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68話 VSハンマーワーム

砂埃の舞う中、ターサーは壁の上から銃を向けながら。


ターサー「ルリィ…この壁は"浮かせて"いるのか?」


ルリィは首を傾げながら。


ルリィ「ど…どういう事ですか?」


ターサー「例えばの話…こいつを浮かせるのをやめたらどうなる?落下するのか?」


ルリィはハッとしたように。


ルリィ「そういうことですか?それなら…落下します…」


ターサー「奴に向けて落下させるとする…現在高さ約48mかそのくらい…なら約110kmで落下する…貫通して銃弾を吸収するあのワーム…撃ってるときの感覚は水に撃ってる感覚だ…つまり…この壁を落下させ命中させることが出来たら裂く事が出来る…。」


ルリィは頭の上でヒヨコを飛ばし目をくるくるさせ困惑していた。


ルリィ「な…なるほどぉ…?」


しかしハッと顔を取り戻し。


ルリィ「でも…銃弾が当たって吸収されたあと…再生していました…時間稼ぎするということですか…?」


ターサーは変わらずワームに銃を向けながら。


ターサー「狙いはそれだ…重要なのはこれからだ…良く聞け…ワームのような生物は熱に弱い…裂いた瞬間にオイルのような物を中に入れる…そしたら再生途中で中に入る…」


ルリィ「っ!内部から火をつけて燃やすって事てすか?」


ターサーは顔だけを振り向かせる。


ターサー「そうだ…そこでルリィ…頼みがある」


ターサー「石油工場に取りに行く必要がある…ブリキ缶に入っているはずだ。」


ルリィ「石油工場…確かに近くにありますけど…その間どうする気なんですか…?」


ルリィは答えが分かっている質問をする。


ターサー「ハウィのいる村に行かれては困る…俺が引き付けて時間を稼ぐ。」


ルリィ「でもっ…」


ターサー「時間はない、下に降ろせ」


ターサーは少し声を強くし緑のシェルを入れたショットガンで足元の壁を撃ってビキビキ!っとヒビをいれては力強く地面を蹴り切り離す。


ルリィ「っ!ターサーさん!もう…!」


ルリィは石の壁に微かな魔法を残してゆっくり下ろしていく。


ルリィはターサーが見えなくなるまで見届けては壁を飛ばす、ターサーがいなくなり、ターサーが壁を切り離したことによりいつもより軽くなった事によりスピードが上がる。


サッ…禿げた地面にゆっくりと脚を下ろすターサー、ハンマーワームはターサーに気付く。


うっすら見えるハンマーワームの大きく開けた口。


ターサー「っ…」


ターサーは走り出す。


ターサー「…(現状俺は装備があり約45kmで走るのが限界…奴は約50km…奴との距離10mからの開始で約1.4mずつ追い付いてくる…追い付かれるのに7秒少し…しかし…)」


