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61話 敵の正体

ターク「こっちみたいだなっ…」


ターク達はヴァルド達が通ったソニバルドの足跡を見ながら同じ道を捜索した。


グリンス「あぁっ…」


ルニャAもしっかりとタークに掴まりながら嗅覚と聴覚を研ぎ澄まさせていた。


スピードが上がる…。


その時だった。


ルニャA「にゃ!急にアイツの匂いがしたにゃ!」


グリンス「っ…!」


グリンスとタークはソニバルドを止める。


ターク「本当か…どっちだ…」


ルニャA「あっちにゃ!」


ルニャAは小さな肉球のある手で指す、その方角は草むらがあるが、確かに奥がある。


ルニャA「かすかに焚き火の匂いもするにゃ…」


グリンス「スタンクは今そこにとどまっている…ということか…仲間と…」


ターク「間違いないな…どうする…?」


グリンスは顎に手を添えて考えるように。


グリンス「ルニャ族の指した方向は沼地…地面がドロドロしている…夜は危険だ…とはいえ…見逃す訳にはいかない…そこでルニャ族…君を頼りたい」


ルニャA「にゃ…?」


グリンス「私と君でこの場所に見張りを続ける…そして微かにでも匂いが変動したら動く…もし朝までスタンクがいるのだとしたら…絶好のチャンスに変わる、それまでに拠点の仲間も何人か呼ぶ…」


ルニャA「にゃ…にゃるほど…」


タークはグリンスの作戦を聞いて疑問を抱く。


ターク「グリンス…お…俺は?」


グリンス「ここから拠点までは遠くない…皆に伝えてきて欲しい…それから朝になったら来てくれ…それまでに私達が戻ってきたら、作戦は中止を意味する。」


グリンスの目はいつもに増して真剣だった。


ターク「……。分かった…行くぞ…ソニー」


ソニバルドを撫でて走らせる。


その途中、ヴァルド達と合流し伝えては一緒に拠点まで帰る。



朝の六時…既に空は明るい、この時間帯、狩人達は既に目を覚ましている。


グリンスとルニャAは帰還していない。


ヴァルド「皆!聞け!」


ヴァルドが岩に上り拠点全体を見渡しながら周囲の目を集める。


ヴァルド「ターク…頼んだ…」


ターク「おう…」


タークはヴァルドと交代して岩に立ち上がる。


ターク「皆に協力してもらう必要がある!俺達の仲間のグリンス!そして一匹のルニャ族が昨夜の事件の犯人を捉えて、今見張っている!奴の仲間はまだ何者かが分からない!だからなるべく…戦える皆が必要だ!」


狩人達はうなずきながら各々の手を止める。


狩人1「分かった!よし!皆!やるぞ!」


狩人達…約20人…他とルニャAを除いたルニャ軍団は見張りにつきながら準備をしている、あるものは動きやすく軽装に…あるものは鎧を固めて防御を硬く…。


6:15…準備は皆万端だった…


ターク「…」


タークはヴァルドとセリーヌに顔を向けてうなずく。


セリーヌ「行こう」


ヴァルド「あぁ…」



狩人20人を引き連れて森をソニバルドで走る。


タークとセリーヌとヴァルドが先頭になり向かう。


ターク「いたっ…グリンスとルニャAだ…」


グリンスとルニャAはターク達に気付いて合図を出す…そこからは降りてゆっくり近付いてこいと…。


ターク達はソニバルドを降りてゆっくりとグリンス達の元に近づく。


グリンス「…見張りは続けていた、ルニャ族も異変はなかったと、おそらく…すぐそこにいる」


狩人達はうなずいて武器を手に持ちそっと並んでいく。


ヴァルド「行くぞ…お前ら…」


ヴァルドは狩人10人を引き連れて進んでいく…。


タークとグリンスはそれより先から残りの狩人とセリーヌとルニャAを連れて向かう。


焚き火の煙…誰がいる。


スタンクは間違いなかった、しかしあと一人…。


青色のローブを着ている人間が。


グリンスは少し離れた場所からヴァルドにハンドサインを送り一斉にゆっくり向かっていく。


狩人は音を立てない…決して地面が泥でも…。


その泥は深く脛の少し上まであった。


徐々に近付いていく、スタンクと青色のローブを着た男の元、沼の中の小さな孤島のような場所まで…あと少しの所…だった。


バチン!!!!


狩人1「ぐぁっ!?」


ヴァルドの方からだった。


ヴァルド「っ!?」


狩人の一人にクマ用の罠のようなものが。


ターク「っ…!(何か罠があったのか!)」


狩人の声に気付いてスタンクと青色のローブの男は立ち上がる。


グリンス「っ!それ以上動くな!」


グリンスは背後の狩人達にそう声をかける。


セリーヌ「っ…やっぱ何か作戦はあったわけね…」


ターク「あぁ…全部読まれてたみたいだ…しかし…それほどスタンクが何かの鍵を握ってる証拠だ…」


ギギギ!!!


