92話 目覚め
92話 目覚め
ターク「っ……グロテスクだな」
ヴァルドは集中して目の前のモンスターを見てる。
ヴァルド「バーラの行動範囲から…基本的に寄生するのはゴーレムなんだ、名前はバーラムと呼ばれている…。」
ターク「よ…よし…さ、分かったからキャンプに報告にでも行こうか」
ヴァルドは振り返り腰に手を添えて笑い。
ヴァルド「奴らも賢い、場所を移動する」
ターク「…つまり…」
ヴァルド「俺達でやるぞ」
タークとヴァルドはしばらく見つめ合う。
ターク「……わかったよ…」
タークは眠っているバーラムの周りをよーく観察する。
ヴァルド「なーに…そう考えるな…ゆっくり近付いて一気にバラを切り離せば良い話だ…」
ターク「え…それでいいのか?」
ヴァルドは軽く笑い。
ヴァルド「あそこまでいくと光合成出来なくなってモンスターのエネルギーを当てにすんだ、だから切り離したら終わる」
ヴァルドはゆっくり大剣を背中から取り構えながらゆっくり近づく、タークもゆっくりとヴァルドの後をついていく。
バーラムまで9m、7m…
近くまで来ると見た目がより見える。
固まったゴーレムの全長5m巨体の身体にところどころ根が飛び出ていて、顔のバラは無機質なように見えて本体である事を考えると…キモい、そしてなにより、口があるのか顔についてる大きくなったバラの下に線のようなものが見える。
6m…5m…そんな時。
ドサッ!
ヴァルド「っ!?」
ターク「なっ!?」
落とし穴にはまる、ヴァルドとタークは深さ4mの落とし穴に捕まる。
ヴァルドとタークの装備、衣服は土まみれだ。
ヴァルド「っ!ぺっ!くそ…あいつら成長してやがる!」
ターク「まじかよ…って…あながち蟻ってたとえ間違いなかったんだな…」
ヴァルド「…確かにな」
そんな事を言ってる場合ではなかった。
ゴゴゴゴ…地面が揺れる、上にいるバーラムが起きて立ち上がっているのだろうか、穴の中の土も少し崩れて降ってくる。
ターク「っ…やべぇな…」
ドスン…ドスン…影が二人を覆う、上からバーラムの顔が覗いてくる、口が開いていて目がないのにこちらを捉えてるのが分かる。
瞬間。
穴の入り口から…ササッ!!!ササッ!ササッ!
何匹ものバーラが這って入ってくる!
ターク「うわっ!やべぇっ!」
ヴァルド「っく!」
ヴァルドの大剣は狭い穴では使いにくい、タークもナイフでさえ振り回す幅はなかった。
タークとヴァルドは手を使い一匹一匹潰していく。
ヴァルド「埒が明かないな!っくそ!」
ターク「っ!くっ!キモい!くそ!」
二人で潰し続けてもどんどん上から這ってくる。
シャキッ!シャキッ!
鋭いバーラの根の足1本で頬を切られる。
ターク「っく!」
タークは潰しながら。
ターク「っ!」
一匹掴んだタークは穴の壁をその一匹で擦りまくる。
すると何匹かがその擦ったルートを通っていく。
ターク「ヴァルド!こいつらフェロモンを通る仕組みと同じだ!…きっと地上じゃ植物の匂いを嗅ぐ!」
タークは真下を向いて地面をさらに掘り始める。
ヴァルド「何してんだ!ターク!」
ターク「あいつらが指示を受けて穴に真っ先に来たって事は匂いの元がどっかにある!俺達の場所を特定する何か!近付いたらきっと温度か何かを感じ取って攻撃してる!」
タークは掘り進めていく。
ターク「あった!」
花の匂い玉…基本的にこの世界の高級品であり、香りが良いとされている、蜜の固まった物…花の真珠とも言われていてこの世界のムシクイ花やバーラの巣に生成されていく、それをゴーレムについたバーラがゴーレムごと根をはって仕掛けたのだろう。
ターク「これをおもいっきり投げろ!ヴァルド!」
ヴァルド「っ!わ…分かった!」
ヴァルドはその玉を手に取り穴の外に力強く投げる、プォン!!という音と共に正確に穴の外に出てていく。
ターク「っ!よっしゃ!」
ついかのバーラはなし、残ってるバーラを潰していく。
グシャッ!ブシャッ!なんかの蜜がとにかく垂れ出ていく。
ターク「よっぽど…あの匂い玉のフェロモンが強いんだろうな…こいつら潰した残骸じゃあこないみたいだ…はぁ…」
ヴァルドとタークは背中を合わせに寄っ掛かり合う。
バーラムも攻撃が届かないし、匂い玉がないせいでバーラに正確な位置に誘導が出来ない。
お互い何も出来ない状態だ…しかし…まずいのは
二人の方だった。
ターク「…こっから…どうやって出る…」
ヴァルド「…さぁ…」
タークとヴァルドは顔を所々切り傷、所々土で汚してボーッとしていた。
ターク「…グリンス達が見つけてくれるか…?」
ヴァルド「…………すまなかった、お前の言った通り、他の奴らに報告して…改めて探した方が安全だった…」
ターク「…俺も本気で止めなかったし…お互い様だ…」
二人はただボーッとしている。
ヴァルド「…なぁ…俺の過去の事、聞いてたよな…」
タークは少し顔を上げ。
ターク「…あぁ…」
ヴァルド「俺には昔、どっか抜けてっけど頼りがいのある師匠がいたんだ、大剣も師匠に教わった…
トレーニングも…な…。」
タークは目を伏せて静かに聞く。
ターク「…亡くなったのか」
ヴァルド「いや生きてるよ…」
ターク「え?流れ的に…なんつーか…」
ヴァルド「生きてるっての…」
タークは少し焦るように。
ターク「す…すまん…」
二人は無言の時間が続く。
タークは無言の時間が続いたおかげか脱出方法を考える余裕が出来る。
ターク「…」
タークは無言で壁を掘っていく、時間はかかるが、目的の物は案外近いはずだった、そしてあった…。
ターク「…所詮植物の作戦ってもんは…抜け穴があるもんだな…植物だけに………かかってるようなかかって─……」
ヴァルド「なんか違うな…で?何を思い付いた…」
ターク「あいつらが…植物…その辺に根っこ伸ばしてるおかげで…ロープがわりになるぜ…」
壁に太めの根っこが露出していて。
ターク「引っ張ってもっと出してくれ」
…
ヴァルドの力強さで程よく根っこが出てくる。
二人はその根っこを掴んで一緒に出ていく。
ターク「ふぅっ…はぁ…疲れた…今おもえば…
背中合わせで…」
呑気に言ってる場合ではなかった、二人を影で覆う何か。
バーラム「…」
ターク「やっべ」
ヴァルド「…」
ドカン!!!
タークとヴァルドはバーラムの拳の振り下ろしをどうにか避けてソニバルドの置いた方…茂みの奥にに走って戻っていく。
続く。




