89話 超本能
89話 超本能
パカリッ!パカリッ!馬は全速力で走る、自分も命の危機が迫ってることに気付いているのだろう。
アルルはただ馬の後ろに乗りながら遠くに見える地面にのたうち回るメシスを見ている。
アルル「…(このまま離れていけば)」
パチ…パチ…まばたきをする…パチ…三度目のまばたき、その瞬間メシスの姿が消える。
アルル「っ!」
四度目のまばたき、音もなしにメシスが目の前に飛んできていた…クナイを構え。
メシス「あははっ♡!!」
ターサー「っ!アルル!」
ターサーは再びアルルを抱えて攻撃を避けるように馬から飛び降りる、今回は少し違った。
ジャキッ!!
ターサー「ぐっ!」
ターサーの脚にメシスの斬撃が確かに入る。
ズザザ!ターサーは背中をすらせてアルルを抱き抱えたまま地面に付く。
ターサー「……平気か…アルル」
ターサーは脚の痛みを堪えながらアルルからゆっくり手をほどく。
アルル「っ、ターサーくんっ!酷い怪我…」
ターサーの脚はかなり深く斬られていた。
ターサー「っ…俺は良いから…構えろ…」
アルル「わ…わかった…」
アルルは額に汗を垂らしながら立ち上がり周りを見る、姿がない、だからこそ恐怖がある、次はどこからくるのか、また音もなしに現れるのか…。
アルルの杖を握る手が強くなっていく。
アルル「……集中…」
アルルはよく周りを警戒する。
ササッ!!草むらから何か出てくる、今度こそは音を鳴らして出てきた、アルルは見る、メシスは飛びかかってきている。
アルル「バフエラフリース!!」
アルルは地面の砂を蹴り上げそう唱えた。
エラフリースは物体を軽くする、砂ぼこりはさらに舞い上がりメシスの方に、煙幕代わりになる。
メシス「っ!」
サッ!!とアルルは間一髪で避ける、メシスの攻撃の重心が砂のおかげでずれたのだ。
メシス「…」
ズバッ!とメシスは後ろに飛び上がりゆっくりと目を開ける。
メシス「ふふっ…次はどうする予定なのぉ♡?あなたの魔力…どんどん下がってきてる…♡普通より高い威力の魔法のせい♡?」
アルル「っ…」
アルルは既に息切れをおこしていた、走ったわけでもない、ただ魔法を使い続けた事により酸欠に近い症状に…。
ターサー「っ…」
ターサーはゆっくり立ち上がろうとする。
傷が痛むだけでなく広がっていく、血も出てくる。
アルル「ターサーくん!!じっとしてて!」
ターサー「っ、はぁ…はぁ…」
ターサーは膝立ちで止まる。
メシス「うっふふ♡めずらっしぃー♡!あの最強ちゃんが情けなーい♡」
ターサーはアルルを横目に見る。
ターサー「いけるのか」
アルル「やってみる…でなきゃ死ぬ…」
ターサーはそんなアルルの様子を見て静かに止血帯を取り出す。
メシス「あっ!ダメ!させない!♡」
メシスがターサーの応急処置を止めようとクナイを構え直し飛びかかってくる、ターサーは止めない。
何故なら。
カキン!
アルルが杖で止めに入る、それを信じていたからだ。
アルル「くっ!」
アルルは杖でメシスを抑え杖を震わせながら、隙を見て前に蹴りをする。
メシス「あぁっ♡!」
メシスは後ろに飛んではすぐに体勢を立て直しため息をつくように。
メシス「はぁ…♡これっぽっち?♡本当に弱ってるみたい…♡」
アルル「はぁっ…ふぅぅ…」
アルルは深く息をすって吐きながら。
アルル「まだまだこれから…」
再び杖を構え直して戦意があることを示す。
メシス「あはっ…そうでなきゃ彼の隣いないもんねー♡」
メシスはアルルから視線を逸らしてターサーの様子を見る………。
メシス「あ…♡」
ターサーの姿が見えない。
ターサー「アルル!」
ターサーがサイドから岩をメシスの頭上に投げている。
アルル「っ!そういうことね!バフバリュスっ…!」
メシス「へっ…♡?」
ズガン!!!!
メシスの頭上の岩が一気に重くなりメシスの頭から潰すように一気に下に落ちる。
メシスが岩に潰されるように地面に埋まる。
ターサー「はぁ…はぁ…行くぞ…!」
ターサーは脚の怪我で少しバランスを崩しながらアルルと走り馬に乗り込む、そして全速力で走っていく。
…しばらくして。
ズガーン!!地面の岩が飛ぶ。
メシスが穴から這い出てくる。
メシス「んもー!♡また逃しちゃった…」
メシスはむぅー!と拗ねるように腰に手を添えて立ち尽くすのだった。
…
パカリッ…!パカリッ…!
馬が減速していく、流石に馬も疲れを感じ始めたのだった、そしてそれは馬だけではない。
アルル「……止めて…止めて…」
アルルが目を虚ろにしてターサーに掴まりながら肩を叩く。
ターサー「…わかった」
ターサーはゆっくりと馬を止めていく。
アルル「はぁ…はぁ…」
ターサー「アルル…平気か…」
アルル「平…気…」
瞬間…アルルが馬から倒れるように落ちる。
ターサー「アルル!」
ターサーは自身の脚を抑えながらもゆっくり馬から降りてアルルの元に膝を付く。
ターサー「しっかりしろ…アルル!」
アルル「……ごめん…結構きつい…魔力…使いすぎた…」
アルルが目を閉じる。
ターサー「…」
ターサーは周りの様子を見る、敵の気配はない、しかし馬は疲れているし、馬で意識ない人間を運ぶのは少しリスクを伴う、ターサーは仕方なくゆっくりとアルルを抱き上げて馬をついてこさせる、歩きで移動していくのだった。
続く




