62話 消えゆく仲間達
バキィッ!!仲間の狩人の大剣の持ち手が折れると同時に飛ばされていく。
ターク「っ…あと…二人…」
グリンス「…」
グリンスは額に汗を流しながらも冷静にあたりを見ていた。
一方セリーヌには思考のノイズがあった。
ヴァルドの事を考えていた、彼が生きてるのか…どうなのか…。
しかし考えてる暇はない…。
ターク「っ…よし…分かった…」
タークは沼の中…地面を靴裏を擦るように動いていく。
セリーヌ「な…何してるの!動いちゃだめでしょーが!…狙われるかもしれないのよ!?」
ターク「いい…平気だ!」
グリンス「っ…!ターク!」
一方…。
ヴァルド「う…うぁ…ぁ…」
ヴァルドの着た鎧の脚から血が滲んでいる。
ヴァルド「こ…これは…俺は…し……死ぬ…のか…」
脳内に思い出される…セリーヌとの思い出…ただ…バカだった自分、もっと言うことがあったに違いなかった。
ガサゴソ…
ヴァルド「っ…」
近くの草むらから物音…。
…
タークは相変わらず、地面を滑るように、決して足をあげずに沼を進んでいく。
ターク「…(こ…これを…こっち…)」
バキィ!!!!遠くで狩人が飛ばされる音が鳴る中…タークは動きを止めなかった…。
グリンスはテレポートのように動いていく先を見ていた…。
その時…。
魔法使いは確かにタークを見る。
グリンス「っ!ターク!」
ターク「っ…(や…やばい…)」
セリーヌ「くっ…!」
セリーヌが沼から飛び上がり槍を投げる。
その先は魔法使い…。
勿論消える!
セリーヌ「っ!」
ドカッ!!そんな音が響くセリーヌは空中にも関わらず、吹き飛ばされる。
ターク「っ…セリーヌ!く…くそ…」
目の前のスタンクまでもう少し…タークはスタンクの元に近付いていた…。
グリンス「…!」
次こそ魔法使いはタークの方を見て攻撃をしようと構えをする。
常にテレポート…つまり時を止める前にする構え…それをグリンスは覚えていて分かっていた。
グリンスは内心焦りながら考える…。
ここでタークを庇う→タークだけが残る…。
タークを守らない→タークがやられる…。
グリンス「…っ…(どうすれば…)」
しかし魔法使いは止まる訳ではなかった!
シュバッ!
魔法使いが構える!そして瞬時に!
タークの目の前に!
ターク「っ!」
しかし…ターク…鋭い目をする。
ガシン!!!泥が振動する。
ターク「は…はは…上手く行った…」
魔法使いの足元!そこには!ベアトラップ!
魔法使い「くがっ!?」
タークはベアトラップにかからないよう地面に足を滑らすように動かしトラップを探していた!そしてそのまま滑るように蹴って自分の四方向近くに場所を覚えながら設置していた!
さらに!
ターク「お前は…時を止められる時間は限られている…これは予想だったが…離れておいて正解だった…お前は距離のせいで時間が足りず!時を止めている最中に俺に攻撃が出来ずに…ただ俺の前にテレポートしただけになった!」
魔法使いはローブの…苦しんだ顔をしているのがわかる。
ターク「グリンス!今だ!」
グリンス「…君は…いつでも奇策がある…」
ターク「…少し考えたんだ…」
タークはニヤリとしてその場にしゃがむ。
そう!タークがしゃがんだ瞬間グリンスの斬撃!
