86話 答え合わせ
86話 答え合わせ
ズザザザ…大木の前に馬を滑らせ止める。
ターサー「ここか」
ターサーゆっくりと馬から足を下ろす。
着いた場所は大木の周りに十分大きいのにも関わらず目の前の大木の影響で小さく見える木々…その他にも鳥のさえずりやなびく地面の草。
木々の隙間から入り込む陽の光。
心地の良い場所だった。
アルル「そうそう!ここー!はぁー!やっぱり我が家が最高ー!」
アルルも馬から降りては伸びをしながらターサーの方に来る、そしてチラチラと赤い宝石のついたネックレスを見ている。
ターサー「そんなに気になるのか?これが」
アルルはハッとして。
アルル「…いやいや!本当に凄いもんだから!来て!」
アルルは少し小走りで大木についた大きな扉に走っていく。
ズザザザ、重そうな大木の扉を軽々しく開けている。
ターサー「慣れと言うやつか…」
ターサーはついていくように入っていき片手で扉を閉めていく。
中、まず壁は当然木だ、カーキ色の壁、そして床は切り株模様がある、端に階段があり上に行けるのが分かる、真ん中には切り株で作られた大きな机と椅子、階段付近に本棚がある、階段の段差に合わせるように本棚の高さが変わっている。
ターサー「…ここは?お前が作ったのか?」
アルルは低い本棚の前で四つん這いになり探しながらも答える。
アルル「えっと…これじゃない…んー…作ったのはボクであってボクじゃないかなぁ」
ターサーはそれを聞いて眉間にシワを寄せて近くの切り株の椅子に座る。
ターサー「どういうことだ」
アルル「魔法駆使したからねぇ…」
ターサー「魔法で?」
アルルは大きな赤い本を一つ取り埃を払いながら立ち上がり。
アルル「まぁねー?バフピプレ!とか…」
アルルが手をかざすと大きな切り株の机が浮く。
アルル「こんなん使ったりしてすっごい時間かけて作ったよー…一番大変だったの大木のくり抜きだったけど…」
ターサーはアルルがゆっくり下ろす切り株の机を見つめながら。
ターサー「やはりお前も魔法使いなのか」
アルルは少し考えるように腕を組み上を見ながら。
アルル「うーん…今となってはそう言えるかもだけど…ボクとしては違う…かな」
ターサー「どういうことだ…」
アルルは切り株の机に手に持った大きな赤い本を置いてターサーの向かいの椅子に座り。
アルル「ボクはテルア族で魔力は通ってないんだ…本来は…」
ターサー「テルア族…聞いたことないな」
アルルは苦笑いしながら。
アルル「それもそうだよ…マジリカの端の端なんだもん…」
ターサー「そうか…それで…テルア族というのは?」
アルルはゴホンと咳払いをして説明しだす。
アルル「テルア族は…えーっと…大体今から3000年前から存在した一族で…特徴はなんて言ったって不老…5歳になってから老けないようになってるんだ」
ターサーは少しハッとしたように。
ターサー「それはそれは…失礼したかもしれないな」
アルルはムッとし。
アルル「あのボク歳おばさんじゃないから…まだ3歳!」
ターサー「良く考えたらそうかもしれん」
アルル「それはそれでどういう意味!?」
…仕切り直し。
アルル「テルア族として生まれたボクだけど…母親が村の皆にバカにされながらも魔法を練習してたの…来る日も来る日も…皆笑ってた…私達テルア族に使えるわけないでしょー…ってずっとずっと」
アルルは少し目を伏せ。
アルル「お母さんは…村がより良く発展するために頑張ってたのに…」
ターサー「魔法が必要な程だったのか…」
アルルはコクッとうなずく。
アルル「さっき言った通り…テルア族の村はマジリカの端の端…物資だって流通しない、あるのは周辺の果物と自給自足の畑…それでも魔物が畑を荒らすし、荒らさなくとも周辺の果物は食べる…そうじゃなきゃ餓死しちゃうから…」
ターサー「自然の摂理だな」
アルル「ようやく…お母さんは魔法を使えるようになった…魔法練習中でもお母さんはボクに構ってくれたし…絵本だって読んでくれてた…ボクはあの頃まだ小さかったから…分からなかったけど…お母さんは秘めた才能で見つけたんだって…やり方を…テルア族なりの…」
ターサーは少し無言になった後ゆっくり息を吐き話す。
ターサー「マジリカで生まれた種族なら少なからず何かしら魔力の欠片でもあるはずだ…しかしそれはかなり小さい…お前の母親はかなりの根気と…才能があったはずだ」
アルルは少し口を微笑ませる。
アルル「そうだよね…凄い、けど村の為に魔法扱えるようにしたお母さんは…当然村から離れた…ボクのお父さんはいたし見てくれてたけど…最低限って感じだったから寂しかったなぁ…お父さんだってバカにしてたんだもん…お母さんを…」
ターサーはただ黙って聞き続ける。
アルル「それでも頑張ったお母さんがいたんだもん…ボクだって頑張って今は使えるようになった…」
アルルは手をギュット握りその手を見つめていた。
アルル「お母さん…」
ターサーは腕を組みゆっくり口を開く。
ターサー「何故一人で旅をしてる、何故その村を離れた…」
アルル「え?あー…それは…」
アルルはチラチラとターサーの腰のポケットからチラチラ見える赤い宝石のネックレスを見ていた。
ターサー「あぁ…すまん、もう好奇心には勝てないようだな」
アルル「…えへへ…ごめん…」
ターサーは袋からゆっくりとネックレスを取り出し切り株の机に置く。
アルルはゆっくりと本を開けるのだった。
続く。




