70話 ギャング集団
ターサー「その一味とやらは…?」
ジェリスは自身のハットを整えて冷静に話し出す。
ジェリス「路上強盗…殺人…それに…街も襲ったりしたと聞いた…襲われた街は今や…俺みたいな色して崩れてる…」
ターサー「…あー…」
その場の空気は凍りつく。
ジェリス「…つ…つまり!真っ黒焦げってことだ…!」
ルリィ「あ…あはは…」
そう言ってる内にも窓の外に見えるシュード一味は平原に馬を走らせて近付いてきている。
ジェリス「…さて…あいつらも染めてやるとするか…」
ターサー「指示を待つ…」
ターサーは部屋の端に立て掛けていたショットガンとアサルトライフルに弾を込める。
ジェリスはホルスターからリボルバーを取り弾を確認する。
ジェリス「あー…ターサー…それどっちか貸してくれ」
…
ガチャリ!ドア開けて姿勢を低くして出ていく、物陰に隠れながら。
ルリィ「き…気を付けてくださいね!」
ハウィ「そっちは任せた!」
ハウィはたどたどしく家の中に隠していたダブルバレルのショットガンを持っている。
ターサーとジェリスは町の前線で奴らが徐々に近付いてきているのを柵の隙間から見る。
ターサー「かなり人数はいるみたいだ…」
ジェリス「あぁ…」
ターサーはアサルトライフルを、ジェリスはショットガンを持って好機を伺っている…。
パン!パン!と…シュード一味は近付きながら空を撃っている。
ジェリス「あれが人に当たらないと良いが…」
ターサー「まったくだ…」
その時、ジェリスは近くにある繋ぎ場に止められた馬がヒヒンと前足を上げているのに気付く…、銃声で驚いているのだ、今にも離したら走り去って行ってしまいそうだ。
ジェリス「ターサー…奴らとの距離は?あとドのくらいだ…」
ターサーは双眼鏡を手に持ち見る。
ターサー「320m程だろうか…」
ジェリス「よし…ターサー…俺が気を散らす方法を思い付いた…お前はその間に奴らの後ろに回れ
…」
ターサー「…了解…」
ターサーはスリングのついたアサルトライフルから手を離して走っていく。
ジェリス「よし…」
ジェリスは馬に近付いて手綱を握る。
…
黒いカウボーイ、黒いシャツに黒いベスト、黒いパンツに黒いブーツ、黒いカウボーイハット、これがシュードだ。
シュード「よーし…お前ら!止まれ!」
シュードは手を上げる。
ザザザ!っと馬が足を滑らせて止まる。
シュード「あの町には金が眠っているのはあそこに見える白い家だ!」
そこはハウィ邸である。
シュード「この町を偵察した奴らに聞いたところ…保安官はいねぇし…銃はないと聞いた…だが…」
その時だった。
ヒヒーン!!!
シュード達の前に走ってくるのは暴れ狂った馬、そしてそれを率いる馬車であった。
シュード「なんだ?あれは…」
ババババン!そんな銃声が鳴り響いた瞬間、シュードの近くの部下三人は馬から落ちて倒れる、他二人は馬が引きずりながら走り去る。
部下1「やばいです!ボス!奇襲です!後ろだ!」
その先、岩影から撃つ一人の男、ターサーだ。
シュード「あそこか!おい!馬から降りろ!これじゃ良い的だ!」
部下1「お前ら!馬から─」
その瞬間、血の火花、部下1もまた馬に引きずられ走り去る。
シュード「っ!くそ!」
その先は銃口から煙が出ているリボルバー片手にたばこを咥えているジェリス。
シュード「っ…つ…次から次へと…!」
シュードと残る部下は馬から降りて身を屈めたり、走ったり。
しかし勿論遮蔽物のないそこで何をしても意味はなかった、仲には馬を壁に走る部下もいたが、挟み撃ちの状態では意味がなかった。
バババ!カッ!ターサーの撃つアサルトライフルの弾が切れる。
ターサー「…」
マガジンを落とす、そしてすぐにリロード、鍛えられた軍人はリロードに時間をかけない、それは過去軍人だったジェリスも同じだった、やがてショットガンの使える距離30m程に近付きリボルバーからショットガンに切り替える。
ジェリス「はっはっはっ!これが楽しいんだ!どうかしてるぜ!」
撃ちながら近付いていくジェリス。
…その頃…町。
ーハウィ邸ー
ガンガンガン!!
ルリィ「ひっ!き…きっと敵ですよぉ!」
ハウィ「な…何故魔法を使える君の方が驚いているのだ!」
ハウィは少し震える手でダブルバレルのショットガンを構えている。
???「あ…開けてくださーい!」
聞き馴染みのある声。
ルリィ「あ…あぁ…リリーさんです…」
ハウィ「あ…あー…あぁ…」
ハウィはショットガンの銃口を下に向けて服を正す、ビビっていた自分がなかったかのように。
ガチャリと開けるとリリーはすぐ部屋に入ってはドアに鍵を締める。
リリー「はぁー…!危なかった!すっごい銃声聴こえましたよ!」
ルリィ「ど…どうして宿からこちらに…?」
ハウィ「ま…まぁ…少女一人…心細かったろう…」
…
シュード「……クソ…」
その頃、ターサーとジェリス。
ターサー「さぁ…お前だけだ…ボスだな?」
ターサーはアサルトライフルの銃口を微塵もずらさずにシュードに向けて歩いていた。
ジェリス「さーて…お尋ね者のシュード…だな」
ジェリスはジャケット下に持っていた縄を手に持ち近付いていく。
シュード「…偵察した奴らは保安官はいなかったと言っていたんだけどな…」
シュードは大人しく手を上げて頭に乗せる。
シュード「お前か…唯一銃を持っていた男ってのは」
シュードは黒いカウボーイハットで片目を隠しながらターサーを見る。
ジェリス「良いから来い…」
ジェリスがペシッとシュードの頭を叩いて町の方へ連れていく。
…町の道を歩きながらジェリスは声を張る。
ジェリス「皆!もう隠れなくて良い!襲撃は終わらせた!」
それを聞いた瞬間、ガバッ!と町の家の窓が開いて拍手と歓声。
町民1「フォー!流石だぜ!」
町民2「最強の保安官のご登場だぁ!!」
ジェリス「ははは!いい気分だ…」
ターサー「中々良い銃の扱いだ」
ジェリス「お前こそな…」
ジェリスは拳をターサーに向ける。
ターサー「ふっ…」
二人は拳を合わせる。
リリー「ターサーさーん!!!」
宿から出てきて駆けつけてくるリリー、すぐさまターサーの足に抱きつく。
ターサー「おっ…平気だったか?」
リリー「はい!なんとか…やっぱりまだなれませんね…ところで…何が起きてたんですか?窓からはあんま見えなくて…」
ジェリスが微笑みを浮かべながら。
ジェリス「ふん…嬢ちゃん…たったいま…襲撃してきたギャングのボスを…」
ジェリスが片手に掴んでいたシュードを見せようとする…が…
ドロドロ…
ジェリス「っ?」
シュードの身体は溶けている。
ジェリス「な…なんだこりゃ!!」
ターサー「っ…」
やがて地面に完全に溶け落ちる。
リリー「な…なんですか…?」
ターサーはリリーの目を早い内に塞いでいた。
その時だった。
バン!銃声…ハウィ邸の方からだ。
続く。




