣に壁キックするように飛んだセリーヌがギャッチャーの目を刺す。


ギャッチャー「グギィィィィ!!!」


ギャッチャーの目から血が出てくる、片目失明させることに成功する…が!


怒ったギャッチャーが高速回転し尻尾をセリーヌとヴァルドに叩きつけてくる。


ヴァルド「ぐっ!!」


ヴァルドとセリーヌは飛ばされ地面に身体を打ち付けた。


セリーヌはうつ伏せに倒れて頭から血を流して気を失っている。


ヴァルドは武器を拾おうとするも吹き飛ばされたため刺さっている剣は離れている。


しかしギャッチャーは止まるはずもなく追撃にくる。


ヴァルド「っ!」


ギャッチャーの攻撃を間一髪で避け手を伸ばして刺さった槍を取り再び構え直すヴァルド。


ヴァルド「来いよ…おら…」


ギャッチャーが高速で再びカマを振り下ろす。


ヴァルド「軌道さえ分かれば…」


ヴァルドは避けて避けて…ギャッチャーのお腹の下に回って下から突き刺す。


ギャッチャー「グァァァァ!!」


ギャッチャーはさらに怒る、後ろに飛び再びヴァルドをターゲットにさっきより素早く走ってきて攻撃を仕掛けてくる。


ヴァルド「速いっ!」


流石の速さを見切れなかったヴァルド。


槍を前に構えることしか出来ず目をつぶる。


その時!カキン!!シャキーン!という音が聞こえる。


目の前でスガクが大剣を使いギャッチャーのカマの攻撃を大剣のブレード部分に擦らせながら受け流している。


スガク「諦めるな!」


ザクッ!一撃!スガクは脚に一撃入れて深い傷を負わせる。


ギャッチャーは再び背後に飛んで様子を伺うように周りを走り出す。


スガク「…」


スガクは目で追い続けて次の攻撃に対して警戒する。


セリーヌ「うっ…」


セリーヌがゆっくり頭を手で抑えながら立ち上がる。


スガク「良く聞け…二人とも…奴の速さはとてつもない…あの速さで周りを回られてしまっては囲まれてるのと一緒…どの方向からの攻撃も来ると思え!」


スガクもまた頭から血を流していて。


ヴァルドは槍をセリーヌに投げ渡し、落ちている角材を持つ。


ギャッチャーは相変わらず周りを回って攻撃のチャンスを伺っていた。


ギャッチャー「ギャ!」


ギャッチャーはすぐさま隙を見つけたのか飛んで三人のいる中央に着地して再び身体を回転させ尻尾で三人を吹き飛ばす。


スガク「ぐっ!」


スガクは大剣でガードしたものの相変わらずパワーに耐えられず飛ばされる。


ヴァルドも飛ばされる、セリーヌはなんとか避ける、槍を構えながらギャッチャーと目を合わせる。


セリーヌはチラリと離れに刺さったヴァルドの大剣を見てそこに走っていく。


ギャッチャーは走るセリーヌを追いかける、ギャッチャーは速いが狩人も足が速い、すぐに追い付かれる訳でもなかった、大剣の傍についたセリーヌは槍を力強くギャッチャーに投げる、ギャッチャーは飛んで避けてセリーヌの方に来て再び尻尾を振る。


セリーヌ「…」


セリーヌは読んでたかのように伏せて攻撃を避ける。


ギャッチャーは刺さってる大剣の刃に当たり尻尾を斬り落としてしまう。


ギャッチャー「ギャウァ!!」


しかしそれで怯まないギャッチャー、セリーヌを足で踏んで捕まえる。


セリーヌ「くぅっ!?」


そしてそのまま足で掴んでは投げる、セリーヌもまた残った村の家にぶつかり壁を貫通して中に。


ヴァルド「セリーヌ!っくそ!」


ヴァルドは走ってギャッチャーの避けた槍を拾いまた突撃。


スガクはそれを遠目にゆっくり立ち上がる。


スガク「…(くそ…尻尾も片目も破壊しているが…奴は疲れを見せない…力の差がありすぎる…)」


スガクは辺りを見渡す、倒れてる子供、女…ぎゅっと拳を握る。


中にはまだ助かる命がある…でもそれはあいつを倒したらの話だ。


遠くで戦ってるヴァルドは…


ズガッ!ヴァルドも踏んで捕まってしまう、しかし今度は投げるのではなくカマを構え出す。


ヴァルド「ぐっ!くっ!」


ヴァルドは持ち上げようとするも腕ごと踏まれていて腕が動かない。


ヴァルド「っくそっ…(ここまでか…)」


ギャッチャー「グァ!!」


カマを振りかざそうとギャッチャーが手を上げたときだった。


ドコン!!!


