82話 囚われ
82話 囚われ
ハウィの姿になったシュードはハウィの家の周りをうろつき窓を確認する。
シュード「…」
静かに近付いて上げ下げする部分に板を挟んでいく。
そうしてハウィの姿のまま町の方へ歩いていく…。
カランコロン、雑貨屋のドアのベルがなる。
シュード「…(確か奴の脚は怪我させたな…)」
シュードはわざと脚を引きずりながら。
店主「…っ…こんな時に…」
店主は慌てた様子で店を閉めようとしていた。
店主「って…ハウィさん…大変だぜ、町で囚人が逃げたって噂だ、早く家に戻った方がいい!」
自分の事だ…シュードは考える。
シュード(ハウィ)「食料の備蓄が切れてしまってね…逃げた囚人から隠れる為にいつまで家に隠れるか分からないし…急ぎで買わせてくれないか…」
店主は焦りながらも考えているのか間をあけ。
店主「っ…ハウィさんがそう言うなら…」
承諾されたシュードは缶詰、果物…そして灯油…。
…
店主「ま…まいどあり」
購入後シュードはそれらを抱えながら店を出る。
町は全員が全員家に隠れてるわけでなく呼び掛けをしている。
シュードはハウィの姿で引き続き脚を引きずりながらハウィの家を見ている、抱えた紙袋の中の灯油をチラリと見ながら…。
ー雑貨屋ー
カランコロン…再びドアが開く。
ターサー「ここは異常無しか?何か挙動の変な客は来てないか?」
店主「っ…ターサー…いや、さっき丁度ハウィが来ていた所だ、今店じまい中だ…」
ターサーはそれを聞いた瞬間眉間にシワを寄せ。
ターサー「ハウィが…?」
店主は店じめの為の片付け…運ぼうと箱にかけた手を止める。
店主「すまねぇ…実を言うと違和感を感じてたんだ、だが…あれがもしあんたが言ってた通り…変身魔法を使うシュードだったとすると…死ぬかもしれねぇって思って…」
ターサーはそれを聞いて静かに聞く
ターサー「奴は何か買ったのか…?何を買った」
店主「缶詰、果物…灯油」
ターサーはそれを聞いた瞬間銃を引き抜いて雑貨屋の扉に近づく。
ターサー「隠れるなら出口の傍にいろ」
ターサーは出ようとドアノブに手をかけるが止める。
ターサー「…生存するための選択として…お前は正解を選んだ…恥ずべき事じゃない…」
そう言い残して急いで出ていく。
雑貨屋の向かい側の建物のウットデッキにジェリスがいた、町の人々に呼び掛けをしている。
ターサー「ジェリス!シュードがハウィに変身して灯油を買った!奴は──」
バコン!!!爆発音が聞こえる。
ターサー「っ…!」
ジェリス「っ!何がっ!」
ジェリスは急いでリボルバーを引いて姿勢を低くする。
ターサー「あれは…」
燃え盛るハウィの家。
ターサー「急げ!!ルリィとハウィがいる!」
ジェリスとターサーは急いで家の前まで向かう。
ジェリス「っ!出てこないぞ…まさか…」
ターサーは額に汗をかきながら。
ターサー「…煙の中じゃルリィは魔法は使えない…酸素があまりにも足りない他…集中出来る場所ですらない…」
パリン!!
再び爆発、窓が割れる。
ジェリス「じゃあどうする!!!」
ターサー「行くしかない…」
ターサーは家の扉に向かって走っていく。
ジェリス「んな無茶な!!おい!!戻ってこい!!」
そしてドアを蹴り破っては燃え盛る炎の中に入っていく。
家の中のいたる所が燃えていた。
ターサー「っ…ルリィ!ハウィ!どこだ!!」
ターサーはPITの厳しい訓練を耐え抜いたベテラン軍人としてこの煙の中、熱、しばらくは耐えられる、時間内にルリィとハウィを見つけ救出出来るかが生存の鍵だった。
バキッ!ドガッ!!
