90話 形成
90話 形成
ーガルド族領ー
キャンプ
ドカッ!木のジョッキがテーブルに力強く置かれる。
ヴァルド「ぷはぁー!!狩りの後はやっぱりこれだなぁ!!お前のおかげで風呂にも入れてるし…
最近の人生楽しくてしょうがないぜ!」
ヴァルドは歯を見せ目を細め酒のうまさに浸っていた。
ターク「ふぅ…良いなぁ、ヴァルド達みたいに戦えたらこいつがもっとうまく感じるのかぁ…」
タークはヴァルドのジョッキよりも一回り小さいジョッキでお酒を飲んでいた、単純にハンターの使う物は大きすぎて重い、ゲマナやマールが使うようなジョッキ。
そしてヴァルドのはキャンプで一番大きく、木と金属が使われている、さらに重いが軽々しく持っているようだった。
ターク「よくそれで何杯も飲めるな…」
その場にはグリンス、セリーヌ、ヴァルド、タークがいたがグリンスとセリーヌは酒に弱く頬を真っ赤にうつ伏せに眠っていた、お酒はジョッキの半分ほど残っているが、実は三杯目。
ヴァルド「お前こそ…そーんな小さいのでチマチマ飲んでて楽しめるのかよーい!」
ヴァルドは比較的酒に強いが酔っぱらうと面倒だった。
ちなみにタークは五杯ほど飲んでいる。
ヴァルド「とはいえ…お前も中々やるじゃねぇか、平然としてやがるな!ガハハ!」
ターク「たまに酒で情報探ろうとする刺客いたから慣らしてたんだ…この世界の酒でも耐えれるとは思わなかったが…」
二人はそう話ながらジョッキに口をつける。
ターク「……ところでよ…前にPITの男が狩人の館に来たの覚えてるか?」
ヴァルドはジョッキを傾け口をつけていたが。
ヴァルド「んっ…?」
ヴァルドはゆっくりとテーブルにジョッキを戻して目を細めて思い出そうとしてる。
ヴァルド「…そんなんあったかな」
ターク「ったく…飲みすぎだろ…絶対シラフだったら覚えてる…。」
タークは少し呆れながらも思い出しながら話す。
ターク「その時、男の言ってた兵器を持っている男…を…おそらく追っている魔法使いと会ったんだ、ルシアンで。」
ヴァルド「そーか」
ドハドバ!ヴァルドは続けてお酒をジョッキに補充していた。
ターク「…そいつが言うには、ターサー・アルサと言う男が自分の仲間を殺したから…復讐を誓ってるんだと…それにそいつ…前に俺に妙な石を…」
タークはこれは話しては別に意味がないと思い途中で止める、幸い酔ってるヴァルドは細かいことを気にしないので聞いても来なかった。
ヴァルド「誘拐に人殺しねぇ、そりゃ…追われるのは当然か」
ターク「誘拐の件覚えてんじゃねぇか」
ヴァルド「今思い出したんだよぉ!ガハハ!」
酔ってるヴァルドは面白くないところで笑う節があった。
ターク「…復讐とかさ…まぁ、なんにしろ、何か悲しい過去が少なかれ皆にはあるのかな」
タークはうつ伏せに眠っているグリンスをチラリと見ながらそう言う。
ヴァルド「…」
酔っぱらってるヴァルドが何かを考える目をし、間を置く…再びジョッキを傾けるまでに30秒はあった。
勿論タークはそれを見逃さなかった。
ターク「なぁヴァルドにも─…」
ヴァルドは食い気味に。
ヴァルド「お開きだ…セリーヌ、行くぞ」
席から立ち上がってはセリーヌを起こそうと身体を揺らしている。
セリーヌ「んぅー…なにぃー…そこはだめー…」
セリーヌは酔っぱらいテーブルに突っ伏して離れようとしていなかった。
ヴァルド「ったく…」
ヴァルドはゆっくりとセリーヌを抱き上げてテントの方に向かうのだった。
タークは目の前にいるグリンスを起こす為に立ち上がり優しく揺さぶる。
ターク「グリンス…テント行くぞ…あと、歯磨きとか…」
グリンスを揺さぶって起こそうとしながらも頬を赤くして無防備にテーブルに突っ伏して眠っているグリンスは色っぽさ100%で少し夢中に見ていた。
ターク「ほらぁー!グリンスー!」
タークは手を揺らしながら徐々に胸元に手を近づいていく。
ターク「…(まっ…許されるっしょ…)」
そんな気持ちだった。
が…。
バコッ!!
