91話 寄生
91話 寄生
ターク「ヴァルドと?良いけど急になんでだ?」
タークはあくびをしながら頭の後ろを掻きながら問う。
ヴァルド「お手並み拝見って所さ、裏でグリンスがタークを褒めちぎっからよ、最近なんて特にな」
タークは少し頬を赤らめ照れながら頬を搔いて。
ターク「…まじか」
ヴァルド「ふっ…で?返事をいただいてないが?」
タークは拳をぎゅっとし。
ターク「行くぜ」
ー午前7時頃ー
グリンス「では、タークをよろしく頼む」
グリンスは微笑みルニャAを胸に抱えながらヴァルドに言う。
ヴァルド「おうよ!」
ターク「そっちもルニャA頼むわ、俺なしじゃどうなることやらー!」
ルニャA「にゃーべろばー!オレは平気にゃーん!」
ルニャAは舌を出して変顔して煽ってくる。
ターク「なんだぁ!この!前までそんなんじゃなかったろ!」
ルニャAとタークは向き合う。
グリンス「ふふっ…。」
ヴァルド「ま…一応言っとくが…」
ヴァルドは目を逸らし腕を組みながら言う。
ヴァルド「セリーヌをよろ──…」
セリーヌ「私をルニャ族と一緒にすなっ!」
…
森の道。
ヴァルドとタークはソニバルドで移動している。
ターク「なんだこれ…進むに連れて草木が生い茂ってるような…」
ヴァルドは左右をゆっくり観察しながらゆっくり口を開ける。
ヴァルド「もしかしたら最近出没してる野郎の仕業かもしれん…気を付けろ」
ターク「…おう」
タークは返事をしながらも思い出す、昨日のヴァルドの考えたような顔を、あまり見たことない表情だった。
ターク「ところでよ…ヴァルド、何か悩むような過去とか…」
ヴァルドはそれを聞いて呆れたようにため息を吐いてソニバルドごとタークの方に振り返り。
ヴァルド「言ったろ…酒の席でしか話さんと」
ターク「昨日話してくれなかった」
ヴァルド「そうだったか…?」
ヴァルドは再びソニバルドを前に向かせて歩かせる。
ターク「なるほど…無限ループ作戦か…良いね」
タークはそう小さく呟くと深くは言及しないことにした。
タークとヴァルドは道をさらに進んでいく、さっきこれ以上は増えないだろうと思っていた草木がさらに増えている、限界がないように見える。
自然の草木の匂いもだんだん強くなっていく、少し心地良い匂いだ。
ターク「ふぅ…モンスターの仕業にしちゃ…目にも鼻にも優しいもんだな」
ヴァルド「油断するな…これはおそらく…バーラの仕業だ」
タークは首をかしげる。
ターク「バーラ?」
ヴァルド「バーラは寄生モンスターの一種だ…単体だとこうやって自然を増やすだけなんだが…モンスターに寄生すると厄介なんだ…深く説明しても?」
ターク「あぁ、聞かせてくれ!」
タークはヴァルドの解説は物珍しく聞くことにした。
ヴァルド「バーラは日光を浴びるとエネルギーを蓄える…いわゆる植物の光合成だ、しかし生物と植物の融合でありながら、妙なことに花だけがトコトコ歩いてるような見た目なのに普通の何倍の効率でエネルギーを生成して蓄えれる」
ターク「…そいつは確かに妙だな…普通は草の方が光合成の効率は良い…まさか、そいつの繁殖はそいつ自身ではない…?」
ヴァルドは感心したように微笑み。
ヴァルド「ほぅ?なぜわかった?」
ターク「花は基本的に生殖器官のはずだ…光合成ってより繁殖がメインだ、そいつが花だけなのなら…他の何かがバーラを生成して、仕事をさせてる…のか…後はバーラは枯れて死ぬだけ…寄生と蓄えたエネルギーを分けて植物を生やすのが仕事なんだな。」
ヴァルド「なんだよ!よくわかんねぇけど正解だ…はっはっはっ!ま…続けると…バーラを産む主の為にさらに効率よく光合成出来るように草木を増やしてんだ、見分け方は…根っこが主に繋がってるって所だ」
タークは少し笑い。
ターク「中々凄い植物だな…それに…ヴァルドがそんなに解説する程詳しいなんてな」
ヴァルド「…まぁな」
ある程度進むとソニバルドでは進めない程草木が増え細い道になってくる。
ヴァルド「降りろ…ここからは徒歩だ」
タークとヴァルドはゆっくりとソニバルドから降りてそっと背中を上から押してソニバルドを座らせる。
ターク「さて…」
ササッ!
細い道の草木をバラの花のようなものに根っこのような足が何本かついたのが素早く木を這っていた。
ターク「俺ここで待っとこうかな」
ヴァルド「はは…心配すんな、俺達には寄生しねぇよ」
ターク「いや…気持ち悪いだろ、あれは…」
ヴァルドが気にせずどんどん行く…。
タークは捲っているグレーのシャツの袖をほどいて長袖にし仕方なくついていく。
ササッ!ササッ!
ターク「うーわ…そこらじゅうにいるよ…あいつら目とかあんのか?」
ヴァルドは草木を分け、進みながら答える。
ヴァルド「あれを剥製にしたジェリックによると…ないってよ」
ターク「あれを剥製にねぇ…」
タークはブルッと身震いする。
…
しばらく進んでいると。
ターク「…あいつらは…蟻みたいな役割で…
主の為に働く生物なんだな」
キィェィ!!
そんな鳴き声が聞こえ、タークが前を見る。
ヴァルドに飛びかかって攻撃を仕掛けていた。
ヴァルド「ターク…こっからは気を付けろ…」
グシャッ!ヴァルドが攻撃してきたバーラを掴んで握りつぶしていた。
ターク「寄生しないんじゃなかったのかよ…」
ヴァルド「いや…寄生はしないんだが、攻撃してくる、さっきの這う奴らは草木を増やす仕事…こいつらは何かを守ってる。」
ターク「主か?」
ヴァルド「いや…」
ヴァルドがシーッと指を口にし、そっと前の草をずらしていく。
ターク「っ…」
その先には座るゴーレムの身体…そして顔には大きなバラが植えついていた。
ヴァルド「寄生して、完成しきるまでの奴を守ってる…。」
目の前のゴーレム?は…グゥー…と呼吸をしている。
体育座りのように固まっていて…じっとしている。
ヴァルド「悪い知らせだ…奴はほぼ完成してる」
続く。