狩人1「っ…はぁ…はぁ…」


罠を力で開いて解除する。


狩人1「くそ…足が…」


ヴァルド「ッチ…そこらにあるかもしれん…」


ヴァルドは狩人1を抱き抱え。


ヴァルド「俺達がつけてきた足跡を踏んで戻るぞ!」


そうしてゆっくり後退していく。


ターク「…」


タークはスタンクと青色のローブの男を観察し続ける。


ターク「…(魔法使いのような格好…確か…この世界にはマジリカっていう国があったか…)」


グリンス「ターク…私達もゆっくり下がるぞ…」


ターク「…」


ゆっくりと下がっていく、背後の地がある場所まで下がっていく。


目の前のスタンクと青色のローブを着ている男を見ながら…しかし!瞬きをした時だった!


青色のローブを着ている男が消えた。


ターク「っ!」


その時。


狩人2「ぐぁ!?」


狩人の一人が、突然見えない巨大な槌で殴られたように、不自然な角度でくの字に折れ曲がり、茂みへ消えた。


ターク「っ!なんだ…!?」


ヴァルド「っ…!?」


セリーヌ「な…何が起きたの…」


気付いたら青色のローブの男が先ほどと違う場所に立っていた。


ターク「…(何かやばい…)」


グリンス「っ…」


そして再び青色のローブを着た男…魔法使いが…消える。


ターク「っ!」


狩人3「ぐぅっ!?」


再び狩人の一人が飛ばされる。


それの繰り返し…。


狩人4「ぐぁぁぁ!?」


狩人5「はがぁっ!?」


どんどん飛ばされていく、魔法使いはテレポートしたように。


ターク「な…何が起きてる…」


ターク達は沼に足をついたまま動けずにいた。


グリンスは額に汗をかきながら周りをよーく見ていた。


グリンス「…ターク…先程から…狙われているのは重装備の狩人から…のようだ…」


グリンスは警戒しながら冷静にいう。


ターク「…一人ずつ…削られて…最後は俺達…か…」


ヴァルド「っ…くっ!?ぐぁ!?」


ヴァルドさえも吹き飛ばされる。


セリーヌ「ヴァルド!!」


ガサガサ!茂みに飛ばされ見えなくなるヴァルド。


比較的ヴァルドも重装備であった…しかし…段々と装備が薄い狩人達も狙われ飛ばされていく。


ターク「…っ…(な…何が起きている…)」


タークとグリンスとセリーヌは近付きあい互いの背中を守る、三角形に立つ。


ターク「ど…どこから…」


その間にも他の狩人達は飛ばされていく…いともたやすく、しかし…。


ターク「…さっきから…狩人達を狙い攻撃しているようだが…一定の間隔が空いている…俺の予想が合ってて…奴がマジリカとやらの魔法使いなら…魔法にはクールダウンがある…三秒から五秒ほど…か…」


セリーヌ「そんなこと知ってても意味ないでしょ!」


ターク「っ…」


セリーヌの言う通りであった、現状魔法にクールダウンがあろうがなかろうが、テレポートするような魔法に対策がないので意味がない。


ターク「…っ…(アホ…それを対策に変えなくては…)」


三人は警戒を続ける…。


ターク「っ…(足跡!足跡だ…奴は足跡を残している…くっきりとある…テレポートじゃない…しっかり泥の上を歩いている…)」


足跡はしっかりとあった、それも飛ばす狩人に目掛けて走ったかのような。


しかし足跡は増えているのに、泥を蹴る音も、衣擦れの音も、一切聞こえない。ただ結果として、味方だけが次々と弾き飛ばされていく。


ターク「…(まさか…)」


タークは嫌気がした…嫌な汗が流れる。


タークはポケットからコインを取り出す。


魔法使いが狩人を飛ばしたその…1…2…3…4秒!

その時タークはコインを上に弾く!


魔法使いはその時消える!

そして狩人を飛ばした!


足跡もしっかり飛ばした狩人に向かっている。


しかしながら、コインは通常通り落ちた。


ターク「わ…分かったぞ…」


グリンス「っ…?」


セリーヌ「な…何が!」


ターク「あ…あいつは…時を止めてる…その時間を動いているんだ…。」


グリンス「!」


セリーヌ「!…そ…そんなわけが…」


ターク「…それ以外説明がつかない…足跡は泥に残っている…それは奴が時を止めてる中でも動いて…泥を踏んでいる証拠…そして俺の弾いたコインは空中に上がって…通常通り落ちた…コインが落ちるまでに一斉に足跡がつくということなら…それが有力だ…」


タークは自分でも信じられないと、額に汗を流しながらも…。


ターク「…時が止まってる最中は奴が触れたものは動きはする…時が止まってる中殴ったら殴った反動で身体は少し曲がってから止まったり…沼を踏んだら足跡がつくのはそれだ…だが…奴はコインは触れてない…だから空中でコインは止まったまま、時が動いて俺達が認知できる時に落ちた…だから…通常通り落ちた…」


セリーヌは槍を握る手が強まる。


セリーヌ「どう…対策するの…」


ターク「…そ…そんなものは…」


その内にも狩人達は飛ばされている…あれから14人目の狩人だ…吹き飛ばされた狩人が生きているか…そんなことはわかるはずもなかった。


しかし、分かっているのはもうすぐで自分達の番…ということだった。


そして、沼の中の孤島にはニヤリと笑っているスタンク…奴がいた…。


続く。

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