ターサーは先程の河原でビスを焼いた時にも使った塩の入った袋を持っていた。


ターサー「…(他の方法でも時間を稼げる)」


ハンマーワームが吻を使い絡め取ろうと飛ばしてくる。


再びガルポからのナイフで切ってはハンマーワームの前に塩の入った袋を投げる。


そしてすかさずショットガンでその袋を狙う。


一瞬のゆっくりと時間に感じる、それはターサーだけだが、極度の集中のおかげであった。


目が鋭く、少し輝いている。


銃口が塩の入った袋に合った瞬間だ。


ショットガンを放ち塩をぶちまける。


ハンマーワームの皮膚に染み込むように溶けて入り込む。

その部分だけしぼむようにし、ハンマーワームの動きが鈍くなる。


ターサー「っ…(今!)」


ターサーはターンしてハンマーワームの横を走っていく。


ターン「…(先程からの観察により…こいつのターンは遅い事は分かった…次の時間稼ぎも考えねば…)」


シュッ!とナイフを再び手に持ち走りながら切れ味の高いガルボからもらったナイフをハンマーワームの身体に差し込んではそのまま走っていく。


ハンマーワームの身体の横を切りながら走り続ける。


ハンマーワーム「グガァァァァァ」


ハンマーワームは咆哮をあげる、痛みを感じてるのは間違いがなかった。


ハンマーワームは簡単に斬れる、勿論再生はしている。


ハンマーワームは塩のダメージを再生した後ターンして再び追いかけ始める。


怒っているのか吻が増えている、地面に血管のように這わせ追いかけ続ける、その成長スピードが早く、量が多いのだ。


ターサー「…」


ターサーは無言でナイフをハンマーワームから抜いて走り続ける。


目の前に洞窟の穴のような物が見える、おそらくハンマーワームが山を通ろうと貫通して通った跡だ、そこを通っていく。


しかしハンマーワーム、キレている、止まらずに追いかける、穴を広げるようにウネウネする。


冷静さを失っているのが分かる、ハンマーワームはウネウネせずとも動けるはずなのだ。


ターサー「っ…(岩が降ってくる…)」


ターサーは落ちてくる岩などを避けながら進み続ける。


一方。


男1「っ…なぁ…ありゃなんだ?」


石油工場の見張り用の塔から双眼鏡で見ている見張りの男。


男2「あぁ?砂嵐か?珍しくないか…?」


男1「ったく…最近は平和じゃねぇなぁ…カミさんに怒られるしよぉ…」


男2「まったくだ…」


その時だった。


かなりの速さでこちらに向かってきている何か…


男1「お…おい!なんか!やばい!」


男2「っ!うわぁぁぁぁぁ!!」


男二人は抱きついて叫びながらそれを見る。


すると目の前でキィィィィィ!!と止まる壁、止まる瞬間はアーチを描いている程だった。


男1「うわぁっ!漫画だ!漫画みてぇな女が来た!」


ルリィ「あのっ!お願いがあります!」


男1「あ…あぁ?」


ルリィは目の前にコトッと着地して指を指して説明する。


ルリィ「なんか…おっきなモンスターが暴れてるんです!」


ルリィは手を上げて説明する。


男1「おっきいモンスター?」


男2「あぁ…お前のカミさんの事だべ」


男1「何!?俺を探しているのか!?」


ルリィ「違いますよ!!だから…こう…ウネウネしてて…ヌルヌルしてて…」


ルリィは必死にジェスチャーして教える。


男1「お…おぉ…ウネウネ…ヌルヌル…それってもしかしてだが…」


男は下を見る。


男2「おい、こんな可愛い娘がそんなこと言うはずないだろ?」


男1「あははは!確かにな!」


男二人「あひひひひひ!」


ルリィ「わ…笑ってる場合じゃなくて!とにかく…石油…燃えるものが必要なんです!」


男1「そんなこと言われたって…易々と渡せるもんじゃあないしな…」


男2「そもそも…俺達に権限はないんだよ…見張りだし…」


ルリィ「っ…管理者!リーダー!誰でもいいです!どこですか!」


男1「え?えーっと…」


~管理者の部屋~


キュッ…キュッ…ピカリ…革靴を綺麗に磨いている管理者…ノマド・パーキン…。


パーキン「うむ…綺麗綺麗…」


ガガ!!!窓が勢い良く開けられる。


パーキン「うわっ!なんだ!?」


ルリィ「っ!大変なんです!」


パーキン「あぁっ?」


ルリィは先程の男二人に説明した通りに説明する。


パーキン「なるほど…」


ルリィ「はい!ですから!」


バン!パーキンが机を叩く、その先には一枚の紙。


ルリィ「ぇ…?」


ルリィは額に汗を垂らし瞳を下に下げて見る。


パーキン「では…購入という形で…まず1ガロン…えーっと…100ゴールドからで…」


ルリィ「55ガロン買います!!!」


バン!っと机に手をついて食い気味に言う。


パーキン「な…なるほど…」


~一方ターサー~


ターサー「っ…!」


飛んでくる吻やハンマーワームの勢いで跳ねてくる岩を避けながら時間を稼いでいた。


ターサー「…(あれから15分…そろそろかっ?)」


上空…何かが近付いてくるのが見える。


ルリィ「ターサーさーん!!!!」