魔法使いにクリーンヒットしその場に倒れる…沼に倒れブクブクと泡を出しながら。
ターク「…っ…ふぅ…」
そして…孤島のスタンク…。
顔は先ほどの表情から焦りに変わっていた。
スタンク「く…来るなぁ!!」
タークとグリンスは既に孤島に足をついていた。
ターク「その焦り様…もう仲間はいないみたいだな…」
スタンク「っ…へ、へへ!お、お前も!もう他の狩人達はいないだろ!」
スタンクはそう言った瞬間もう一丁持っていたのか銃を向ける。
しかし!カキン!槍が投げられて弾かれる。
ターク「っ…!」
投げ元…そこを見る…セリーヌが立っていた…。
そして近くにルニャA、さらにゲマナとマールがそれにジェリックが来ていた。
ルニャAは危険を察知して拠点に戻り他の助けを呼んでいたようだった。
セリーヌ「私のタフな男は生きてるからっ!」
セリーヌは大きな声で言うと、その背後にうっすら見える。
ジェリック「これ薬だから…飲んで、ヴァルドくん…。」
ゲマナとマールとジェリックがヴァルドを治療している、そして他にも拠点にいた仲間達が次々に飛ばされていた狩人達を応急措置していた。
ルニャAはタークに向けて親指…を立ててるのか分からないが小さな肉球のある手を向けていた。
スタンク「っ…こ…こんなこと…」
ターク「観念しろ…スタンク…」
グリンス「…」
グリンスはタークの後ろに立っていていつでも斬れるといった感じだった。
スタンク「っ…く…くぅっ!!」
スタンクは情けなく沼に足をいれて走っていく…。
森の方。
ターク達はゆっくり歩いて追っていた、絶対に逃げれないことが分かっていたからだ…。
ガシン!!スタンクの足をベアトラップが挟むがスタンクは無理やり走っていた…火事場のバカ力という奴なのだろう…。
ターク「…よくやるぜ…ったく…」
少し小走りに走って追っていく…。
…
森の道に入る…。
スタンク「はぁっ…!はぁっ…!」
スタンクは足が限界だった…。
その場に倒れる…。
そして後ろを振り返る…。
ターク…グリンス…ゲマナ…マール…ヴァルド…セリーヌ…おまけのルニャA…全員が立っていた…。
ターク「話してもらおうか…スタンク…。」
スタンク「っ…」
スタンクは周りを見渡す、まだ逃げる方法がないか探しているようだった。
スタンク「っ…お、俺は…」
ターク「スタンク…」
タークはスタンクの前に膝をつく。
スタンクはタークにさえ怯えているようだった。
スタンク「お、俺が…俺が選ばれる予定だったんだ!」
ターク「…っ…はぁ?」
スタンクは目を逸らしながら話を続ける…。
スタンク「俺は…この世界に…転生してきた…始めは…自分が主人公で…綺麗な…綺麗な女と幸せに…そう思ってた…」
スタンクはグリンスを見る。
周りは何も言えなかった…。
スタンクは続ける…。
スタンク「だが…違った…拠点の一員になって…ようやくこれからって時に…お前が…お前が…」
タークを睨むように見る…。
ターク「っ…」
スタンク「そりゃぁ…俺は現実世界で人を沢山殺してきた男だ…幸せになる価値はねぇかもしれねぇ…だが!てめぇみたいな!てめぇみたいな…奴には…だから…グリンスと…お前が二人きりの時…いっそのこと…二人を殺して…」
スタンクは声が弱くなってきていた…ベアトラップの出血のせいだ。
ターク「っ…もういい…俺が─…」
タークが包帯を取り出しスタンクの足に近付ける…。
パシッ!っと包帯をはたく…。
ターク「っ…」
スタンク「…お前には…理解できない…お前には…っ…はは…お前も死ぬ…いつか…死ぬんだ…」
スタンクは声を弱くして…そのまま死んでいく…目を瞑り…。
ターク「…スタンク…おい!スタンク!」
反応はなかった。
ゲマナ「…」
皆は最初、スタンクを見つけだし絞め殺す勢いだったのが徐々に哀れみの目でしか見れなかった…。
スタンクもまた…何かの被害者なのだ…。
しかし、スタンクのやった過去は消えない…。
タークは静かに立つ…。
ターク「…とりあえず…埋葬…だな」
ゲマナ「…うん…」
ヴァルド「俺が運ぶ…」
そうやって静かにこの騒動は幕を閉じたのだった…。




