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78話 復讐

ー過去ー


男「ボス…例の頼まれていた毒だ」


河原、段差の上でタークはそれを受け取る。


注射器…細かな丈夫な針、中身は透明な液体。


タークは紙袋を片手にもう片方の手でそれを手に取る。


ターク「これか…」


男「…簡単だった、結構ありふれた毒だ、何故それが必要なのか知らねぇが…それより俺からあんたに話がある」


タークは少し割って話すように。


ターク「少し長くなりそうだな、近くで水を買ってくる。」


男「…」


男は少しイラついたように待っているのだった。


その後、河原の段差で座りながら男の話を聞いていた。


タークは買った水を渡して、自分の分の水を開けながら紙袋を開ける、中身はメロンパンだった。


男「ボス、いいか…最近ギャザランギャングだったのがマジックトリックとかいう名前になって…元のギャングメンバーも俺以外死んでいってる…抗争かなんだか知らんが…そんな時にあんなしょうもない毒を手に入れさせるなんて馬鹿げてるぜ」


タークは袋から取り出したメロンパンを持ちながら。


ターク「そうだな、きっと」


タークはメロンパンを持った手を上に上げる。


男「なんだってんだよ…」


男はそんなタークの対応にイラつきながらも水を一口。


その時だった。


ヒュー!!!!


河原の上空を飛んでいたトンビがタークの持っていたメロンパンを取って行ってしまう。


ターク「あっ…まじか…この時間は本当に多いもんだ」


それを見た男はご機嫌そうに言う。


男「ふん…マジックトリックのボスがそんな…」


しかし途中で声を止まらせる、そして首を抑えるようにしてもがき出す。


男「…うっ…うぁ…あっ!?」


男はボスを見ながら静かに死んでいくのだった。


ターク「返ってきたんだ、何もかも」


タークは男を見下ろしながら水のペットボトルを自身のと交換する、男の遺体に一瞬咥えさせ…。


そしてその後すぐ、警察官が来た、倒れている男と傍で必死に起こそうとしているタークをみて通報され駆けつけたのだ。


タークはその場で警察官に怪しまれたように見られ、タークは手を上げてボディチェックを促し、始める。


タークからは毒の証拠なども出ず、その場の遺体から毒での死だと分かりつつも凶器が見つかっている状態であった。


タークはそれが狙いだった、その場でもらった注射器の毒を買った新品の水にキャップ下から注入した、タークはその後注射器とGPSをメロンパンにねじ込んでわざとトンビに取らせて隠滅、警察官は近くに証拠があるかもと調査するも何もなし、タークのボディチェックも簡単に終えた為容疑者にあがることはなかった。


ターク「もしもし…鳥の巣の近くのGPSの位置の物を回収してほしい…前から見てたが…おそらくあの山だ…」



そしてその日の夕方、雨が降っていた、車にあたり続ける、見覚えのあるようでないような場所は孤児院、初めて来た時と全然違う発展の仕方をしていた。


その近くには既に待機して待っている仲間。


タークは黒塗りの高級セダンに乗りながら一息、そしてエンジンを切って早歩きで仲間の元に行く。


タソガレ「ここであってんすか?なんか…孤児院ってこんな豪華なんすね」


部下1「まぁ、そういうところもあるんだろ」


ターク「誰かを踏み台にしたらこうなる、行くぞ」


タークと部下二人は偽のIDを胸に身につける。


そしてタークはどんどんと進んでいってしまう。


タソガレと部下1は顔を見合せてからついていく。


中では子供達が楽しそうに遊んでいる、タークの見覚えのある孤児院と同じだった事の一つだ、子供達は昔も楽しそうだった、それは彼女のおかげだったと思う、しかし今は設備の良さだろう。