板が燃えて崩れ落ちてくる。
ターサー「っ…くそ…」
しかし不幸中の幸い、それにより目を逸らした先、窓の近く、ハウィがルリィを守るように抱き締めて倒れている。
ターサー「ハウィ!」
反応はない。
ターサー「ルリィ!」
無論二人とも反応はない。
ルリィもハウィも黒く汚れ、頭から血が流れている、天井をみると床が崩れ落ちたのが分かる。
しかしハウィがルリィを守ったからかハウィに比べルリィは出血が多くはなかった。
逆を言えばハウィはまずい状況。
近くに行き二人を両肩で抱え込む。
PIT時代の仲間を二人同時にレスキューする訓練通りだ。
バキッ!ドガッ!!
再び板が落ちてくる。
ターサー「…くっ…」
ターサーは足早に燃え盛る家から二人を抱えたまま避難していく。
ジェリス「ターサー!!」
ターサー「急げ!処置だ」
ターサーは二人をゆっくり地に降ろす。
ジェリスはターサーが突入している間に用意していたエプソンの病院にあったPITの酸素マスクを二人に取り付ける。
エプソン「急いで病室に運べ!」
ターサー「あぁ!」
ジェリスはハウィを抱え、ターサーはルリィをお姫様抱っこ。
急いで走っていく。
ルリィ「っ……」
ルリィは朦朧とした意識の中抱えられながら下からターサーを見る。
しかし、そのさらに頭上、焼けても汚れてもないルリィの大事な帽子が赤く光り飛んできている。
ルリィは弱々しく酸素マスクを外し。
ルリィ「っ…た…ぁ…さん…!」
ターサー「っ…?」
ルリィ「…ぁーさん…けて…」
ルリィは弱い声で何かを言っている。
ターサー「なんだ?」
ルリィ「よ…け……て…」
ターサー「っ?」
その時…ババババババン!!
ターサー「っ!奇襲…!」
エプソン「ぐっ!」
エプソンは肩に食らう、血を散らし地に倒れる。
ジェリス「くそ!!」
ジェリスは病室前についていたのでドアを開けゆっくりハウィを寝かせては再びリボルバーを引き抜いてその先を見る。
ターサー「っ…シュード…」
シュードはKP33アサルトライフル…PITの銃…ターサーの銃を持っていた。
そしてさらに…足元には手足、口を縛られたリリー。
シュード「はっは…ターサーだっけか…?残念だな…ここまでだ」
ターサー「っ…」
シュードが引き金に指をかける。
リリー「んっー!?」
リリーは縛られた口で叫ぶ、ターサーはハンドガンを持ちながらルリィを抱えてたものの距離的に正確に当てれないのが分かるからだ。
ババババババン!!!
ターサー「くっ…!」
ターサーは目を伏せる、が着弾しない…
パラパラと砂が落ちる音がする中ゆっくりと目を開けて前を見る。
ボロボロの石の壁だ。
ターサー「っ…ルリィ…」
ターサーは抱えたルリィを見る…青い目と黄色に光った目をチカチカさせていた、それは限界を知らせていた。
ルリィ「っ…うぁ…!」
ルリィは力を振り絞り手をかざす。
ターサー「よせ!」
ルリィはボロボロの石の壁をシュードに向かって放つ。
シュード「っ!しまっ──…」
幸い少ない魔力で攻撃され小さくなった壁はリリーを巻き込むことはなかった。
バゴーン!!
そのままシュードは押し込まれて近くの木の建物に吹き飛ばされる。
シュードは頭から血を流し倒れている。
ターサー「っ…ルリィ!無茶を…」
ルリィ「ぐっ…うっ…」
ルリィは苦しそうにし、やがて瞳の黄色の点滅はなくなる、弱々しくターサーに手を伸ばす。
ルリィ「…よ…かっ…た」
口元、頭から血をだし、炭で汚れたルリィは確かにそう言った、目から涙を流し、微笑みながら。
続く。




