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67話 マジリカのモンスター

グググッ、木の倒れていく音が聞こえる、距離は少し離れてるものの音は充分に大きかった。


ターサー「っ…?」


ルリィの傍にある帽子が赤く光ながら点滅する。


ルリィ「近くの森からです…」


キィィィィィー!という、ドアの建て付けが悪い時のような音が響く、それは聞き心地が悪いものだった。


それと同時に強風が二人を襲う。


ルリィ「ひ…酷い音ですよ!」


ルリィはスカートが風でなびくも耳を塞ぐ事に集中していた、それほど酷い音だった。


ターサーは走る…

やがて音と強風が止む…。

ルリィのスカートがファサっとゆっくり戻る。


ターサー「音の方向に調べに行った方が良さそうだな」


河原から離れ草むら、自然の坂を上がっていく。

すると…


ゴゴゴ…と地ならしをしながら地面を這う大きなワームがいた、薄ピンク色で血管が透き通って見える、気色の悪いモンスター、頭部はハンマーヘッドシャークを思い浮かべれば分かるであろう、ハンマーの形をしている。


ルリィ「あれは…」


ハンマーワームが地面を這っていたのだ。


ハンマーワーム…


頭がハンマーのような形をしたワーム

口からは吻を出す、地面をなぞるように補食対象を捕まえに行く。


ターサー「見たことのないモンスターだ、巨大だ…」


大きさ約全長約15m…胴回り、10m!!


そしてまさにワームの感覚というものだろうか、広い平原の中ターサーとルリィの存在に気付いたのか口だけの顔をこちらに向けてくる。


ルリィ「た…ただ、こっちを向いただけでしょうか…それとも…」


ルリィは冷や汗を流し少し顔を青くしながら見ている。


ターサー「来るぞ!」


ハンマーワームは時速50km程で這って近付いてくる。


ターサーは腰にぶら下げたスリングのついた銃KP33アサルト、弾薬5.56mmを構えて撃つ。


しかしそれを物ともしないハンマーワーム、着弾している音は水に石を投げたかのようなポシャン音、それを見るに吸収しているのが分かった。


ターサー「っ…まずいな…ルリィ、俺とは別方向に逃げろ」


ルリィ「はいっ!?」


既に音が聞こえづらい状況にいた、ハンマーワームの這う音は強烈だった、まるで砂嵐の中のようだった、そう、視界も悪いのだ、平原の草の下にある土を舞い上がらせていたためだ。


ターサー「向こうに走れ!!」


ターサーはもう一度声を大きく指を指して言う。


ルリィ「っ…でも!」


ルリィは予想通りの反応をしたがターサーは走ってハンマーワームを撃ちながら誘き寄せる。


ターサーは元682年訓練された軍人、時速45kmで走り距離は離れないにしろ時間を稼ぐ。


そして近くの森に入る。


走ってる中も背後にハンマーワームはついてくる。


木を吹き飛ばしたり、なぎ倒したりしながら。


その時、ハンマーワームにぶつかった木がターサーの前に降ってくる、3本ほど…しかしターサー、これでは止まらない!


一つは飛び越え、二つ目はスライディングで避け、三つ目。


サブとして背中に背負ったショットガンに特殊な緑色のシェルをいれる。


そして走りながら構えてその降ってくる木を撃つ。


緑色の弾薬は数が少ないものの威力は凄まじく降ってくる木を粉砕し、その粉さえもどこかに消え去るほどの威力だった。


一方…


降ってくる砂埃の中ターサーの走っていた方向を目を凝らして見る。


ルリィ「…(きっとあの森に…)」


ルリィは身体を黄色く光らせ壁の魔法を出す。


そしてそれに乗っかっては壁を動かす、空飛ぶ絨毯の頑丈バージョンである、そしてそれは時速70kmで飛んでいく、人が乗れば乗るほど魔力を使うので減速するものの、軽いルリィ一人ならば現状苦労している二人と一匹の中で最速だ。


ターサー「はぁっ…はぁっ…」


ターサーは息を吸って吐くを素早く繰り返し走り続ける…まだまだ走れる体力だ。


しかしハンマーワームは止まらない。


やがて森を抜けて再び平原へと出る。


その時だった。


ハンマーワームが背後を追いかけながらハンマーワームよりも速い速度で地面を這う何か、それは白く血管のように這ってくる…吻だ。


獲物を絡め取る為のもの、それを踏んだらまずいのだ、しかし地面に幅広くつたっていく。


ターサー「っ…(まずいな…)」


ターサーの足元に近付いてくる。


その吻は地面を這うだけじゃない、地面から飛ぶようにしてターサーに絡み付こうとしてくる。


ターサーは今だと言わんばかりに地面を滑りながら止まる。


ホルスターにしまっていたガルボから貰ったナイフを引き抜いては吻の根本の方を斬る。


切った瞬間から白かった吻は黒く散りになる。

ハンマーワームという生物に繋がった吻は根本を斬られる事により機能を失うようだった。


そしてその時。


ルリィ「ターサーさん!」


ルリィが浮いた壁に乗りながら近付いてくる、手を伸ばして…。


ターサー「ルリィ!」


ターサーはルリィの手をぎゅっと握る、案外ターサーを持ち上げて乗せるルリィなのであった。


そして地面から離れようと壁を浮かせるルリィだが相変わらず吻は地面から飛んで壁に張り付こうと必死だった…が…間一髪で離れることに成功する。


ルリィの青い目が黄色く光ってはチカチカとする。


ルリィ「っ…ターサーさん…重いですよ…」


ルリィの魔力の使用量が増えたのだ、壁も減速している。


ターサー「すまんな…」


ターサーは銃をギリギリ砂埃の中見えるハンマーワームに向け続けていた。


ターサー「ルリィ…聞け…奴がワームであることを考えると、塩分に弱い可能性がある、近くに海はあるか?浸透圧の差を利用する、水分を奪い干からびさせる。」


ルリィ「っ…う…海ですか…?」


ルリィはじっくり考える、やがて冷や汗をたらしジト目になり。


ルリィ「ないです…」


ターサー「そうか…問題ない次だ…」


ターサーはハンマーワームに銃を構え続ける。


ハンマーワームは地面を這いながら追いかけてきている。


目はどこにもない、何かで感じとって追いかけてきているのは間違いなかった。


続く。

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