タソガレ「すっげぇ…最近の孤児院ってゲームしてるんすね…」


部下1「結構イメージと違うな…」


とにかく豪華な内装と設備、そして変わってないことの二つ目…構造だった、タークは構造が同じなので迷わず進んでたどり着けた、ハセ院長の部屋に…。


タークは一呼吸する。


タソガレ「…ボス?」


ターク「…リラックスさ…」


タークは両手でドアを押して歩いていく。


相変わらず豪華だが見覚えのある構造。


ターク「この時間はいつでも一人…だったな…」


ハセはPCをカタカタと操作していたが開いた音に反応し顔を上げる。


ハセ院長「…どなたかな…っ…君は…」


ターク「…」


タークは微笑みを見せる。


タソガレ「あぁ…なるほど、こいつが言ってたボスの仇っすね…」


タソガレが院長の胸にある名前を指差す。


部下1「こいつが…」


ターク「…少し、話をしたいな、立って机の前に」


タークは指を指して場所を指定する。


ハセ院長「…分かった」


ゆっくりと椅子から立ち上がったハセはそのままタークの前に立つ。


ターク「膝をつけ」


ハセ院長「…」


ハセ院長は膝を目の前でついて言ってもないが頭の裏に手を合わせる。


ハセ院長「あれからずっと君の成長を祈っていた…だが…結果、あんな場所に行かせたのは…申し訳なかった、それに…彼女を─…」


ターク「…なんだ?ん?」


タークは戸惑いを見せながら笑ってしまう。


ターク「何故今更謝る?それで…ランデルは生き返るのか?俺の心は?あの記憶は?消えてくれるのか?」


タークは微笑みながらも言いたいと思っていたことがスラスラ出てくる。


ハセ院長「…俺をどうするつもりだ」


ハセ院長は睨むように見てくる。


ターク「…ナイフを」


部下1「あ…はい!」


タークは部下1にナイフを抜かせて手を伸ばす。

そのままナイフを受け取りさらに近付いていく、ハセ院長を見下ろしながら。


ターク「…」


なぜかタークはナイフを構えるも動きがおそいのだ。


タソガレ「ボス…?」


タソガレが少し前に出て呼んでくる…。


タークは冷や汗を書いていた。


タークはナイフを持って手を震わせている。


ランデル「やめて…やめて!!!」


ターク「っ…!」


タークはナイフを構えるのをやめる。


そしてゆっくり部下1の方に伸ばす。


ターク「こいつを頼む」


部下1は目を見開いて聞いてくる。


部下1「っ…でも…ボスの仇じゃ─…」


ターク「俺の感情より…このクズが世界からいなくなることの方が重要だ」


ハセ「…」


タークは無言でナイフを向けられているハセを背後に部屋を出ていく。



ー現在ー


ターク「…」


タークはテント内で無言で老婆から貰った石を見ていた、外はまだ皆焚き火で話している。


ターク「…(記憶を追体験…もしかしたら…何か変わるのか…?使い方…聞いてなかったな)」


タークは石を触ったり握ったりして試してみる。


すると石が砕けていく。


ターク「っ…」


テント内に光が溢れ出てくる。


ー孤児院ー


ターク(5歳)「…(っ…俺の手が小さい…っ…何か…進んでる…?)」


タークは身体を止めようと考えてみる…しかし。


ターク「…(止まらない…っ、それに…この光景は…)」


間違いなかった、あの日自分がハセ院長の部屋に行く時の光景だった、あの時見ていなかった情報を再認識する、雨が降っていて、この頃から色々設備が新しくなっていた。


ターク「…(止まれ!止まれって…追体験なんてっ…くそっ…動けるもんじゃないのか…)」


タークは身体を何度も止めようとするが自分の小さな手は院長の部屋の扉のドアノブを握ってしまう。


ターク「…(よせよ…やめろ…また…)」


ランデル「やめて…やめて!!!」


ランデルの悲鳴と俺を恐れる光景が蘇る…。


ターク「…(っ…)」


少しずつカットされたかのように進んでいく。


ギャザランギャングの歓声、微笑みを見せてからの真顔の院長…。


ターク「…(ダメだ…ダメ…ダメだ)」


タークは目をつぶりたかったのに瞑れない。


頭から血を流したランデルがギャザランの男達に連れられて来る。


タークは既に院長から渡されたナイフを持っていた。


ターク「…(っ…!)」


ギャザランギャングの歓声…。


「やれぇ!!」「やっちまぇ!」「ぶち殺せ!!」

「ひゃっはっーー!!!!!」


ターク「う…うぁ…うぁぁぁぁ!!!(やめろ…やめてくれ…!!!)」


その時だった、あることに気付いた。


目の前の女性、ランデル…。


彼女は恐れてなんていなかった、まっすぐにタークの顔を見て、優しく話して…抱き締めてくれていた時の顔をしていた、タークは恐怖と焦りで誤解していた、彼女は強かった。


ランデル「タークくん…私を殺して…生きて」


タークはその刺す瞬間の発言を追体験していたからこそ聞こえた、ハッとする、血の感触も感じる…だが、心が軽くなった…。


彼女は覚悟があった、自分を最後まで息子のように思ってくれていた。


あの時自分は殺害後から感情が薄れていた…今、追体験している自分は涙が溢れているのに、動いている子供の身体には涙が一つも這っていない。


ー現在ー


ターク「っ…うっ…」


タークは昔の子供の頃のように少し丸まりテントの床で涙を流していた。


ターク「っ…」


タークは生かされていたのだった。


続く。

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