ターク「がっ!!」
綺麗に酔っ払ったグリンスの寝ぼけた腹パンを食らうターク。
グリンス「んー……ぇ…っちぃ…」
…
一方セリーヌのテント。
ヴァルド「……よっこらせっと…」
ゆっくりとテントのベットにセリーヌを置いた
ヴァルド。
セリーヌ「……ん…」
セリーヌもまた無防備だった。
ヴァルド「弱いのに酒飲むなよ…」
ヴァルドはそう呟くとテントから出ようとし入り口の布に手を掛けるが手が止まる。
「まず一つ…女や子供は何が何であれ守れ」
ー回想ー
ー酒場ー
ヴァルド(35年前)「なんだそれ…女のハンターとかでも?」
???「ふむ…まぁ俺だったら女より弱くないって所見せてやりたいし、女もそういう男が好きだろうし…結局は守ろうとするだろうな」
35年前のヴァルドは今よりもっと細く、装備も軽装だった他、大剣ではなく槍を使っていた。
ヴァルド「そりゃぁ…スガクさん程なら出来るだろうけどよぉ…ゴーレムですら手強いぜ…」
スガクはジョッキを力強く置き。
スガク「ガッハハハ!ゴーレムぅ?あんなのちょちょいのちょいだっての!前に噂の緑髪とくるくるパーの髪の新人は簡単に蹴散らしたって聞いたぞ」
スガクは長いオレンジ色の髪をオールバックにし丸めて結んでいて、口に長い髭を生やしている、眉毛も濃く、綺麗な黄色い瞳、そしてずっしりした銀の鎧。
ヴァルドは目を逸らし。
ヴァルド「二人じゃねぇか…2対1だ…」
スガク「それだよ!それ!」
スガクは酔って目の焦点を頑張って合わせながらヴァルドに指を指す。
スガク「おめぇはバディさえ作ろうとしねぇ!何でだー?」
ヴァルド「あんたみたいに嫁の尻に敷かれたくねーから!」
スガクは痛いとこを突かれたかのように笑い。
スガク「べ…別にバディが女じゃなきゃいけねー
ルールはねぇよ!それにな…あの女は尻がでけぇだけで──…」
ドコン!!スガクが背後からゲンコツを食らう。
スガク「ぐっ…ぐぅ…」
ルーナ「誰が尻がデカイだけですって!?」
スガク「ル…ルーナ…なんでここに…」
ルーナは腰に手を添えて怒鳴る。
ルーナ「あんたの帰りが遅いから迎えに来たのよ!!今日は早く帰るって言ってたでしょーが!」
芯の通った声で美人が怒ると酒場も静まる。
スガク「す…すんません…今…」
ルーナ「当然です!!…じゃ、またねヴァルド♪」
ルーナは笑っているのか怒っているのか分からない顔でヴァルドにそう言ってスガクを連れていく。
ヴァルドは少し可笑しく笑っていた。
ヴァルド「ほらなー…こうなるから…」
ー回想終了ー
…
ー朝ー
ピヨピヨ…。
ターク「ふぁーあ…」
タークは自身の腰を軽く叩きながらあくびをして出てくる、時間は朝の6時…。
ターク「あれ…ヴァルド…なんか早いな…」
ヴァルドが6時に既に焚き火の傍のベンチに腰を掛けていた。
ヴァルド「あぁ…タークか…おはよう」
焚き火を眺めていたヴァルドはふぅ…と一息ついてゆっくり立ち上がるとタークの方に来て。
ヴァルド「今日は俺と狩りに行くぞ」
続く。




