94話 師弟
94話 師弟
…バーラム撃退の夜。
焚き火の近くで話すゲマナ、マール、ターク、グリンス。
マール「しかし…お二人がバーラムの撃退をしててくれるなんて助かりました、寄生されたゴーレムの個体は少ないものの厄介な魔物ですからね…」
タークは思い出すように目をつぶり深いため息を吐きながら。
ターク「いやぁ…色々とヤバかったよマジで…あのバーラって奴マジで気持ち悪いわけよ!」
ゲマナ「うっわー!分かるぅー!」
グリンス「そうだろうか?」
…そんな中…。
ヴァルドは近くの丘にビールの瓶を持って座っていた、星を眺めている。
ー回想ー
35年前
ー野原ー
ブンッ!ブンッ!
大きな木の大剣を振っているヴァルド。
スガク「んー!ちょいと振りが甘いな、刃先も斜めにズレてる…それじゃあスルッと斬れねぇ」
スガクは腕を組んでヴァルドを見ている。
ヴァルド「んだよー!うるっせぇな…これでも始めて3日なんだし多めに見てくれよ…」
スガクは笑いながら。
スガク「いーや!お前はやれば出来る坊主なんだかよ!もっと自信を持って振ってみろ!俺には出来る!やってやる!って感じでな!するとっ!」
ブン!!大剣を大きく振るスガク、目の前の大木をスルリと斬り。
ヴァルド「…あ…?」
ヴァルドには何が起きたか分からなかった。
スガクはそんなヴァルドの様子を見てクスッと笑い大木を力強く蹴って倒し綺麗に切れた断面を見せる。
スガク「どーだ?参考になったか?」
ヴァルド「っ、マジかよ…」
スガク「ハンターたるもの…やっぱ力強く戦うべきだ!今のを利用した戦術なんかもあるかもしれん!よーく覚えることだ!良いな?」
ヴァルドはスガクの言葉を脳内でリピートしながら少しずつ振りを改善していく。
ブン!!ブン!!
スガク「うむ!よきよき!ガハハハ!」
それからずっとスガクからのトレーニングを受けていた、倒した丸太を背負って腕立て…。
隣でスガクもしていたが、スガクの木は三回りは大きな木だった。
さらにさらに、大きい斬り倒した木にロープでくくりつけられ走らされたり。
日に日にヴァルドは力強くなっていった。
ブン!!ブン!!
スガク「ふむ…中々良くなってきたじゃないか!」
スガクはまたよきよき!と微笑み腕を組んで笑う。
そんなトレーニングが続いたある日。
いつものトレーニングしている野原で。
スガク「ヴァルド!ちょっと来い!」
スガクは微笑みながらヴァルドを呼び寄せる。
ヴァルド「なんだ?スガクさん」
ヴァルドは小走りにスガクの元に行く。
スガク「お前がいつまでもバディを作らないから
ルーナにヴァルドに合うようなバディを見つけてもらった」
ヴァルド「えっ!?なんでそんなことを…」
スガク「まぁ良いじゃあないか…いつまでも単身の狩人じゃチームに呼んでもらえないからな」
ヴァルドは腕を組み目を逸らすように。
ヴァルド「それは…知らなかった…」
スガク「さて…セリーヌ!来てくれ」
ヴァルドの目の前に姿勢良く歩いてくる槍を持った女…銀髪のボブヘアをなびかせた女。
セリーヌ「私はセリーヌ、今日からえーっと…ヴァルド?のバディになる狩人、槍を使うの、よろしく」
セリーヌは微笑みヴァルドに向けて手を差し出す。
ヴァルド「うぁ…あ…どうも…ヴァルドだ」
セリーヌ「知ってるってば」
セリーヌは笑いながら握手を交わす。
スガク「はっはっはっ…セリーヌ、こいつはちっと一匹狼だったもんでな!本来は男に頑張れよと尻に火をつけるが…今回はお前に託す事にするぞ!」
ヴァルド「っ、お…おい!」
セリーヌ「ふふっ…任せて」
スガクはがっははとまた笑っていた、そして傍の箱から瓶を三つ取り出す。
スガク「今日は訓練は終了!三人で乾杯しよう!」
ヴァルド「っ、あぁ…」
ヴァルドは少し引っ掛かるものがあるものの瓶を受けとる。
セリーヌもそっと瓶を取ってはスガクの合図を待つ。
スガク「Charute!」
セリーヌ「Charute!」
ヴァルド「…」
そうして三人で瓶を上に掲げる。
…それからその先は三人で訓練をしていた、その頃セリーヌはその時のヴァルドよりも遥かに優れた体力と力で、ヴァルドは女に負けるなんて…とさらに火がついて訓練に対する意欲が以前より高くなっていた。
ある日の飲み会では酔って寝たセリーヌ、そさて樽で腕相撲をしているヴァルドとスガク…ヴァルドはスガクに一瞬で力で負けて宙返りさせられたこともあった。
それから5年…ヴァルドとセリーヌは一人前の狩人になった。
スガク「うむ!よきよき!強くなったな!二人共!これでようやく大型の狩りに連れていける!」
ヴァルド「にしても…ここまで長かった…」
セリーヌ「流石に中型小型の魔物の狩りばかりだったのは堪えたわ…」
スガク「がっはっはっ!今日その意味が分かるはずだ!」
その時…
子供「はぁっはぁっ!狩人さん!助けて!」
スガク「むっ、どうした」
子供「あっちで!凄い魔物が…村を!」
子供は目に涙を溜めながら切羽詰まったように言ってくる。
ヴァルド「っ、村がヤバイのか…」
スガク「行くぞ!セリーヌ!ヴァルド!」
ヴァルド「あぁ!」
セリーヌ「はい!」
そうして三人でソニバルドに乗って村に向かっていく。
…
村は大変なことになっていた。
家は破壊され所々に村人が倒れている。
セリーヌ「っ、酷い…」
スガク「これは…」
倒れた村人の近くに膝をつく。
スガク「……見たこともない傷だ、新種か」
ヴァルド「っ!いきなり新種の魔物かよ…」
スガクは考えるように腕を組む。
スガク「…応援を呼ぶのには時間がかかる、その間にも被害は広がる…」
スガクはゆっくりと立ち上がり倒れてる女子供を見る。
スガクの拳はぎゅっと握られ歯も食い縛る。
スガク「これ以上被害を増やすのは御免だ…俺達で対処するぞ!」
セリーヌ「…そうね…それしかない」
セリーヌは槍を背から取り構える。
ヴァルド「ふぅ…やる…やるしかねぇんだ…」
ヴァルドは目つぶり呟くと大剣を背から取り構える。
そして村の奥から鳴き声、ブイーンというハエの羽の音と爬虫類の恐竜の魔物の鳴き声が混ざった深いな音が聞こえる。
スガク「まさか…」
三人で走ってその姿を見に行く…。
そこには手にカマキリのように鋭い刃を持つ爬虫類の恐竜がいた、頭に白い角を生やしている。
スガク「ギャガー…じゃない…あの白い角はやはり…」
ヴァルド「やはり…なんだ!?」
スガク「ホッチャーという角の生えた羽が寄生したに違いない、ギャガーにはあんな角は本来ない…」
セリーヌは目を凝らしてよーく見る。
セリーヌ「っ、しかも…あいつの回りにまだ何匹か飛んでる…」
スガク「なるべく近づき過ぎるな!あそこに人の遺体があるから飛んでるだけだ…奴を陽動…しよう、今からあいつはギャッチャーと名付ける!」
続く。