何かがギャッチャーに突進する。


ヴァルドは一気に解放され、すぐさま立ち上がり距離を置く。


ヴァルド「…な…なんだ!」


目線の先にいたのは…角を生やし目を光らせたスガクだった。


ヴァルド「っ…」


スガク「…ウァゥ…」


スガクの目は猟奇的だった、身体も二回り大きくなっている。


ヴァルド「っ…まさか…」


ギャッチャー「ギャゥ!!」


スガクはギャッチャーの振りかざしに太い筋肉質な手を振り返しギャッチャーの手を逆に斬る。


ギャッチャー「グゥアォゥ!?」


スガク「ウァァァァァ!!」


スガクがギャッチャーに突進してさらに追撃…さらに追撃…。


やがて飛ばし続けてスガクとギャッチャーの姿が見えなくなるのだった…。


ヴァルド「はぁっ…はぁっ…おっさん…っ!」


ヴァルドは立ち上がる、が…セリーヌの飛ばされた家の方に走っていく。


ヴァルド「セリーヌ!」


セリーヌはなんとか穴の空いた壁からふらふらしながら出てくる。


セリーヌ「…平気…はぁ…ふぅ…スガクは…」


ヴァルド「……」


…ヴァルドは見たことを説明した。


セリーヌは力弱く片目は細めていて。


セリーヌ「……戻ってくるの…?」


セリーヌは声を震わせてそう聞いていた。


ヴァルド「…」


ヴァルドは下を向く、分からなかった、さらに目を逸らす、すると。


村の丘の上の方、大剣が突き刺さっている、スガクのものだ。


ヴァルドは痛む箇所…お腹を抑えながらふらふらになりながらそこに向かっていく。


やがてその大剣の前についたヴァルドは力なく座り込み。


ヴァルド「くっ…はぁっ…」


ヴァルドは少し笑い、涙を流す、顔の傷に染みて痛い。


ヴァルド「これが…何がなんでも、女子供を守れってことかよ…」


セリーヌもケガを抑えながらヴァルドの方に近付いていく。


セリーヌ「…」


セリーヌはヴァルドの隣に座って同じく力なく座る、疲れ果ててゆっくりヴァルドの肩に頭を置く。


セリーヌ「……助けられた…私達…」


ヴァルドは歯を食い縛りただその場で黙って涙を流していた。


…


いつもの酒場。


セリーヌとヴァルドは他の狩人が到着した後、包帯を巻いてどうにか回復していっている、狩人の回復は速い。


セリーヌとヴァルドが酒場で肩を預け合い座っていると酒場の扉が開く。


ルーナ「あら…っ!どうしたの二人とも…それに…

スガクは…?」


ヴァルドはゆっくりと顔を上げ…ルーナの顔を見てただ首を横に振る。


ルーナの表情はただ、スガクを見て怒鳴って…呆れていた時の顔と違う、何かを察してただ顔を歪めて涙を流し始めたのだった…ただ、ヴァルドはその時言いたかった、根拠のない言葉を…。


ー回想終了ー


ヴァルドはお酒の瓶をゆっくり星空に掲げる…。


ヴァルド「Charute(乾杯)…」


そうしてゆっくり口をつけて飲んでいく…ゴクリと飲んでいっては口を離して呟き始める。


ヴァルド「俺とセリーヌは変な新しい仲間が出来た…戦えねぇくせに妙に頼りになる…あんたが傍にいてくれた時と似てんだよな」


ヴァルドは呟いては酒に口をつけ、空になった瓶をゆっくり横に置く。


ヴァルド「ただ、似てるのはそれだけじゃねぇ…あいつの周りは…笑顔が絶えねぇな…。」


ヴァルドは微笑みながら。


ヴァルド「気付いたらあんたを見て笑っていた俺みたいな感じ…」


キャンプでは確かにタークと皆、焚き火を囲んで笑い話していた。


ターク「でさ!そいつまたたこ焼き屋って店じゃない所に案内しやがってさぁ!なんか最終的に爪に色塗られて出たわ…いやぁ、おてんばな部下だったわぁ…はは」


ゲマナ「あははっ!めっちゃうっかりさんじゃん!」


グリンス「それは楽しかったろう…」


マール「ふふっ…マニキュアですか…」


ターク「いや知ってんのかよ!」


ちなみにPITに存在している。


そんな談笑を遠くから腕を組み見ているセリーヌ、なんだか今日は参加する気になれなかった。


丘の上のヴァルドはもう1本瓶を開けて飲み始める。


ヴァルド「…俺は未だに…ルーナにあんたの事を教えた時の表情が忘れられない…酒が口に染みて痛みながら…歯を食いしばってた記憶が、未だに…」


苦笑いし悲しい目をする。


ヴァルド「根拠のない事をその時も言ったが…俺も信じてる…あんたは生きてる…」


ヴァルドはもう一度力強く呟く。


ヴァルド「生きてる…!どこかで…」


続く。

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