ルリィが壁にドラム缶を乗せて近付いてくる。


少し速度が遅い。


ターサー「今誘き寄せる!!なるべく口の近くだ!裂け!しかし皮膚にかかったら失敗だ!こいつは転がって消化できる!」


ルリィ「っ…え…えぇっ!」


目の前でターサーは走り続けている、そしてそんなことを言われてしまってはドシッと来るプレッシャー。


ルリィ「は…外しちゃ…だめ…?」


ルリィが焦っている理由はまさにドラム缶の切り裂いた場所への命中。


ターサー「っ…」


ハンマーワームはターサーのすぐそば、カチ!!カチ!!っと口を開けて閉じてを繰り返している。


ターサーは飛び込み横に逸れる。


ブラストグレネードを手に持つターサー。


ターサー「今だ!」


ルリィ「っ!(出来ます!出来ます!私なら!)」


ルリィは目と身体を黄色く光らせ壁を形成していく。


ルリィ「…(高さ約36mだから…この壁の重さから…大体速度約94kmくらい…ですよね…つまり…えーっと…えーっと…っ!えい!!!)」


ルリィは数学を放棄して落とす。


ビュン!!岩の壁は音を鳴らして落ちていく。


ザクッ!!!ハンマーワームに命中!真っ二つとはいかずともドラム缶の入る隙間は出来た、粉々になり消えていく壁、チャンス。


ルリィはさらに高度を低くして壁に掴まり魔法で傾ける。


ドラム缶は体勢を崩しハンマーワームへ。


ハンマーワームは高速で身体を再生している。


ニュルルルル…スカッ!なんとかギリギリで内部にドラム缶が入る。


ターサー「っ!」


カチ!!ピンを外しターサーはハンマーワームの口の中にブラストグレネードを投げる。


その瞬間ターサーは走って距離をおく。


ハンマーワームはそれに気付いて追いかける。


その瞬間!


大きな爆発が起きる。


ターサー「くっ…!」


ターサーは爆風で飛んで岩に身体を打ち付ける。


ジュワァゥァァ…、そんな音が微かに聞こえながらハンマーワームが焼けている。


ハンマー「グガァァァァァ!!!!!!」


ハンマーワームは叫びながら暴れる、内部から燃えていて消しようがない、大きな口はさらに酸素を取り込んでいる。


やがて暴れが収まる…、死んだのだ…。


辺りにはハンマーワームの吻が黒い塵になったものや…禿げた地面、そして舞って来る砂埃…しかし青空がゆっくり見えてくる。


ルリィ「っ…ターサーさん!」


ルリィは傾けた壁に掴まりながらゆっくり地面に近付いて降りていく、やがて地面に足をつくと急いでターサーの元に駆け寄る。


ルリィ「っ…平気ですか…!?」


ターサー「っ…心配するな…ぶつかっただけだ…ふぅ…」


ターサーは服についた埃を払いながらゆっくり立ち上がる。


ターサー「奴は…」


ルリィ「…やっつけましたよ…」


ターサー「そうか…」


ターサーはゆっくり歩き始めて近付いてハンマーワームの遺体を確認する。


見た目は干からびたミミズそのものだった。


ターサー「…マジリカにはこんなやつがいたのか…」


ルリィ「…でも…聞いたことも見たこともない生物です…」


パカリッ…パカリッ!パカリッ!


???「おい!平気か!?」


何者かが馬で走って近付いてくる。


ターサー「?」


ルリィとターサーはそれに反応し振り向く、視線の先にはカウボーイのような格好をした黒い肌のスキンヘッドに茶色いテンガロンハットの男がいる、服も茶色いシャツに茶色いレザーベストの上にレザージャケット、茶色いズボン…。


ルリィ「ジェリスさん!!」


ジェリス「ルリィ!おいおい!平気だったのかよ!」


ターサーはそれを見ながらそよ風を浴びる。


ターサー「…(とにかく…終わったようだ…)」


…後…ハウィ邸。


ガチャリ…とドアを開ける


ジェリス「ハウィさん!戻りましたぜ!保安官ジェリス!」


ハウィ「ジェリスじゃないか!」


ジェリスとハウィは軽く握手をしてはハグする。


ハウィ「よく戻ってきてくれた!」


ジェリス「あぁ…しかし…戻ってきた日に…まさかモンスターと戦っていた男と…ルリィに会うとは…」


ハウィ「あぁ…あぁ…そうか…」


ハウィは視線を二人に向ける、砂埃で汚れまくった二人。


ハウィ「ど…どんなモンスターと…?」


そうしてその日の夜、ハウィ邸のお風呂に入った後。


バルコニーの白い柵に手をついているターサー。


ターサー「すまないな…ルリィ…今日は色々巻き込んでしまったようだ。」


ルリィはふふっと微笑みターサーを見る。


ルリィ「本当ですよ…もう…」


ターサー「…何かまた埋め合わせ出来ると良いが…」


ルリィ「えー…じゃあ…」


ルリィは少し大胆に近付いてターサーの肩に手を置く。


ルリィ「まずは…渡すものがあります。」


ターサー「渡すもの?」


シューっと柵に滑らすように手書きで何か書かれた一枚の紙を見せる。


ルリィ「オイル代の請求書です♪」


ターサー「…そりゃ…どうも」


続く。

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